下痢や嘔吐などが主症状の胃腸炎。細菌やウイルスが原因であることが多く、食中毒も胃腸炎のひとつとされています。また感染性胃腸炎では人から人へと感染しやすく、流行しやすい病気でもあります。

周りに胃腸炎になった人がいたら?感染は予防できる?もし胃腸炎になったら何科に行くの?このような疑問に少しでも役立つよう、胃腸炎になった場合の治療法などをまとめました。

目次

胃腸炎とは?

主に夏場と冬場に流行し、下痢や嘔吐・腹痛などを主な症状とした病気です。詳しくは「「胃腸炎」ってどんな病気?症状や原因は?」の記事で解説しています。

治療法は?

ほとんどの場合自然に回復していくため、治療は脱水予防対症療法(原因ではなく、症状を軽減するための処置)が中心となります。

乳幼児や高齢者は特に脱水になりやすいため、注意が必要です。

脱水予防

下痢や嘔吐が続く場合、体内の必要な電解質や水分が不足しがちであるため、糖分や塩分などを含む水分を摂取します。吐き気や嘔吐の症状が強く、経口摂取が困難な場合は点滴などで脱水予防を行います。

対症療法

腹痛吐き気などに対しては、それぞれ痛み止めや吐き気止めなどといった薬で治療します。

下痢は病原体や毒素を排出するための症状でもあるため、初期からの下痢止めの使用はあまり好ましくないとされています。

下痢・嘔吐などの症状が出ている間は、必要最低限の水分のみ摂取し、安静にしましょう。症状が治まってきたら、無理のない食事摂取や水分摂取をしていきます。胃に優しい消化のいい食べ物がいいでしょう。

消化のよい食べ物

  • おもゆ(重湯)、おかゆ
  • すりおろしリンゴ
  • よく煮込んだうどん
  • 味噌汁
  • 野菜スープ
  • アイスクリーム(脂肪分の少ないもの)

避けた方がいい食べ物

  • 柑橘類(ミカン、グレープフルーツなど)のジュースや炭酸飲料
  • コーヒーなどの刺激物
  • 牛乳などの乳製品
  • アルコール
  • 菓子類
  • 繊維質に富む野菜、きのこ、こんにゃく、海草など下痢をおこしやすいもの

予防法は?

注射

手洗いや手袋マスクエプロンの使用

感染性胃腸炎の場合、接触感染や経口感染などで人から人へと感染していきます。特に、感染している人の嘔吐や下痢などを処理した後の不十分な手洗いが原因となることも多く、汚物処理後や調理・食事前の手洗いを励行することは重要です。また、このような処理をする場合は、手袋やエプロンなどがあれば使用し、直接触れないようにしましょう(手袋を使用していても、処理後の手洗いは必ず行います)

手の傷に注意

手や指に傷がある場合、そこに菌が付着している可能性があります。黄色ブドウ球菌による食中毒は菌が産生する毒素によって起こります。この毒素は加熱してもなかなか破壊されません。絆創膏などで覆っても毒素が食材につくことがあります。手や指に傷がある場合には調理を避けるか、手袋をして調理をすると良いでしょう。

消毒をする

汚物がついてしまった衣類やタオルは袋に入れて周囲に汚染しないようにし、85度で1分間以上の熱湯消毒次亜塩素酸ナトリウムで消毒するようにしましょう。次亜塩素酸は、家庭用の塩素系漂白剤で代用できます。

加熱処理

ノロウイルスによる食中毒を防ぐ場合は、十分な加熱処理が有効だとされています。調理時や生ものを扱う際などは中心部まで火を通すなど十分注意して扱いましょう。

予防接種を受ける

胃腸炎の原因の一つにロタウイルスがありますが、このロタウイルスは乳児を対象に任意で予防接種を受けることができます。

その他家庭内でできること

家庭内に感染者がいる場合は、手洗い後のタオルなどは共用せず個別にします。お風呂に入る場合も、症状のある人は最後にし、湯船のお湯は使い回しなどはせずに毎日変えるようにします。また、使用後は浴槽・壁・床・椅子なども十分に洗剤で洗いましょう。

胃腸炎になったら何科に行くの?

かかりつけの内科、胃腸科、消化器内科などが適切です。

保育園や学校などの集団生活の場では感染拡大を未然に防ぐことも重要なので、周りに感染者がいた場合や感染が疑われるような症状が出たときはすぐに病院へ行きましょう。

受診した際には、周りに同じような症状の人がいることや、疑わしい食べ物を伝えましょう。そこから、原因となった菌などが推測されることもあります。

まとめ

どの季節においても流行する病気などありますが、やはり手洗いうがいの励行はどの感染症においても基本的な予防行動のひとつです。感染性胃腸炎は乳児などに多いため、自ら予防行動がとりづらい乳児などには大人が注意してあげるようにしましょう。