アレルギーをお持ちの方は「IgE抗体検査」という言葉を耳にしたことがあるのではないのでしょうか? IgE抗体検査は自身がどの様なものに対してアレルギーを持っているのかを知るためには、非常に有効な検査法です。
ここでは、IgE抗体検査の概要についてと検査を受ける前に知っておくべき情報について説明します。
IgE抗体ってなに?
IgE抗体とはからだの中で作り出される抗体の一種です。抗体とは白血球の一種が産生するタンパク質でできた物質のことであり、本来体外から入ってきた細菌やウイルスなどの異物からからだを守る役割を担っています。
しかし、抗体は何らかの原因によって無害なものに対して過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギーです。
IgE抗体はそのなかでも、「I型アレルギー」と呼ばれるアレルギー反応に関わる抗体として知られています。アレルギーはそのメカニズムによってI~Ⅳ型の四種類に分類されており、Ⅰ型アレルギーで有名なものには気管支喘息やアナフィラキシーショック、アトピー性皮膚炎などがあります。
アナフィラキシーショックでは急激なアレルギー反応によって全身の血流が悪化したり、気管が閉じてしまうことによって命に関わることもあります。スズメバチに刺されたときや、アレルギーを持つ人が気付かずにその食材を食べてしまったとき、そして薬剤などによっても引き起こされます。
おもな治療法は、エピネフリン(アドレナリン)の注射です。アレルギー持ちの方が「エピぺン」と呼ばれる注射を持ち歩いているのを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
IgE抗体検査はどういう検査?
IgE抗体検査は文字通り血液中のIgE抗体の量を測定する検査です。アレルギーのある人はその物質に反応するIgE抗体を数多く持っています。「IgE抗体検査」では、IgE抗体をその反応対象ごとに測定します。
基本的には採血のみで検査ができるため、非常に方法としてもシンプルな検査法だということができます。
また、近年は小さい子供むけにかかとから少量の血液を採取する検査法も開発されたため、注射の苦手なお子さんでも検査が受けやすくなっています。
なお、抗体の量は一般の方にも分かりやすいように0~6の7段階で示されます。ここで注意しなければならないのが、必ずしも「抗体の量が多い=アレルギー反応が強い」というわけではないということです。抗体の量が少なくても激しいアレルギー反応が起こることもあります。
IgE抗体検査で検査できるアレルゲン

IgE抗体検査は基本的に、アレルギー科のある病院やクリニックで受けることができます。アレルゲンであるかを調べられる項目は200種類近くあります。
室内塵 | |
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ダニ | |
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雑草花粉 | |
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樹木花粉 | |
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昆虫 | |
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薬品 | |
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寄生虫 | |
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イネ科植物花粉 | |
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真菌 | |
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職業性アレルゲン | |
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食餌性アレルゲン | |
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動物表皮 | |
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その他 | |
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何項目検査をすればいい?項目の選び方
現在の制度では、一度に13項目までであれば保険診療の範囲内で検査を受けることができます。上記のとおり、アレルゲンとして検査できる項目はたくさんあるので、患者さん自身が項目を選ぶのは大変です。
そこで、「MAST-36」や「viewアレルギー39」といった主要な検査項目がセットになったものもあります。一般的にはどの検査を受けても費用は3割負担で5,000~6,000円ほどとなっており、検査項目の追加も1,000円ほどでできるようになっていることが多いようです。
検査項目を追加する場合には、仕事や日常生活などで暴露しやすいアレルゲンを医師に相談するようにしましょう。
(なお、金額については複数のクリニック・病院のホームページを参考に記載しています。検査を受ける病院や検査薬の種類、医療費負担などによって金額が異なる場合もあるのでご注意ください。)
まとめ
かつては直接的に抗体の量を調べる検査法は存在しなかったため、アレルギーが疑われる物質を注射することでアレルギー反応を見る検査法(プリック法)などにより間接的にアレルギーの有無を調べるしかありませんでした。ですが、現在は技術の進歩により抗体を直接調べることが可能になりました。アナフィラキシーショックなどは命に関わることもあるため、ご自身が「何の物質にアレルギーを持っているのか」をこれを機会にはっきりさせるのも良いのではないでしょうか?