料理を食べると「体が温まった」「体が冷えた」と感じた経験はありませんか?この現象は料理の温度だけではなく、食材そのものが原因で起こる場合もあります。

「スイカを食べると体が冷える」「寒い地域でとれるものは体を温める」など体温と食品の関係性については諸説あります。食品が体温調節に与える影響や、冷え性改善のための食事について解説していきます。

目次

中国医学「薬膳」の考え

日本では食生活の変化から生活習慣病が増加し、病気予防や健康のために中国の薬膳をとり入れる人が増えてきています。

薬膳に使われる食材は、体に入った時の症状や反応によって「温・熱・涼・寒」「四性」または「四気」といわれる4種の薬性に分けられ、さらに薬性が穏やかな「平性」を加えて「五性」と呼ぶこともあります。

四性による食品の分類表

寒性 涼性 熱性 温性
バナナ

トマト

たけのこ

アスパラ

醤油    など

りんご

みかん

きゅうり

ナス

豆腐    など

唐辛子

コショウ

からし

くるみ

ニラ

かぼちゃ

にんにく

生姜    など

参照:中国薬膳調理のための食材分類 を元にいしゃまち編集部が作成

熱が出たり、イライラしたりと生体機能が過度に亢進している時には「涼・寒」の食材をとり、反対に体が冷えていたりお腹の調子が優れない時は「温・熱」性の食事を摂るのが良いとされています。

つまり「寒・涼」に属する食材は体を冷やすもの、「温・熱」に属する食材は体を温めるものということになります。薬膳ではこの他に、五味帰経と呼ばれる分類表も合わせて食材を選んでいきます。薬膳の世界は奥深いですが、この考え方を用いることで健康増進や病気予防が期待できるかもしれません。

食生活と冷えの関連

「冷え」の症状は特に瘦せ型の若い女性に多く見られ、貧血肩こり、便秘、不眠などの症状を伴う場合が多いとされています。冷えは他の病気によって発症することもありますが、食生活との関連性もあることがわかっています。

女子大生を対象とした研究によると、野菜や果物の摂取が多い麺類の摂取が多い、というような食生活が冷えを招きやすいという結果が出ています。四性の考え方を用いると野菜は体を冷やすものが多いこと、麺類のように単品で済ませられる料理は栄養バランスが偏りやすいことなどが理由として考えられます。

また、冷え性の人は痩せ型が多いのは、皮下脂肪が少なく保温が十分ではない筋肉量が少なくエネルギー産生が十分ではないことも考えられており、痩せ型に憧れる若い女性が多い一方で、適正体重を保つことの重要性を伝えることも必要だと感じます。

冷えを緩和するための食生活とは?

体を温める効果のある食材をとればそれだけで良いというわけではありません。冷え性を改善するために欠かせないのはバランスの良い食事です。いろいろな食材をとり入れて、栄養素の幅を広げていくことが重要です。

バランス良く食べるためには、なるべく単品料理は控えるようにし、定食形式の食事をするように心がけましょう。特に大切な栄養素は、肉や魚、卵などに多く含まれるたんぱく質です。たんぱく質は食事誘発性産熱量が高く、熱が発生しやすくなります。

その他衣服で体を締め付けない、適度に運動を行う、全身浴、お酒を飲みすぎないなどの生活習慣も冷え性改善には重要です。運動や入浴は冷えと関係のあるストレスの解消にもなるので特におすすめですよ。

まとめ

バランスの良い食事は冷え性を改善するだけではなく、肥満生活習慣病予防にも繋がります。生活習慣を見直すことが心や体全体の健康維持に役立つと考えられるでしょう。