熱中症指数(WBGT)というものを聞いたことがありますか?
テレビの天気予報で熱中症の警戒レベルが公表されていますが、その指標には暑さ指数が用いられています。
暑さ指数とは何か、暑さ指数によって気を付けるべき熱中症対策について解説していきます。
熱中症指数(WBGT)とは
WBGTとはWet Bulb Globe Temperature の略称で、和訳では「湿球黒球温度」といいます。熱中症予防を目的にアメリカで提案された指数で、熱中症指数、暑さ指数などと呼ばれています。
WBGTをもとに、「運動は控えるべき」など注意すべき活動の目安がわかります。
熱中症のなりやすさは気温の高さだけではなく、湿度や輻射熱(ふくしゃねつ:地面、建物、身体などから出る熱)の影響も受けています。
特に湿度が高いと、身体の中の熱を汗として身体の外へ放出しにくくなり、身体に熱がこもって熱中症になりやすくなります。
そのため、暑さ指数の単位は度(℃)ですが、気温だけではなく、気温と湿度と輻射熱の組み合わせから算出されます。
暑さ指数(WBGT)の算出式
暑さ指数の算出は屋外の場合と屋内の場合で異なります。湿球温度、黒球温度、乾球温度を用いて以下の算出式によって算出されます。
- 屋外での算出式:WBGT(℃) =7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
- 屋内での算出式:WBGT(℃) =7×湿球温度+0.3×黒球温度
気温の高くなりがちな作業場所・現場では、黒球つきのWBGT測定器を設置し、値に応じた熱中症対策を行ってください。
暑さ指数(WBGT)ごとの指針
近年、猛暑による熱中症被害が問題となっており、暑さ指数を用いた日常生活および運動の熱中症予防指針が公表されています。
日本生気象学会からは「日常生活における熱中症予防指針」が公表されており、熱中症患者の発生率は暑さ指数28度以上で急増する(環境省より)とされています。
WBGT | 注意すべき生活活動の目安 |
31度以上 | 高齢者においては安静状態でも 発生する危険性が大きい。 外出はなるべく避け、 涼しい室内に移動する。 |
28~31℃ | 外出時は炎天下を避け、 室内では室温の上昇に注意する。 |
25~28℃ | 運動や激しい作業をする際は 定期的に充分に休息を取り入れる。 |
25℃未満 | 一般に危険性は少ないが 激しい運動や重労働時には 発生する危険性がある。 |
日本生気象学会|日常生活における熱中症予防指針Ver.3確定版をもとに作成
また、暑さ指数と運動について、公益財団法人日本体育協会からは「熱中症予防運動指針」が公表されています。
WBGT | 注意すべき運動の目安 |
31℃以上 | 運動は原則中止
特別の場合以外は運動を中止する。 |
28~31℃ | 厳重警戒(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、 運動する場合には、 |
25~28℃ | 警戒(積極的に休息)
熱中症の危険が増すので、 激しい運動では、 |
21~25℃ | 注意(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する |
21℃未満 | ほぼ安全(適宜水分補給)
通常は熱中症の危険は小さいが、 市民マラソンなどでは |
公益財団法人 日本体育協会|スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック 熱中症予防運動指針をもとに作成
日頃から熱中症を意識して対策を
高齢者や子供は体温調節が行いにくいので屋内でも注意が必要です。
特に熱中症患者が急増する暑さ指数28度以上では以下の対策をとり、熱中症を予防しましょう。
- 外出時には帽子をかぶる
- 水分をこまめに摂る
- こまめに休憩する
- 日陰に入る
- 通気性の良い涼しい服を着る
- 部屋の温度をこまめに測り、エアコンなどで調節する
- 激しい運動や持久走は避ける
- 運動時にはこまめな休息と水分・塩分をこまめに摂る
- WBGT31℃以上では運動は中止する
まとめ
暑さ指数は気温と湿度と輻射熱から計算された温度で、熱中症予防の指標となります。環境省のホームページでは全国11か所の暑さ指数を公表しており、色別で危険度がわかるようになっています。
希望の観測地点を選択し、メールで暑さ指数のレベルを5段階で配信する熱中症予防情報メールサービスも実施されています。
年々暑さは厳しくなり、熱中症への警戒が必要です。暑さ指数を有効活用して熱中症を予防しましょう。