処方されたお薬の説明書を読んでいると「偽アルドステロン症」といった聞きなれない病気の名前を目にしたことはありませんか?

偽アルドステロン症は漢方の副作用としてよく知られており、症状としては手足のしびれや高血圧、むくみなどがあります。
漢方はドラッグストアなどでもたくさんの種類が販売されており、病院に行かなくても服用することができるため、「偽アルドステロン症」になる可能性は誰にでもあります。

そこで今回は「偽アルドステロン症」の症状やどんな漢方を服用するとなりやすいのかなどについて詳しくみていきたいと思います。

目次

偽アルドステロン症とは?

偽アルドステロン症とは主に甘草という生薬が多く入っている漢方を服用した際に生じる可能性のある副作用の一つです。

アルドステロンとは腎臓の上に存在する副腎という臓器で作られるホルモンのことで、体の中に水分・塩分を取り込んでカリウムを体外へ排出させる働きをします。

このアルドステロンが多く分泌された場合に「アルドステロン症」という高血圧・むくみ・手足のしびれなどを生じさせる病気になります。

偽アルドステロン症とは実際にアルドステロンが増加しているわけでもないのに、アルドステロン症になったときと同じ症状が生じることを言います。

偽アルドステロン症の症状

では具体的な症状についてみていきましょう。
偽アルドステロン症は水分・塩分を体内に取り込み、カリウムを排出する事から

  • 血圧を上げる
  • 頭痛
  • むくみ
  • 手足の力が入らない
  • 筋肉痛
  • こむら返り

などの症状が生じます。

初期症状としては手足のだるさやしびれ、こわばりが現れ、さらにこむら返りや筋肉痛、力が入らないような症状が強くなっていきます。

さらにひどくなると不整脈を起こしたり、歩行困難、意識を失ったりする場合もあります。

症状はいつ発現するのか

薬の副作用で「偽アルドステロン症」になるとお話ししましたが、では薬を服用してからいつ症状があらわれるのでしょうか?

これは人によってバラバラで、服用を開始してから10日以内に発症したり、数年ものあいだ長期服用してから発症したりしています。しかし服用後3か月以内で発症している人が40という報告(厚生労働省より)もあるため、飲み始め3ヵ月は特に上記の症状に注意して服用をするべきでしょう。

原因になる薬品

偽アルドステロン症は、主にグリチルリチンが含まれる薬品を服用することで起こりうる副作用です。
グリチルリチンは、漢方薬によく入っている甘草の主成分でもあります。

つまり甘草が入っている漢方薬や、グリチルリチンが入っているかぜ薬などを服用することで「偽アルドステロン症」が現れる可能性があります。

甘草(グリチルリチン)は炎症を抑えるための成分で、漢方の7に含まれているとされています。またグリチルリチンとして、市販の風邪薬や鼻炎薬、目薬などに含まれ、500個以上の医薬品に使われています。

甘草が入っている主な漢方としては

  • 芍薬甘草湯(甘草含有量:6g/一日服用量中):筋肉の痙攣、筋肉痛などに用いられる
  • 葛根湯(甘草含有量:2g/一日服用量中):初期の風邪に用いられる
  • 小青竜湯(甘草含有量:3g/一日服用量中):鼻かぜ、鼻炎に用いられる
  • 麻黄湯(甘草含有量:5g/一日服用量中):初期インフルエンザ、風邪等に用いられる

などがあげられます。
皆さんがよく目にする漢方も多いですよね?

1日に服用する甘草の量が2.5g以上であると、偽アルドステロン症などの副作用が発現しやすいとされていますので、長期に服用する場合や、漢方を併用している場合などは注意が必要です。

偽アルドステロン症の対処方法

それでは上記のような症状が現れた場合、どのような対処を取ればいいのでしょうか?

まず一番は医療機関にかかることですが、上記のような薬の服用が原因とする「偽アルドステロン症」は薬の服用を止めることでよくなっていくことが多いです。

しかし処方されているお薬の中には自己判断で中止してはいけないものもありますので、処方されたお薬の場合は症状が現れたらすぐに処方してくれた医師に相談してください

また気になる症状が出た場合は、放っておかず医師・薬剤師に相談してください

まとめ

「偽アルドステロン症」は漢方の副作用の中で3〜4番目に多いものとされており、漢方の説明書にはこの見慣れない病気の名前が書かれている場合が多いです。もちろん一般的な医薬品と比べてはるかに副作用の頻度は少ないのですが、漢方薬を服用する場合は注意が必要な副作用の一つです。

しかし初期症状などを把握して、症状が現れた場合は服用を止め、医療機関に行くことなどの対策を取れば症状は一時的なものなので、こういった病気があること、またその初期症状やどのお薬に原因薬物(甘草・グリチルリチン)が含まれているのか、その原因薬物の1日の服用量は多くないか、重複していないかなど注意することで防げることも多いです。

お薬選びや初期症状など不安に思うことがあれば、処方してもらった先生、またはドラッグストアの薬剤師などに聞いてみるとよいでしょう。