妊娠初期に起こるとされている「つわり」。全妊婦の5~8割が経験するとも言われており、症状は軽度のものから入院を必要とするような重度のものまで様々です。

つわりは、症状にも程度にもかなり個人差があるといわれています。ここでは、一般的によく起こるつわりの症状やその軽減方法、重度の場合の入院治療の内容について述べていきたいと思います。

目次

つわりの症状

一般的に多くの妊婦が経験するつわりは、消化器症状です。

吐き気やおう吐、胃のむかつき、胸焼け、食欲不振、食事摂取低下、口内炎や舌炎の悪化などが多く、匂いに敏感になったり食事の嗜好に変化が出たりもします。人によっては、酸っぱいものを好む、ジャンクフードを好むなどの傾向もあります。

他には、めまい頭痛、眠気、倦怠感便秘などがあり、症状や程度は様々です。

つわりの軽減方法

フルーツ盛り合わせ

吐き気やおう吐、食欲不振などにより、食事量が減ることで体重が減ったり、栄養が十分に摂取できないため胎児に影響があるのではないかと不安になる妊婦も多いかと思いますが、この時期は胎児もまだ小さく栄養不足や偏りがあっても胎児への影響は少ないと言われています。そのため、つわりがひどい時は無理せずに、自分に合ったつわりの軽減方法や対処法をとり、あまり神経質にならずに過ごしていくことも重要です。

  • 少量でよいので、自分の好きなものを好きなときに食べる
  • 空腹時に吐き気やおう吐をしてしまう場合は、空腹の状態にならないように手軽につまんで食べられるものを常に準備しておく(一口サイズのおにぎり・パン、あめやチョコレートなどの軽食など)
  • 匂いに敏感になりやすいため、食事を冷ましたり、冷たい状態でも食べられるものさっぱりしたものを食べる
  • 口当たりのよいもの(ゼリー、プリン、フルーツ類、茶わん蒸しなど)、酸味のあるものなど、自分の嗜好に合わせて食べる
  • 食べやすくするために、食材や味付け方法を変えてみる
  • 外食や知人・友人と食事をするなど環境を変えてみる
  • おう吐が激しい場合は、無理せずにこまめな水分補給を心掛ける
  • 飲水が難しい時はスポーツドリンクなどを製氷皿で凍らせて氷をなめて水分をとる
  • 消化のいいものを、1日5~6回に分けて食べる
  • 頭痛や便秘などに対しては、かかりつけの医師へ相談し、必要であれば妊婦でも内服できる薬を処方してもらう
  • 水分補給も困難な場合は、入院や通院などで点滴治療などを行う

上記のような対策は一般的ですが、つわりは人それぞれの症状・程度であるため、炭酸飲料を飲むとすっきりする、この食べ物だけは食べられる、この水分は好んで飲める…など、自分にあった軽減方法を見つけることで少し楽になるかと思います。重要なのは、精神的ストレスを抱え込まずに自分のできる範囲内でリラックスして過ごしていくことです。この時期の栄養の偏り・不足は深く考えなくていいでしょう。

妊娠悪阻

妊娠悪阻とは、つわりによる症状がひどく全身状態が著しく障害される場合をいいます。この場合は、入院治療を必要とすることがあります。

食事療法

上記のつわりの軽減方法で述べたような内容を医師や管理栄養士のアドバイスのもと実施したり、固形の食事摂取が困難な場合はスープやジュースなどで水分補給とカロリーを確保します。

輸液療法

食事摂取が困難になり体重が著しく減少している場合、点滴による電解質の補正や脱水予防の治療を行います。

薬物療法

必要に応じて、吐き気止めや漢方薬などで症状の軽減をはかります。

まとめ

つわりは比較的多くの妊婦が経験するといわれていますが、症状や程度は個人差があるため、自分に合った軽減方法を見つけることが重要でしょう。

無理はせずに、夫や家族に手伝ってもらいながら心身共に穏やかに過ごせる環境も必要です。不安や心配も多い時期ではありますが、周囲のサポートを受けながら気負いせずに過ごしていきましょう。