耳から液体が出てくることを耳だれ(耳漏)といいます。中耳炎でみられる症状ですが、それ以外の疾患でも出てくる場合があります。耳だれの発生場所と、耳だれが起こった時の原因としてどのような病気が考えられるのか紹介します。

目次

耳だれとは

一言で耳だれといっても、疾患によって色や粘り気などが異なっていて、様々なタイプに分けられます。それぞれの耳だれの特徴は以下のようになります。

  • 漿液性(しょうえきせい)…無色透明で、水のようなサラサラとした耳だれ
  • 膿性…膿のように白っぽい耳だれ
  • 粘液性…粘り気がある耳だれ
  • 粘膿性…粘り気があり、膿のように白っぽい耳だれ
  • 血性…血が混じった耳だれ

耳だれの原因

耳だれが起こる場所は大きく外耳道、中耳、頭蓋内の3つに分けられます。発生する場所によって、様々な原因疾患が考えられます。

外耳道湿疹・外耳道炎

耳の入り口から鼓膜までを外耳道といいます。耳のかき過ぎなどで外耳道に湿疹(外耳道湿疹)や炎症(外耳道炎)がみられると、漿液性の耳だれを起こすことがあります。外耳道炎では耳だれの他にかゆみや痛みなどもよくみられ、耳たぶを引っ張ったりすると痛みが強くなるのも特徴です。

また炎症した箇所が細菌感染すると、膿性の耳だれに変化していきます。細菌感染してさらに悪化すると悪性外耳道炎を発症し、治りにくくなります。悪性外耳道炎は高齢者など免疫力が低下した方にみられやすいです。

中耳炎(急性中耳炎・慢性化膿性中耳炎・真珠腫性中耳炎)

鼓膜の奥にある耳小骨や鼓室、喉と耳をつなぐ耳管がある部分を中耳といいます。風邪をひくなどして細菌やウイルスが耳管から中耳に入りこむと、炎症を起こしやすくなります。これを急性中耳炎といい、鼓膜が破れて粘膿性のドロッとした耳だれが出てきます。

急性中耳炎は中耳に膿が溜まると発熱することがあり、鼓膜が破れて膿が耳だれとして排出されると熱が下がるのも特徴です。子供によくみられる病気ですが、大人でもなります。

急性中耳炎を何度も繰り返す慢性化膿性中耳炎、鼓膜の一部が凹んで袋状になった部分に垢などが溜まって真珠のような塊ができる真珠腫性中耳炎も耳だれが出やすくなります。真珠腫性中耳炎は、悪化すると難聴などの合併症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

その他

激しく頭を打ち付けて頭蓋骨骨折などが起こった場合、血液や髄液が内耳から外耳へと流れ出てくる場合があります。色は血液が混じった赤いものから、透明なものまであります。他にも非常に稀ですが耳に悪性腫瘍ができた場合でも、血性の耳だれが生じることがあります。早目に耳鼻科を受診しましょう。

耳だれが起こった時の対処法

出てきた耳だれを拭き取るために耳の中に手を入れたり、綿棒で掃除したくなったりするかと思います。しかし、触ることで外耳道の炎症がひどくなったり症状が悪化したりする可能性はあるため、自分で触らないようにし、耳の外に溢れ出てきた耳だれだけ拭き取るようにしましょう。

また急性中耳炎などの場合は、鼓膜が破れて耳だれが出ると痛みが軽減します。鼓膜は破れても再生しますが、破れた鼓膜に感染などが起こると塞がらなくなってしまう場合があり、聴力の低下などの原因となります。耳だれが出て痛みがなくなっても放置せず、必ず医師の診察を受けて耳の状態を確認してもらいましょう。

まとめ

耳だれ=中耳炎という印象は強いですが、紹介してきたように外耳道の炎症や頭部を強打することで起こる事もあります。たかが耳だれと放置しておくと難聴になる可能性があるなど、その後の生活に支障をきたす恐れもあります。耳だれに対して正しい知識を持ち、繰り返しになりますが耳だれが起こった時は、症状が軽くなっても必ず耳鼻科を受診し医師の診察を受けましょう。