アレルギー反応の中でもアナフィラキシーは症状が重く、全身に急激に発症して生命の危険にもなりうる恐ろしい病気です。また、症状が起きたら時間との勝負です。もしもの時に備えて正しい知識を持ち、アナフィラキシーショックを防げるように普段から気をつけましょう。今回はガイドラインをもとに、覚えておきたい4つの原因別の対策方法をご紹介します。アナフィラキシーについての基本的知識は、「アナフィラキシーショックとは?4つの原因と5つの症状」の記事をご覧ください。
アナフィラキシーの原因って?
原因となる物質(アレルゲン)にはさまざまなものがありますが、特に代表的なものは次の4つです。
- 食物アレルギー
- 医薬品
- ラテックス(天然ゴム)
- 蜂毒
など
アナフィラキシーの原因によってとる対策は異なります。原因別の対策をみていきましょう。
1.食物アレルギー

基本的な治療・対策は、原因となる食品を摂取しないようにすることです。日本で多い原因食品としては、卵、小麦、蕎麦、ピーナッツがあげられます。
一度でもアナフィラキシーを経験した場合には、きちんと医療機関にかかったうえで、アレルゲンとなる食品を特定しておく必要があります。
また、治療によってアレルゲンを少量であれば摂取できるようになったとしても、風邪や運動などによって、アナフィラキシーが引き起こされる(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)ことがあるので、注意が必要です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーを引き起こしやすい条件
運動 | 激しい運動、入浴 |
身体の状態 | 疲労、寝不足、風邪 |
気象条件 | 高温、寒冷、湿度が高い |
自律神経 | ストレスがたまっている |
薬剤 | アスピリン、アルコール |
ホルモン | 月経による女性ホルモンの増加 |
花粉 | 野菜、果物の花粉 |
化粧品 | 加水分解小麦を含むもの |
対策は?
- 医療機関での問診やアレルギー検査から原因食物を絞り込む
- 原因食物が特定できれば食事から除去する
- アレルギーに対して家族や周りの人と情報を共有する
2.医薬品

アナフィラキシーは医薬品が原因で引き起こされることもあります。
副作用に気づかず放っておくと、症状が重くなり健康に影響を及ぼす可能性が高くなります。
薬を服用してアレルギーの症状が現れたり何らかの異変を感じたりした場合には、すぐに医師や薬剤師に連絡をして受診をするようにしましょう。
こんな人も要注意
医薬品ではアレルギーを発症したことがなくても、アレルギー歴(気管支ぜん息など)がある場合は、アナフィラキシーが起こるリスクがあると考えておきましょう。
薬物アレルギーの重要性とアナフィラキシーショックの恐ろしさを理解しておくことが大切です。
対策は?
- 問診の時に既往歴と抗生物質などによるアレルギー歴を正確に伝える
- アレルギー歴が記載された「お薬手帳」を提出する
- 薬を投与されたら安静にして身体の状態を注意深く観察する
3.ラテックス(天然ゴム)

天然ゴム製品は日用品として触れる機会が多いので、注意が必要です。
また、バナナやアボカドなどとアレルギーを起こす構造が似ているので、ラテックスアレルギーになると、バナナやアボカドのアレルギーを起こしやすくなることもあります。
ラテックスのアナフィラキシーを起こしやすい人
- 医療従事者で、特に手指にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎がある人
- 繰り返し医療処置を受けている患者さん
- 食物アレルギーを持つ患者さん、特にアボカド、バナナ、クリやキウイフルーツなどにアレルギーがある人
- 天然ゴムの製造に携わる人
対策は?
- 問診や検査を受けてラテックスアレルギーか確認をする
- ラテックス製品を避ける
- プラスチック製等、代替品を使う
- 医療機関を受診する時に自らラテックスアレルギーであることを申告する
4.蜂毒

蜂刺されは夏に多く起きます。特にスズメバチとアシナガバチは攻撃性が強いので注意が必要です。
蜂は無差別に人を攻撃するわけではありません。人が巣に近づいたり、巣を壊したりした時に飛びかかってきます。
対策は?
蜂に刺されないことです。
- 巣に近づかない、巣に刺激を与えない
- 防蜂網を着用する
- 蜂の殺虫スプレーを持つ
蜂に刺される可能性がある場所で作業をする場合は?
- あらかじめ蜂アレルギーの検査や診察を受けておく
- 重篤なアレルギー反応を起こす可能性があれば、アナフィラキシーを防ぐための自己注射キットを持つ(登録医師の処方が必要です)
まとめ
アナフィラキシーにとって一番良い治療は、アナフィラキシーを起こさないことですが、日常のあらゆるシーンにアレルゲンは存在します。
もしもの時に備えて正しい知識を身につけて、なるべく避けるようにしましょう。
アナフィラキシーの発生を確実に予想できる方法はないので、普段から身に触れるものと身体の状態を観察して把握していましょう。
異常が起きた時は早急に医師と連絡を取ることが重要です。