「お酒はほどほどに」「節度を守って」と良く言われていますが、どのくらいが適量と言えるのでしょうか?
実は、お酒の代謝に問題のない人に関しては、厚生労働省で「節度ある量はこのくらい」と決められています。
お酒に弱い人や体調の優れない人などはこの限りではありませんが、人並に飲める場合はこの量を目安にしてみても良いかもしれません。
この記事では、適度なお酒の量はどのくらいか、その計算方法などを見ていきましょう。
適度な飲酒量の目安
厚生労働省では、純アルコール量で1日平均20g程度を節度ある適度な飲酒量としています。
純アルコール量とは、お酒に含まれるアルコールの量です。
お酒と言っても度数がそれぞれ違うため、どのくらい飲んだかを考えるときには純アルコール量で確認する必要があるのです。
純アルコール量は
お酒の量(mL)×アルコール度数(%/100)×0.8(アルコールの比重)
で求めることかできます。
例えばチューハイ(9%)を缶1本(350mL)飲んだ場合の純アルコール量は
350×0.09×0.8=25.2g
となります。
どうして20gなの?
どうして20g程度なのかというと、少量飲酒する人の方が、全く飲酒しない人よりも総死亡率の相対リスクが少ないという研究結果があり、男女ともに1日平均23g未満の飲酒者が最も総死亡のリスクが低いためです(厚生労働省|飲酒とJカーブより)。
虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病など一部の疾患については、少量の飲酒がリスクを引き下げることがわかっており、その影響で総死亡のリスクも減少していると考えられています。
ただし、大量飲酒はたくさんの病気を引き起こすことを忘れてはいけません。
高血圧、脂質異常症、脳出血、乳がんなど、少量であっても飲酒量に比例してリスクが上がっていく疾患もありますので「酒は百薬の長」という言葉を過信してはいけません。
具体的にはどれくらい?
とはいえ、いつもお酒の度数を気にして計算しながら飲むのは大変ですよね。
よく飲むお酒の純アルコール量を覚えておいて、「何杯まで」と最初から決めておくことをおすすめします。
下記では、いくつかのお酒の純アルコール量20g換算でおよそどれくらいになるかをまとめました。
ビール(5%) | 中瓶1本 500ml |
日本酒(15%) | 1合 180ml |
ウイスキー ブランデー (40%) |
ダブル 60ml |
焼酎(25%) | 0.5合 90ml |
ワイン(12%) | 2杯 240ml |
(厚生労働省|アルコールの種類とアルコール量をもとに作成)
適量には個人差も…少なめにするべき人とは?
上記で説明した適量はあくまで一般的なお話で、もちろん個人差もあります。
中には、「純アルコール量20g」という基準を過信せず、より少量のお酒にとどめる方が適当な人もいます。以下の項目に当てはまる人は、20gよりもさらに少なめを目安にしておきましょう。
女性
女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いことが知られています。体重あたり同じ量飲んだとしても女性の方が臓器障害をおこしやすく、男性の1/2~2/3程度が適当という考え方もあります(厚生労働省より)。
高齢者
65歳以上の高齢者も、アルコールの分解速度が下がります。また、そこまで多飲していなくても酔い方が酷くなるといわれており、若い頃はお酒に強かった人でも、一度自分の適量を見直す必要があります。
顔が赤くなる体質の人
ビール1杯程度の少量の飲酒で顔が赤くなる、吐き気、動悸、眠気、頭痛といった症状の出ることを、フラッシング反応といいます。
フラッシング反応のある人は、通常よりもお酒を代謝する力が弱いと考えられ、お酒の飲みすぎによる食道や咽頭の発がんリスクが高いといわれています。
この影響は特にヘビースモーカーで強くみられ、フラッシング反応があるが1日に2合以上の大量飲酒をする人の食道がんのリスクは、2合未満でフラッシング反応が出ない人に比べ3.4倍高くなるというデータがあります(国立がん研究センター 予防研究グループより)。フラッシング反応がみられる体質の方は、禁煙・節酒を心がけるとよいでしょう。
また、未成年、妊娠中・授乳中、薬(特に精神安定剤)による治療中の飲酒は厳禁です。
まとめ
アルコールは少量であればいくつかの疾患のリスクを下げるという報告がありますが、大量に飲んでしまうと逆効果になってしまいます。
まずは1日20g未満を目安に、お酒に弱い人は少なめに調整していきましょう。
自分の適量を頭において、週に2日は休肝日を設けることも大切です。