「急にほくろが大きくなった」「知らないうちにほくろの数が増えている」など、皮膚がんが心配になったことはありませんか?この記事では、皮膚がんの種類と原因、病院に受診すべき症状を中心に解説します。

目次

皮膚がんの種類、症状の特徴と発生しやすい部位

皮膚組織を構成する細胞ががん化したものを総称して皮膚がんといいます。皮膚がんの種類は、がん化した細胞によって分類されています。種類ごとの特徴と、できやすい部位をまとめました。

種類 特徴 できる部位
悪性黒色腫
  • ほくろに似た黒い色素斑
  • 左右非対称
  • 正常な皮膚との境界が不明瞭
  • 色合いがまだら
  • 6mm以上と大きい
  • 表面が盛りあがっている
足の裏、爪、顔面

粘膜への発生もあり

基底細胞がん
  • 皮膚がんのなかで最も多い
  • ほくろと比べ青黒い
  • ろうそくの「ろう」のような光沢がある
まぶた、鼻、上口びる
有棘細胞がん
  • 皮膚がんのなかで2番目に多い
  • かさぶた様、もしくは肉が赤く盛りあがったようになる
  • ジクジクして出血しやすい
  • 進行するとカリフラワー状となり、悪臭を伴うこともある
顔面、手の甲
ボーエン病
  • 増殖が表皮だけにとどまっている状態
  • 赤くざらざらしている
  • 円形やいびつな形
  • 湿疹に似ている
胸、おなか、背中
乳房外パジェット病
  • 赤い湿疹のような形
  • 表面にはかさぶたがつく
陰部、わき

Mindsを参考にいしゃまち編集部作成

要注意!5つの症状をピックアップ!

上で紹介したように、皮膚がんにはそれぞれ特徴があります。しかし素人目に見ると、ふつうのほくろや湿疹と見分けがつきません。どんな症状がでたときに病院に行くべきなのか、特に注意すべき5つの症状を紹介します。

1.治療をしてもよくならない傷や湿疹

傷がいつまでもジクジクして治らない、湿疹に塗り薬を塗っているが治らない、または悪化している、というケースは要注意です。皮膚がんでなかったとしても、塗り薬が適していないことが考えられるので、皮膚科に相談しましょう。

2.直径が6mmをこえる大きなほくろ

ほくろの大きさは通常直径6mm以下の場合がほとんどです。それを超える大きなほくろがある場合は悪性黒色腫の可能性があります。悪性黒色腫は進行しやすいため、短期間でほくろが大きくなってきたと感じたら注意が必要です。

3.左右非対称、境界がはっきりしない、色合いがまだら、盛り上がっているほくろやシミ

ほくろは通常左右が対称で、境界がはっきりしています。形が整っていないほくろは悪性黒色腫を疑う場合があります。

4.出血や膿がでているイボ、湿疹、ほくろ

たびたび出血をきたし、さらには膿がでているイボや湿疹、ほくろの場合、皮膚がんの可能性があります。

5.色や質感の異なるほくろや湿疹

青黒く、光沢のあるほくろは基底細胞がんの可能性があります。また、湿疹やたむしに似た赤い病変の場合、パジェット病の初期症状のことがあります。さらに、悪性黒色腫では黒褐色のことが多いですが、なかには青、赤、白などの色が混ざることがあります。

皮膚がんの原因は?

太陽に手をかざす様子-写真

では、皮膚がんになりやすい環境や原因はあるのでしょうか?

紫外線

皮膚がんの原因として、紫外線は最も重要です。有棘細胞がんでは紫外線の関与が明らかで、基底細胞がん、悪性黒色腫などにおいても、紫外線が原因の1つになっている可能性があります。

これは、紫外線が細胞の遺伝子(いでんし)に傷をつけることで、皮膚がんの発生を促すためです。外出時には日傘、帽子、日焼け止めクリームなど紫外線対策を心がけましょう。

色白

紫外線から肌を守り、DNAに傷がつかないよう防ぐ役割をしているのがメラニンです。白人は、このメラニン量が少なく、皮膚がんを発症しやすいといわれています。

黄色人種である日本人は、白人にくらべると皮膚がんの発症は少ないですが、色白の人は注意が必要です。色白の人の中でも、日焼けをしても肌があかくなるだけで黒くならないという肌タイプの人は有棘細胞がんのリスクがあり、生まれもった肌タイプががんの発生に関連しているケースもあります。

ほくろの数が多い

長年、白人では、ほくろの数が多いほうが悪性黒色腫を発症しやすいと考えられてきました。最近、ほくろの数だけでは、悪性黒色腫の危険性を予測できないという研究結果もでてきています。今後さらなる研究結果が待たれるところです。引き続き、日本人でも色白でほくろの数が多い人は、注意を続けていくべきであると思われます。

高齢

基底細胞がん、有棘細胞がん、ボーエン病、乳房外パジェット病は60歳以上の高齢者に発症しやすい皮膚がんです。悪性黒色腫は壮年期に発症することもあるので、注意が必要です。

やけど傷あと慢性皮膚炎

やけどやけがの傷あとが、数年~数十年後にがん化するケースがあります。

長期間にわたる放射線治療ではやけどのような皮膚炎をおこしやすいですが、そうした慢性皮膚炎をきっかけに発生する皮膚がんもあります。

遺伝

紫外線への防御機能が生まれつき低下している色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう)では、皮膚がんを発生しやすいといわれています。

化学物質

多発するボーエン病ではヒ素が関連しているといわれています。有棘細胞がんにおいても、ヒ素、タール類などとの関連性があります。

ウイルス

ボーエン病や有棘細胞がんでは、ヒトパピローマウイルス(イボや子宮頸がんの原因となるウイルス)が細胞のがん化に関与しているといわれています。

まとめ

皮膚はさまざまな細胞から構成されており、そのため皮膚がんの種類も多様です。それぞれの皮膚がんは、症状も出現する部位も異なります。一方、からだの表面にできるがんですから、早期発見のチャンスがあります。皮膚がんの特徴を知り、いつものほくろや湿疹と違う、と気づいたら速やかに皮膚科にかかることが重要です。