歯科矯正治療は、治療費が高額なイメージや装置をつけることに抵抗を感じるなど、なかなか簡単には踏み切れない治療でもあります。しかし歯並び噛み合わせの不良を放置することで問題が出てくる場合もあります。矯正した方がよい歯並び7つについてと、大人の歯科矯正治療について説明していきます。

目次

矯正した方がよい歯並びとは

歯並びや噛み合わせの状態がよくないことを不正咬合(ふせいこうごう)と言います。不正咬合によって、見た目も含めて日常生活に支障をきたしている場合、将来的に支障が出ると判断される場合は歯科矯正治療の対象となります

不正咬合には主に下記の7種類があります。

1.上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突は一般的には出っ歯とも呼ばれており、上の前歯が前方に大きく傾いていることや、上の歯並びが全体的に前に出ていることを言います。口を楽に閉じることができない、上の前歯をぶつけて折りやすい、前歯で唇を傷つけやすい、下の歯で上顎の歯茎を傷つけるなどの問題があります。

2.叢生(そうせい)

叢生とは顎の大きさに対して歯が入りきらずに歯並びが凸凹になっていることを言います。八重歯も叢生の一つです。歯と歯が重なっていたり、斜めに生えていたりすると、歯を磨く際に歯ブラシが届かない部分が出てきて口の中の清潔が保てず、虫歯や歯槽膿漏、口臭の原因になります。

3.反対咬合(はんたいこうごう)

反対咬合は一般的には受け口と言われることもあります。下の歯が上の歯よりも前に出ており、上顎に対して下顎が大きいことや前歯の傾きによって下の歯が出ている場合があります。反対咬合では食べ物をうまく噛めないことや発話が不明瞭となることがみられます。

4.開咬(かいこう)

開咬とは奥歯を噛み合わせても、前の歯が噛み合わないことです。麺類をうまく噛み切ることができない、発音が不明瞭になるようなことがあります。幼児や小学生になっても指しゃぶりを続けていることや遺伝的な問題などによって起こるとされています。

5.切端咬合(せったんこうごう)

通常、上の歯と下の歯の間にはスペースがありますが、切端咬合では上と下の歯の間に空間がなく、上下の歯の先がちょうど合わさっています。上の歯と下の歯がぶつかり合っているので歯が欠けたり、すり減ったりしやすくなります。

6.過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは上の歯と下の歯の重なりが大きい状態のことを言います。具体的には上の前歯に隠れて、下の前歯が見えないようなことがあります。上下の歯が重なることで歯へ負担がかかり、歯の寿命が短くなることや、顎へ負担がかかって痛みが出てくることがあります。

7.顎変形症

上顎と下顎の大きさや形の著しい異常のために噛み合わせの不具合や顔の変形が起こっていることを顎変形症といいます。歯の矯正治療だけでは噛み合わせの改善が難しい場合が多く、歯の矯正治療とともに顎の骨を切る手術が必要となります。

大人の矯正歯科治療

大人になってからでも矯正歯科治療は可能です。歯茎と歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が健康な状態であれば、何歳になっても矯正歯科治療は始められます。歯槽骨は新陳代謝の働きによって古い骨が新しい骨へと生まれ変わっています。歯に一定方向に力が加わると、力が加わった部分の骨は吸収され、力のかかった反対側の部分の骨が新しく作られます。この現象を利用して、動かしたい歯に少しずつ力を加えて歯を動かしたい位置に移動させていきます。

矯正歯科治療によって歯並び噛み合わせ改善され、口元の印象も変わります。歯磨き時のブラッシングも行き届き、口腔内が清潔に保て、虫歯や歯周病の予防歯と歯茎の健康維持が期待できます。また、滑舌噛む機能の改善にもつながります。

矯正歯科治療によって歯並びや噛み合わせが改善した例の治療前、治療後の状態が日本矯正歯科学会のホームページで確認することができます。

まとめ

歯並びや噛み合わせの不具合を感じたまま放置していると、将来的に虫歯や歯周病で歯を失うことや、顎の骨に負担がかかって痛みが出ることにつながることもあります。
歯の矯正治療を行うことで見た目が改善するだけではなく、将来的な歯と歯茎の健康を守ることにもなります。歯と歯茎の状態がよければ年齢に関係なく行えるので、気になる症状があれば矯正歯科で相談してみましょう。