最近イライラが収まらない、子供の夜泣きがしんどい…と感じられている方はいらっしゃいませんか?
病院に行くのはハードルが高いけど、イライラの症状が続いてつらい、不眠がちになってきた、という方には市販されている漢方がお勧めです。

病院と違ってドラッグストアに行くと置いてあるため試してみやすい漢方ですが、種類がたくさんあり悩んでしまうことも多いでしょう。

そこで今回はたくさんある漢方の中でもイライラの症状に効くとされている「抑肝散加陳皮半夏」について詳しく見ていきたいと思います。

また名前が良く似ている抑肝散という漢方との違いについても見ていきましょう。

目次

抑肝散加陳皮半夏とは?

抑肝散加陳皮半夏は「よくかんさんかちんぴはんげ」と読み、神経症や不眠症、小児の夜泣きなどに使われる漢方です。

認知症の精神症状などに良く用いられている「抑肝散」という漢方に陳皮半夏という生薬を加えた漢方であり、以下の生薬で構成されています。

  • 柴胡【サイコ】
  • 釣藤鈎【チョウトウコウ】
  • 蒼朮【ソウジュツ】
  • 茯苓【ブクリョウ】
  • 当帰【トウキ】
  • 川芎【センキュウ】
  • 甘草【カンゾウ】
  • 陳皮【チンピ】
  • 半夏【ハンゲ】

釣藤鈎や柴胡には筋肉の緊張を抑えたりけいれんを抑えたりする効果があり、蒼朮や茯苓は体内の水の循環を改善し、余分な水分を外に出す利尿作用があるとされています。

また当帰と川芎は血行を良くし、陳皮と半夏は心を落ち着かせながら、悪心・嘔吐などの胃部症状をおさえます。

抑肝散加陳皮半夏の効能効果

添付文書では以下のような効果があると書かれています。

  • 神経症
  • 不眠症
  • 小児の夜泣き
  • 小児疳症(しょうにかんしょう)

小児疳症とは小児がイライラして神経が高ぶってひきつけ、けいれん、不眠を起こしている症状のことを言います。

抑肝散加陳皮半夏はどのような人に向いているのか

虚弱体質で胃腸が弱く神経が高ぶって常にイライラして怒りっぽい方に向いています。

しかし

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊娠中、もしくは妊娠の可能性がある人
  • 胃腸が著しく弱い人

は服用前に医師に相談してください。

抑肝散加陳皮半夏はどのようにしてイライラに効くのか?

体内の「血(けつ)」(全身に栄養を与えるもの)が不足している状態になると、ストレスの耐性が低くなってしまい、ささいなことでもイライラしたり怒りっぽくなってしまいます。このような神経症症状の原因として「気」(体を支えるもの、エネルギー)のめぐりが関係しているとされており、血の不足でストレス耐性が低くなったところにすこしでもストレスが加わると気のめぐりが悪くなり、イライラなどの症状を引き起こしやすくなります。

そこで抑肝散加陳皮半夏は自律神経を整えながら「血」を補うことで、気のめぐりをよくして上記のような精神症状を軽減させるのです。また胃腸が弱い人でも服用できるように、胃腸の働きを調整する生薬も入っています。

抑肝散加陳皮半夏と抑肝散との違い

抑肝散に「陳皮・半夏」という生薬を加えられたものが抑肝散加陳皮半夏ですが陳皮と半夏を加えることで胃腸を整える効果も持ち合わせることになるため、胃腸が弱い方向けの処方となっています。

使用される症状に関しては抑肝散とほぼ同じと考えてよいでしょう。

抑肝散加陳皮半夏の副作用

主な副作用としては

  • 食用不振、胃部不快感
  • 悪心、下痢

などが報告されています。

また重大な副作用として

  • 偽アルドステロン症(低カリウム血症、しびれ、こわばり、こむら返り、血圧上昇)
  • ミオパチー(低カリウム血症の結果表れる筋肉疾患のことで、脱力感やけいれん、麻痺などが生じる)

がありますが、これは抑肝散加陳皮半夏のなかに「甘草」という生薬が含まれているためなので、他の漢方を服用する際もこの「甘草」が入っているかどうかをチェックしながら服用するようにしてください。

甘草はいろいろな漢方に含まれているため、知らないうちに重複して服用していたといったことも多いです。重複して服用することでより上記のような重大な副作用が生じやすくなりますので、漢方を併用する場合はなるべく医師・薬剤師に相談してください。

まとめ

イライラに効く漢方といってもいろんな種類があり、どれが自分に合っているかまではわかりませんよね。

今回ご紹介した漢方「抑肝散加陳皮半夏」は胃腸の調子が悪い方用のイライラのお薬です。胃腸が弱い方にでも使うことができますので、イライラで悩まれている方は試してみてもよいでしょう。

また先ほど述べたようにイライラの漢方といってもたくさんの種類があります。今回の漢方で効果が見られなかった場合でも、他の漢方だったら効果が表れるといった可能性もありますので、ご自身に合った漢方を医師・薬剤師などと相談しながら見つけていきましょう。