毎年春が近づくとやってくる花粉症、また風邪でいつも鼻の症状に悩んでいる方、漢方を使ってみたことはありますか?
鼻の症状というと西洋のお薬を使われる方が一般的でしょうし、病院にいってもほとんどの方が西洋のお薬を処方されているかと思います。
しかし西洋のお薬で気になるのは眠気などの副作用です。花粉症などでは毎日のことなので仕事中や家事中、育児中に眠気があるとつらいことも多いのではないでしょうか?
そこでお勧めなのが眠気の出ない漢方薬「葛根湯加川芎辛夷」です。鼻の症状の中でも鼻づまりが特にひどい方にお勧めの漢方です。
そこで今回は鼻づまりに効く「葛根湯加川芎辛夷」について詳しく見ていきたいと思います。
葛根湯加川芎辛夷とは?
葛根湯加川芎辛夷は「かっこんとうかせんきゅうしんい」と読み、鼻づまりなどの鼻症状に用いられる漢方です。漢方は様々な生薬が組み合わさって構成されていますが、今回の葛根湯加川芎辛夷には以下のような生薬が含まれています。
- 葛根【カッコン】
- 麻黄【マオウ】
- 桂皮【ケイヒ】
- 芍薬【シャクヤク】
- 甘草【カンゾウ】
- 大棗【タイソウ】
- 生姜【ショウキョウ】
- 川芎【センキュウ】
- 辛夷【シンイ】
葛根湯加川芎辛夷という名前の中の「加」は加えるという意味であり、葛根湯の処方に「川芎・辛夷」という生薬が加えられた処方であるということがわかります。葛根湯は風邪のひき始めや肩こりなどに使われる漢方で、服用したことのある方も多いのではないでしょうか?
その葛根湯に鎮痛・鎮静効果・鼻の通りをよくする効果を持ち合わせた川芎・辛夷をプラスしています。
葛根湯加川芎辛夷の効能効果
葛根湯加川芎辛夷は以下のような効能効果を持ち合わせています。
- 鼻づまり
- 蓄膿症
- 慢性鼻炎
鼻づまりを主とした鼻症状に効くようになっています。
また鼻づまりではなく水っぽい鼻水やくしゃみが主の症状の方には小青竜湯などの漢方の方が向いているでしょう。
葛根湯加川芎辛夷はどのような人に向いているのか
比較的体力のある方に向いています。
鼻症状の中でも鼻づまりに効果的なので、鼻づまりがひどくて息がしにくい方、夜も寝れない方、鼻づまりになるといつも蓄膿症になる方などは葛根湯加川芎辛夷が向いています。
葛根湯加川芎辛夷を自己判断で服用しない方が良い方
葛根湯加川芎辛夷には「麻黄」と「甘草」が入っているため、入っていない他の漢方薬より扱いが少し難しくなります。
麻黄は体を臨戦態勢にさせる成分(交感神経刺激成分)が含まれており、発汗・気管支拡張・頻脈・動悸・血管収縮・血圧上昇などが生じやすくなっています。その効果を利用して鼻づまりを和らげるのですが、副作用として現れてしまう場合もあるため注意が必要です。
また甘草も血圧上昇などの恐れがあるため、以下に該当する方は使用を控えるか、医師に相談してから服用するようにしましょう。
- 著しく体力が衰えている、または病後で衰弱している方
- 胃腸がとても弱い方
- 食欲不振・悪心・嘔吐がある方
- 非常に汗をかきやすい方
- 狭心症、心筋梗塞など起こしたことがある方
- 重症の高血圧患者、腎障害患者
- 排尿障害がある方、前立腺肥大がある方
- 甲状腺疾患のある方
- その他、医師の治療を受けている方
- 妊娠中の方
特に妊娠中の方は麻黄を含む製剤は基本的には飲むことができません。どうしても症状が酷い場合は麻黄が入っていないタイプの漢方薬もありますし、妊娠中でも使用可能な点鼻薬がありますのでかかりつけの医師に相談してみてください。
葛根湯加川芎辛夷はどのようにして鼻づまりに効くのか?
川芎は活血去瘀薬と呼ばれ、気血の流れを上部(頭や顔)に向けて良くします。また辛夷は温めて鼻竅(鼻の穴)を通す働きがあります。
鼻づまりは鼻水だけでなく気温差や血流障害による鼻粘膜のむくみによっても起きるとされており、葛根湯に川芎と辛夷を足す事でカゼの初期や花粉症の鼻づまりにより効果的な処方になります。
葛根湯加川芎辛夷の副作用
漢方では西洋薬にありがちな眠気の副作用はありませんが、以下のような副作用が報告されています。
- 発疹、発赤
- 食欲不振、悪心、嘔吐
- 頻脈、動悸
- 排尿障害
- 不眠
以上のような症状が現れた場合は早めに医師に相談してください。
また重大な副作用として
- 偽アルドステロン症(低カリウム血症・高血圧・むくみなどの症状が生じる)
- ミオパチー(低カリウム血症から引き起こされる筋肉疾患で、脱力感・麻痺などが生じる)
等が報告されていますので、こちらの症状にも気を付けて、少しでも不安な点があれば病院に行ってください。
まとめ
眠気が出ない漢方は鼻症状の強い味方の一つです。しかし漢方にもさまざまな種類があり、鼻症状の種類によっても使われる漢方は違ってきます。
ご自身の体質や、症状に合わせて漢方を選んでください。漢方薬に詳しい薬剤師さんやお近くの漢方の専門医に相談するのも良いでしょう。