まぶたはできものや腫瘍ができやすい部位とされています。原因には「ものもらい」と呼ばれる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)や霰粒腫(さんりゅうしゅ)が知られていますが、他にも良性のものから悪性のものまでいくつか考えられます。今回はまぶたにできものが見られたときに考えられる原因7つを紹介します。

目次

まぶたの役割と構造

まぶたは眼球を守る働きや、瞬きによって目の表面の涙を交換する役割を担っています。

構成する組織は様々で、皮膚だけでなく、動かす筋肉(眼瞼挙筋、眼輪筋、ミュラー筋)や結膜、まぶたの内側にある瞼板(けんばん)、脂を分泌するマイボーム腺ツァイス腺、汗を出す汗腺(モル腺)、まつ毛(睫毛、しょうもう)などがあります。

まぶたにできものが見られたときに疑う原因7つ

女性の冷めた視線の先にあるものとは

まぶたに起こりやすいできものや、注意したい腫瘍を紹介します。

麦粒腫

細菌感染が原因で、まぶたの腫れや痛みの他、赤く見えるなどの症状が起こります。感染が汗腺(モル腺)やツァイス腺で起こった場合を外麦粒腫、マイボーム腺で起こった場合を内麦粒腫と呼びます。どちらも抗生物質の点眼薬や内服薬で治療を行います。化膿がひどい場合は切開して膿を排出する場合もあります。

麦粒腫について詳しくは「目を清潔に保つのが大事!ものもらい(麦粒腫)の予防・治療のポイント」をご覧ください。

霰粒腫

脂を分泌するマイボーム腺の開口部が詰まり分泌物が溜まって、慢性的な炎症から肉芽腫というしこりを形成したものです。

触るとグリグリとして痛みを伴いませんが、細菌感染が併発すると強い腫れや痛みなど麦粒腫と似たような症状が現れます。これを急性霰粒腫と呼びます。

霰粒腫のしこりは放っておくと自然と吸収されて小さくなることもありますが、しこりが大きくて気になる場合は、切開手術も行います。急性霰粒腫の場合は麦粒腫と同じように抗生物質の点眼薬や内服薬で炎症を鎮める治療を行います。

霰粒腫について詳しくは「ものもらいのひとつ「霰粒腫」ってなに?原因と症状は?」をご覧ください。

眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)

上下のまぶたにできる黄色の扁平なできものです。脂質物質が蓄積して皮膚の下に沈着することで起こります。高コレステロール血症を伴う場合もあります。中年以降の人に比較的多く見られます。

見た目の問題だけなので基本的には治療の必要はありません。脂質異常症を伴っている場合はそちらの治療を行います。気になるようであれば、手術をして取り除くこともできます。

脂漏性角化症

やや盛り上がった黒色~褐色系のいわゆる「いぼ」で、加齢に伴う良性腫瘍です。皮膚の老化現象の一つと言われており、「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」や「老人性いぼ」とも呼ばれます。引っかかったり気になったりするようであれば、液体窒素、レーザー治療、外科的切除で取り除くこともできます。

基底細胞がん

皮膚の上皮(表皮や毛包上皮)から発生する皮膚がんの一種です。初期には、小さく黒いできもののためほくろに勘違いされることもあります。徐々に大きくなると周辺部が堤防状に盛り上がってきます。手術での完全切除が基本治療ですが、放射線治療が行われることもあります。早期に治療すれば比較的悪性度の低い腫瘍です。

脂腺がん

脂腺がんは、まぶたの脂を分泌しているマイボーム腺やツァイス腺から発生する場合が多く、悪性腫瘍です。硬い小結節が少しずつ増大します。大きくなるとまぶたが変形したり腫瘍が瞳孔にかかって視野障害などが起こります。手術での切除が基本治療ですが、放射線治療が行われることもあります。高齢者に多く、リンパ節転移しやすいがんです。

扁平上皮がん

まぶたの裏側(瞼結膜、けんけつまく)から発生する悪性腫瘍に、扁平上皮がんがあります

表面が凸凹していて白色~ピンク色のできものです。進行すると遠隔転移する可能性があるため、手術でしっかりと切除します。進行している場合は放射線治療を併用する場合もあります。

まとめ

まぶたのできものは、悪性腫瘍が隠れている恐れもあります。悪性腫瘍は、早期発見・早期治療が大切になります。自己判断は禁物です。特に、高齢者の方、できものが少しずつ大きくなっている・形がいびつ・出血しているなどの場合は医師に早めに相談するようにしましょう。