慢性的な頭痛に悩む方は多くいらっしゃいます。しかし、一言に「頭痛」といっても、痛む場所・痛みの性状・痛みの程度はさまざまです。そこで今回は、後頭部が痛む場合に焦点をあて、痛みの原因と改善方法について考えていきたいと思います。

目次

後頭部が痛いのはなぜ

頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛などの基礎疾患のない「一次性頭痛」、くも膜下出血や脳腫瘍などの脳の病気(基礎疾患)が原因で起こる「二次性頭痛」、そして「頭部の神経痛」の3つに分類されます。

このうち、後頭部に痛みが出現する可能性が高いものとして、一次性頭痛である「緊張型頭痛」と「片頭痛」、頭部の神経痛である「後頭神経痛」が挙げられます。

これ以外に、くも膜下出血や脳腫瘍などの二次性頭痛でも後頭部に痛みを感じることがあるので安易に判断することはできませんが、以下のものは頻度の多いものとして頭に入れておきましょう。

1.緊張型頭痛

後頭部・首・肩回りの血行不良が原因で起こる頭痛です。後頭部から首すじにかけて、重苦しさや圧迫感を感じることがあります。

2.片頭痛

「片頭痛」と書きますが、頭の片側だけでなく、頭の両側や後頭部にも痛みが出現します。脈打つような痛みが特徴的ですが、重苦しい痛みが主体になることもあります。

3.後頭神経痛

首すじから後頭部、耳の裏にかけての電気が走ったようなぴりっとした痛み・きりきりとした痛みが特徴です。左右どちらか一方のことが多いです。痛みは発作性のことが多く、周期的に痛みが出現します。

後頭部痛の改善方法とは

伸びをする女性

1.緊張型頭痛

緊張型頭痛は、心理的なストレスや緊張、長時間同じ姿勢を取り続けることなどによる肩・首周りの血行不良が原因となることが多く、肩こりや首筋の凝りを伴っていることがあります。そのため、常日頃から肩こりをなくしていくことで改善が期待できます。

特に、長時間におよぶデスクワーク、携帯電話やゲームの使用は肩こりを招く原因です。そのため、30分に1回程度を目安に、肩や首回りのマッサージやストレッチを行うようにしましょう。

  • 肩を上下させる
  • 首を回す
  • 首を前後左右に曲げる
  • 首の付け根を叩く など

頭痛体操

緊張型頭痛に対しては、日本頭痛学会「頭痛体操」もおすすめです。頭を支えている首周囲の筋肉を動かすことができます。

  • 後頸筋を伸ばす腕を回す体操:正面を向き頭は動かさず両肩を大きく回す
  • 僧帽筋を伸ばす肩を回す体操:肘を軽く曲げ、肩を前後に回す
  • 椅子に座ったままでもできる体操:椅子に座り、両足を揃え顔を正面に向けたまま左右の肩を交互に前に突き出すように体を回す

心理的ストレスが原因の場合は、ストレスの原因を取り除くようにしましょう。

これらを行ってもなかなか改善されない場合、病院では鎮痛薬・筋弛緩薬・抗不安薬などの薬物療法を行うこともあります。

2.片頭痛

片頭痛は、精神的なストレスや環境の変化、睡眠不足・過眠、アルコール、食事、疲労、気候など様々な誘引が関与していると考えられています。普段の生活習慣を見直すことが、頭痛の頻度を減らすことにつながります。

いつ・どのようなタイミング・頻度で頭痛が起こったのかを記録する「頭痛ダイアリー」を、病院では治療の一貫として記録してもらうことがあります。こうした記録をつけることで、自分の頭痛の特徴を理解し、治療に役立てることも可能になります。

3.後頭神経痛

緊張型頭痛と合併することが多い頭痛です。緊張型頭痛と同様に、肩・首周りの血行不良が原因となることも多いため、日頃から心と体の休息をとり精神的・身体的ストレスを溜めないように心掛けましょう。

また神経痛は比較的強く鋭い痛みであることが多く、くも膜下出血や椎骨動脈解離(頸部の血管が裂ける病気)でも同様の痛みを生じることがあるため、我慢せず病院を受診することも大事です。鎮痛薬や神経の過敏性を抑える薬によって改善することがほとんどです。

まとめ

後頭部の痛みは頭痛の中でも頻度の高いものです。頭痛は日頃の心掛けで軽減・改善されることもあります。また必要以上の薬の使用は害になることもあります。慢性頭痛でお悩みの方は、薬だけではなく、生活習慣にも目を向けてみるのも良いかもしれません。