冬はもちろんの事、夏でも悩ましい「冷え性」。特に女性は1年中悩んでいる人も多いと思います。西洋医学では「冷え性」という疾患は存在しないため、有効な治療法がありません。
そこで注目したいのが漢方です。漢方医学では「冷え性」の原因を分類し、自分に合った漢方を服用することで冷え性が改善されることがあります。冷え性に悩まれている人はぜひ一度漢方を試してみるとよいでしょう。

しかし漢方は難しい漢字が並び、どれを服用すればいいか分からない人も多いと思います。今回は冷え性に効果的な漢方について、詳しく見ていきます。

目次

「冷え性」とは?

手足が冷えて眠れない、下半身は冷えているのに顔だけほてっているなど冷え性といっても人によってさまざまな症状が存在します。

冷えは万病のもと」と昔から言われている通り、冷えは多くの病気を引き起こす恐れがあります。不妊症月経困難症腰痛・頭痛・腹痛、慢性胃腸炎しもやけ、不眠症、倦怠感・疲労感、体力低下などが考えられます。今悩んでいる体の不調も冷えから起きているのかもしれません。

「温かい飲み物を積極的に取る」「靴下を何重にも履く」など対策を取っていてもそれは一時的なものです。根本から改善する場合は漢方の服用をお勧めします。

「冷え性」の種類と漢方

漢方薬-写真
漢方医学では、冷えの原因は以下の3つに分類されます。

  • 全身の新陳代謝や胃腸機能が低下するため
  • 血液のめぐりが悪いため
  • 気の流れが乱れるため

それでは詳しく見ていきましょう。

全身の新陳代謝や胃腸機能が低下している場合

高齢者や病気で弱っている人に良くみられます。体力がない人に合った漢方を服用します。代謝機能の低下に伴って身体の一部や全体に水分が停滞し冷えやむくみを生じる事があります。

症状に合った漢方

  • 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):冷えると痛む場合や、身体が冷えるのにのぼせる場合などに使用します。
  • 真武湯(しんぶとう):下半身の冷えが強い場合に使用します。下痢や尿の量が減る事があります。
  • 八味地黄丸 (はちみじおうがん):下半身の冷えや痛み、腰痛や眼精疲労などがある場合に使用します。
  • 人参湯(にんじんとう):胃腸機能の低下により全身の冷えが生じる場合があります。胃の痛みや食欲低下・食べたいのに食べれないという時に使用します。
  • 十全大補湯 (じゅうぜんだいほとう):身体全体の衰え・疲労感・体力低下などを伴う場合に使用します。

血液のめぐりが悪い場合

全身や一部分の血液の流れが悪くなるために冷え性を引き起こします。下腹部に痛みなどを生じることが多いです。

症状に合った漢方

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):体力が無く、貧血気味で頭痛やめまいが起きやすい場合に使用します。普通で、めまいが生じる場合。
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):体力が中程度ある人向けで、下半身の冷えやのぼせが見られる場合に使用します。
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう):ひどい手足末梢の冷えや腰痛・腹痛、しもやけなどが生じる場合に使用します。

気の流れが乱れている場合

ストレスなどで自律神経が乱れて冷え性を引き起こします。のぼせ伴う場合が多いです。

症状に合った漢方

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)精神不安、憂鬱、冷えやのぼせ、肩こりなどを伴う場合。体力のない人向け。

血液・気に関しましてはそれぞれがバラバラに異常を起こすのでは無く、相互に関係する場合が多く見られます。そのため処方も両方の異常を改善できるようにしたものが多く気の乱れの処方の中に血流改善成分が入っていたり、血液のめぐりを改善させる処方でも気の流れを整える事ができるものもあります。

まとめ

冷え性にはいろいろな症状があり、その人の体質や状態によって服用する漢方が変わっていきます。紹介した症状・体質は単独では無く重なっている事もあります。自分の症状を当てはめ、どれが一番自分に合うのか確認して服用しましょう。漢方は市販薬を購入するか、取り扱う病院で処方してもらえますが、正しく見極めないとかえって症状が悪化する場合があります。継続して使用する場合は費用がかさむ場合もあるので、良く考えてどちらか選択しましょう。

最近の女性は薄着であったり、サラダのみの食事など冷え性を悪化させる要因が多くあります。漢方は身体を改善させる一手ですが、一番大事なことは食生活を含めた生活習慣の改善です。夏でも冷房による体の冷えを防ぐため上着を持ち歩いたり、ブランケットを常備したりしましょう。また体を冷やす生野菜や果物、アイスなどを控えるのも有効です。

冷え性を改善することで体の不調が解決する可能性もあるため、冷え性を放置せず対策を取りましょう