血圧が気になる方にとって、お酒はどのくらい飲んでも大丈夫なのか気になりますよね。
お酒が血圧に与える影響は複雑で、飲酒してからの時間や飲酒量、体質などによっても変わってきます。
この記事では、アルコールと血圧の関係について話していきます。
飲酒と血圧の関係
長期的に見ると、飲酒量の増加とともに高血圧のリスクは増加するといわれています。
飲酒量と血圧とは比例の関係にあり、アルコールの摂取量が増加するほど血圧も上昇します。研究によると、アルコールを1日30ml摂取するごとに、血圧は3mmHg上昇すると言われています(循環器病研究振興財団 p.3より)。
アルコールが血圧を上げるメカニズムははっきりとはわかっていませんが、飲酒すると心拍数が上がり交感神経が興奮すること、腎臓からマグネシウム、カルシウムが失われることに加えて、アルコールとつまみによるカロリー・塩分の摂りすぎなどが関連していると言われています。
ただし飲酒後、すぐに血圧が上がるかというとそういうわけではありません。
むしろ、お酒を飲んだ直後には一時的に血圧が下がるのです。
飲酒後は、アルコールが分解してできるアセトアルデヒドの血液中の濃度が上昇し、末梢血管が拡張します。
末梢血管が広がると血管への抵抗が少なくなって血圧が低下するとされています。
また、アルコールを摂取する人は日中の血圧は上昇気味ですが、お酒を飲んでいる夜間は血圧が低くなるという研究もあります(循環器病研究振興財団 p.4より)。
飲酒と血圧に関する研究では日中の血圧を調査していましたが、24時間血圧測定で見ると、飲酒しない人と飲酒する人ではあまり差がない可能性が出てきています。
もちろん飲みすぎは様々な病気のリスクを上げるため良くありませんが、適切な量を守りさえすれば、血圧が気になる方も禁酒まではしなくて良いとされています。
適度な飲酒量とは
それでは、適度な飲酒量とはどのくらいでしょうか?
「酒は百薬の長」とも言われ、男性は1日当たり10~19g、女性は1日当たり9gまでの少量の純アルコール摂取では最も死亡率が低いという研究結果も得られています。しかし、適度な飲酒量を超えると、1日当たりの飲酒量が増えるごとに死亡率は上昇し、「酒は万病の元」へ早変わりします(厚生労働省より)。
そこで、厚生労働省では節度ある適度な飲酒を「1日平均純アルコールで20g程度」と定義しています。
純アルコール量は
酒の量(mL) ×アルコール濃度(度数/100)×アルコール比重(0.8)=純アルコール量(g)
で計算することができます。
例えば、アルコール度数5%のビール、ロング缶1本(500ml)に含まれる純アルコール量だと、「500×0.05×0.8=20g」となります。
20gに相当するお酒の種類別の量は以下の通りです。
酒の種類 (基準%) |
酒の量 | おおよその目安 |
ビール・発泡酒 (5%) |
500ml | 中瓶・ロング缶1本 |
チュウハイ (7%) |
360ml | コップ2杯 または350ml |
焼酎 (25%) |
100ml | |
日本酒 (15%) |
160ml | 1合 |
ウイスキー・ジン等 (40%) |
60ml | シングル2杯 |
ワイン (12%) |
200ml | ワイングラス2杯弱 |
出典:e-ヘルスネット|飲酒量の単位をもとに作成
ただし、女性や高齢者、飲酒すると顔が赤くなるタイプのアルコール分解が遅い人は、この半分を目安に飲むことをお勧めします。
また、この量を守りつつ週に2日間は休肝日も必要です。普段あまり飲まないからといって1日にたくさんの量の飲酒をすることも避けましょう。節度を持った飲酒を心がけたいですね。
まとめ
節度を持って飲むお酒は健康にもよい効果が得られます。アルコール換算表を活用して、今日は「酎ハイ350mlを1缶」、「ワインをグラス1杯」などとあらかじめ飲む量を決めておくのもよいでしょう。健康を守るために節度のある飲酒を楽しみましょう。