朝起きると喉がカラカラになっている人、結構多いですよね。またいつもペットボトルで水を持ち歩いている人もいるのではないでしょうか?

健康のために水を飲んでいる人であれば問題はないのですが、いつも喉が渇いて水を飲んでいる人はもしかしたら病気があるのかもしれません。今回は喉が渇く原因と、喉の渇きを症状とする病気について解説していきます。

目次

なぜ喉が渇くの?喉が渇くメカニズムとは

どうして人は喉が渇くのでしょうか?

人の体は約60%が水分でできています。ここから2%の水分が失われただけでも脱水症になってしまいます。それを防ぐために、以下の2つの機序(しくみ)で喉が渇きます。

塩分濃度の調整

汗をかいたり、呼吸をしたりすることによって人の血液中から水分が少なくなってくると、脳は細胞の中の水分を血液に送るように指令を出します。それと同時に口渇中枢(こうかつちゅうすう)を刺激して、喉が渇いたという指令を送ります。すると私たちは水を飲み、血液に水分が満たされると、血液から細胞にも水分が返されるのです。

しかし実は、脳が感知しているのは血液の水分量ではありません。脳は、血液の主に塩分の量によって変化する血漿浸透圧(けっしょうしんとうあつ)を感知しています。水分が少なくなることで血液中の塩分濃度が上がると脱水と判断し、喉が渇く指令を送るのです。

口や喉のセンサー

喉が渇いて水を飲むと一度胃の中に水は溜り、そこから腸へ移動して血液に送り込まれます。それにはある程度の時間が必要とされるため、脳が「脱水が改善された」と判断した時には、水分を多く取りすぎてしまっています。

それを防ぐために、口や喉には、冷たいという刺激や濡れたという刺激を感じるセンサーがあります。このセンサーによっても脳は水分の必要性を判断します。センサーが濡れるといったん脳が感じる渇きを癒して、センサーが渇くと水分が必要だと指令を送るのです。

このように口腔粘膜の乾燥によって、口渇感が生じます。これは口腔内を湿らせる唾液の分泌の低下によっても生じます。

喉が渇くのは病気なの?

砂漠

喉が渇くシステムはご理解いただけたと思います。当然、健康な人でも喉は渇きますので、喉が渇いただけで病気を心配しすぎる必要はありません。喉が渇く原因は脱水および塩分の摂取による血漿浸透圧の上昇口腔内の乾燥を感知する口や喉のセンサーによるものがあります。

日常で喉が渇く場合

  • 夜寝ている間にも多くの水分が失われていきますので、朝起きた時に喉が渇いているのは自然なことです(症状がひどかったり、他の症状もみられたりする場合は後述する睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります)。
  • 年齢とともに、特に夜間に喉の渇きを感じるようになる方も多いと思います。唾液を出す管が細くなり唾液の量が減ることと、体全体の水分量が減少することが原因と考えられます。
  • ストレス緊張などにより自律神経のバランスが崩れることで、唾液の分泌量が減り、喉が渇いたように感じることもあります。
  • 女性の場合は月経前や月経時に喉の渇きを感じる方も多いと思います。この時期は黄体ホルモンの分泌が増えることで自律神経のバランスが崩れやすくなっているので、喉の渇きを感じることがあります。

このように喉の渇きは日常の生活の中でもよく起こる症状ですので、上手に水分補給をしていくことが大切です。

喉が渇く病気もあるの?

糖尿病

糖尿病になると腎臓が血液中のブドウ糖を排出しようと働くため、水分とともに尿として排泄してしまいます。尿量が増えると体内の水分量が減り、脱水状態になり喉が渇きます。

喉の渇きを抑えるために多くの水分をとると、結局さらに排尿の回数が増え、悪循環に陥ることがあります。

自律神経失調症や更年期障害

自律神経失調症更年期障害では自律神経のバランスが崩れてしまい、唾液のコントロールが悪くなり口腔内が乾燥し、喉が渇いたように感じます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

寝ている間に30回以上、あるいは1時間につき5回以上の無呼吸状態がみられるのが睡眠時無呼吸症候群です。寝ている間に症状が出るため、気付くことが難しく、潜在的な患者さんが数多くいるといわれています。

起きた時に、口の渇きに加え、頭痛だるさを覚えたり、熟睡感がなくすっきり起きられないと感じたりしたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は唾液腺の異常を起こす自己免疫疾患です。比較的珍しい病気といえます。唾液腺の異常により唾液の分泌が減少し喉の渇きを引き起こします。

目の強い乾燥関節の痛みなどを伴い、中年以降の女性に多くみられます。

腎臓疾患

腎臓疾患で腎機能が低下してくると尿を濃縮できなくなり、尿量が増えることがあります。尿量が増えると体内の水分量が減り、喉が渇きます。

一般的に、尿量は抗利尿ホルモンという物質と腎臓の働きによって調節されます。しかし、このホルモンの出が悪くなったり、腎臓でのホルモンの作用が悪くなったりした場合、尿の量が増加します。これを尿崩症(にょうほうしょう)といい、喉が渇くことがあります。

その他、喉が渇く原因

薬によるもの

ある種の薬の副作用で、喉や口の渇きが見られる場合があります。例えば、胃腸薬の一部を服用すると、唾液などの分泌が抑えられることがあります。

症状がひどいようであれば服用を一時中止し、医師や薬剤師に相談してください。

最後に

喉が渇くということは全て脳からの指令で命じられます。生命が危機に陥らないように、調節してくれているのです。しかし必要以上に喉の渇きを感じる場合は病気を疑ったほうが良いでしょう。一度病院で検査してもらうことをおすすめします。