子宮頸がん検診を受け、その結果が「頸部異形成」という聞きなれない結果だった、という方もいらっしゃるかと思います。
子宮頚部異形成とは、子宮頸がんの前段階と考えられています。もちろん、すべての異形成ががんになるわけではありませんが、必ず婦人科を受診し、再検査をする必要があります
ここでは、頸部異形成とはどういう状態か詳しくお話ししたいと思います。

目次

子宮頸部異形成ってなに?

子宮頸部異形成は、子宮頸がんの前段階と言われています。
子宮頸部異形成と診断された人すべてが子宮頸がんになるわけではなく、治療なしで自然に治ってしまう場合もあるため、経過観察で済むこともあります。

異形成の状態には、軽度・中等度・高度(上皮内がん)の3段階があり、異形成の状態がそのまま持続する場合や消失する場合もありますが、軽度だったものが中等度、高度へと進行していく場合もあります。
さらに進行すると、上皮から扁平上皮へと異変が進行していき、子宮頸がんと診断される状態になります。

異形成と言われたらどうすればいい?

検診で「頸部異形成」という結果をもらったら、必ず婦人科を受診しましょう。
検診での検査は一次検診ですので、さらに詳しく調べるために精密検査を受ける必要があります。検査方法としては、ハイリスクHPV感染の有無を調べるとともに、コルポスコピー診と組織診が行われます。検査の内容は下記のようになります。

コルポスコピー診

内診台で、コルポスコピーという拡大鏡を使って子宮頸部の表面を拡大して観察し、異常のある部分を診察する方法です。

組織診

がんが疑われる部分を擦って細部を採取し、顕微鏡で確認する方法です。子宮頸がんの診断率は99%以上という報告もあり、信頼できる検査と言えます(がん研有明病院より)。

これらの精密検査を受けた後、その結果によって治療方針が決まってきます。検診などの一次検査の結果だけでは、異形成の程度やがん化の可能性の診断は難しいこともあるため、必ず精密検査を受けることが必要です。頸部異形成は、年数をかけてがん化していく場合があり、定期的な検査を受けて経過をみていくことが非常に重要です。

異形成からがんになる確率は?

子宮頚部異形成となると、数年から10年後に子宮頸がんへと進行していくことがありますが、その確率についてはまだはっきりとわかっていません

子宮頸がんの主な原因の1つに、ヒトパピローマウイルスがあります。性交渉によって感染するウイルスですが、感染しても90%以上の場合は2年以内に自然排出され、がんにまで至るものは少ないものです(厚生労働省より)。

このヒトパピローマウイルスには約100種類の型やタイプがあり、その中にハイリスク型と呼ばれるものが存在します。
子宮頚部異形成がハイリスク型の感染によるものだった場合には比較的がん化の危険性が高いと言えますが、ハイリスク型に感染していた場合でも、がん化する確率は20%程度とされていますがん研有明病院より)。

治療方法は?

軽度や中等度異形成の場合は、約半数の人が自然に治るため、すぐに治療をするのではなく、経過観察していくことが多いです。高度異形成(上皮内がん)や、中等異形成が長期に続く場合には円錐切除術(子宮頸部を円錐状に切り取る手術)などの手術療法が行われます。円錐切除術の場合、手術後の妊娠も可能です

まとめ

頸部異形成は、がん化の可能性がありますが、定期的に検査を受けて経過観察をしていくことで、早めに有効な治療を行うことができます。
自然に治癒する可能性もありますが、だからといって通院をやめてしまうことは避けましょう。きちんと検査を定期的に受けて、治癒したのを確認することが重要です。

また、頸部異形成は、症状が特にない状態ですので、子宮頸がん検診を受けないと見つけることが難しい病気です。
年に1回は婦人科検診を受けるようにして、子宮頸がんやその他の婦人科疾患の発症を見逃すことのないように自分で管理していきましょう