妊娠すると交通事故を起こす危険性が、妊娠していない時に比べて高くなることをご存知でしょうか?
妊娠中の交通事故は妊婦さんだけでなく、赤ちゃんの命に関わります。
赤ちゃんの命を守るためにも、シートベルトの着用と、出産後はチャイルドシートの使用が重要になってきます。ここでは、妊婦さんと赤ちゃんのシートベルトの必要性や着用方法についてお話ししたいと思います。

目次

妊娠中は交通事故の危険性が高い?

妊娠中は、少しの締め付けでも不快に感じることが多いため、胸やお腹あたりを締め付けられるシートベルトの着用を辛く感じる方も少なくないでしょう。
ですが、妊娠するまでの3年間に比べて、妊娠中期では交通事故発生件数が1.42倍となり、統計的には妊婦さん50人に1人の割合で交通事故に遭遇していると言われています(産婦人科ガイドラインより)。

妊娠中の交通事故はお腹が大きい分、ハンドルとの距離が近いため腹部が圧迫されやすく、胎盤の剥離や子宮破裂を起こし、赤ちゃんの命が危険に晒される危険があります。妊婦さんが危険な状態となれば、赤ちゃんも苦しい状態になっており、母子共に命を落とす危険性もあります。

妊娠中のシートベルトの着用方法

事故時のお腹の圧迫は、シートベルトの着用によって抑制できるため、締め付けが辛くても車に乗る際にはシートベルトを着用するようにしましょう。ここで気をつけたいのが、妊娠中のシートベルトの着用方法です。着用時のポイントは下記のとおりになります。

  1. 腰ベルト・肩ベルト共に着用する
  2. 腰ベルトは、お腹の膨らみを避けて腰骨のできるだけ低い位置でしっかり締める
  3. 肩ベルトは、肩から胸の間を通し、お腹の膨らみを頭側に避けて締める
  4. ベルトにゆるみやねじれがないか確認し、座席シート自体の位置や傾きを調節する
  5. お腹の膨らみとハンドルの間に若干の空間が空くように座席シートの位置を前後に調節する

上記のポイントを押さえて安全かつ効果的にシートベルトを着用するようにしましょう。

チャイルドシートは必要?

チャイルドシート

道路交通法で6歳未満の子どもはチャイルドシートの着用の義務が定められています。チャイルドシートがなくても、しっかり大人が抱っこしておけば大丈夫ともし思われている方がいるなら非常に危険です。

体重3㎏の新生児を抱っこしていた場合、時速40~50㎞/時で衝突した瞬間に90kg相当の力が抱っこしている腕にかかるとされているため、とても支えきれません。チャイルドシートを使用しなかった場合の致死率は、使用した場合の約11倍となっています。いつ事故に遭遇するかわかりませんので、車に乗る際にはチャイルドシートを適正に使用する必要があります。

チャイルドシートの種類

チャイルドシートは、体重・年齢別に乳児用、幼児用、学童用の3種類があります。乳幼児兼用のもの、幼児と学童兼用のもの、乳児から学童まで使えるものもあります。必ず、子どもの成長に合わせたチャイルドシートを使うようにしましょう。

ベビーシート

首のすわっていない乳児を寝かせるタイプです。原則として後ろ向きに使用します。年齢の目安は新生児から生後10か月くらいまで。体格的には体重10kg未満で、身長70cm以下。

チャイルドシート

前向きのみで使用するものと、前向き・後ろ向き兼用タイプがあります。年齢の目安は1歳から4歳くらいまで。体格的には体重9kgから18kg程度で、身長100cm以下。

ジュニアシート

お尻の下に敷き、座高を上げることで3点式シートベルトをそのまま使用します。年齢の目安は4歳から10歳くらいまで。体格的には体重15kg以上で、身長135cm以下。

神奈川県警察HPより引用

チャイルドシートの着用方法

チャイルドシートも適正に使わなければ、効果を発揮できません。特に乳児用チャイルドシートでは、56.2%に誤った取り付けがされていたという報告もあります。チャイルドシートの不適正使用の致死率は、適性な使用がされている場合の25.5倍ともいわれています(産婦人科ガイドラインより)。

乳児用チャイルドシートの取り付けのポイントは下記のとおりになります(製品によっては着用方法が異なる場合がありますので、必ず製品の説明書を読んで取り付けるようにして下さい)。

  1. 常にチャイルドシートの子ども用ベルトと、車のシートベルトの腰ベルトの両方を装着する
  2. 乳児をチャイルドシートに乗せ、バックルをセットする
  3. 調節用ベルトを引っ張り、子ども用ベルトのハーネスの長さを調節する。その際、肩とハーネスに隙間ができないように注意する。後ろ向きのチャイルドシートでは、乳児が上方向に動かないように肩をぐるりと回りこむようにハーネスの高さを調節する。
  4. 乳児を乗せたチャイルドシートを後部座席に設置し、チャイルドシートの背もたれ角度を45度に調整する
  5. チャイルドシートを座面に押し付けるようにしながら、車の腰ベルトでたるまないようにしっかりときつく締め付ける
  6. チャイルドシートに運転席や助手席がぶつからないように、座席シート位置を前後に調節する

上記にあるとおり、チャイルドシートは後部座席に設置することが望ましいです。助手席に設置した場合、事故の際に作動したエアバックが子どもを押しつぶしたり、エアバッグが開いた勢いで子どもを傷つけてしまったりする危険性があります。

まとめ

妊娠・出産はいろいろな面で大きな変化が起こるため、それらに対応できるように1つ1つ準備しておく必要があります。妊娠中の正しいシートベルトの着用法を知ることや、チャイルドシートの準備、正しい設置と着用方法を知っておくこともその1つと言えます。安心・安全なマタニティライフや赤ちゃんとの生活を送るためにも正しい知識を知っておきましょう。