みなさんはアクリルアミドという成分をご存知でしょうか?
アクリルアミドは、食品が120℃以上で加熱されることで生成されます。アクリルアミドを全くとらないというのは不可能なのですが、健康に悪影響を与える可能性があるため、できるだけ減らす努力をすることが大切です。

この記事ではアクリルアミドの摂取量を減らすために家庭でできる対策を解説していきます。

目次

アクリルアミドってどんなもの?体への影響は?

アクリルアミドは工業用に用いられるポリアクリルアミドの原料として製造されている化学物質で、主に水処理剤、土壌凝固剤に使用されています。

アクリルアミドは、2002年になって初めて、加熱調理をした食品に高濃度に含まれている可能性があるということが報告され、これをきっかけに食品中のアクリルアミドの研究が進められるようになりました。

アクリルアミドを使う工場などでは、労働者が大量にアクリルアミドを吸い込んでしまうことで、手足の震えや感覚の麻痺など、神経に対する毒性があることで知られていました。

また、アクリルアミドは細胞中の遺伝子を傷付けることから、ヒトに対して発がん性があるのではないかと考えられています。

食品から純粋にアクリルアミドだけを抽出して、ヒトに対しての影響を確認するのは難しく、発がん性についてはまだはっきりと結論づけられてはいません。

一般人が工業用のアクリルアミドを大量に吸うことは考えられないので、私たちが気を付けるべきなのは食品からのアクリルアミドということになります。

食品安全委員会の2016年4月の発表では、日本人が食品からアクリルアミドを摂取した場合、発ガン性以外のリスクは低いとされています。

発ガン性については明確な影響はわかってはいないものの、全く関係がないとは言い切れないことから、これからもできるだけ低減に努める必要があると結論が出されました。

アクリルアミドはどんな食品に多く含まれる?

アクリルアミドは、アミノ酸と糖類の化学反応により生成されます。揚げる、炒めるなどの120℃以上の高温で加熱する加工調理によってできやすくなります。

食品安全委員会の調査によると、日本人のアクリルアミド摂取は次のような割合となっています。

日本人の食品グループ別アクリルアミド摂取割合

食品
グループ
摂取
割合
食品例
高温調理
した野菜
56% 炒めたもやし
炒めたキャベツ
炒めた玉ねぎ
フライドポテト
飲料 17% コーヒー
緑茶
ウーロン茶
麦茶
菓子・糖類 16% ポテトスナック
小麦系菓子
米菓類
穀類 5.3% パン類
その他の
食品
6.2% ルウ

参照:厚生労働省|加工食品中アクリルアミドに関するQ&Aを元にいしゃまち編集部が作成

アクリルアミドの摂取を減らすための4つの対策

1.バランスの良い食生活を心がける

アクリルアミドを極力とらないようにと特定の食品の摂取を控えると、栄養バランスが偏ってしまいます。

基本的には揚げ物や脂肪分の多い食品を控え、バランスの良い食生活を心がけていれば自然とアクリルアミドの摂取量を抑えることが可能となります。

2.アクリルアミドができにくい食材を選ぶ

アスパラギン酸(アミノ酸)、ブドウ糖、果糖と、アクリルアミドに変化する成分が少ない食材を選ぶと、加熱したときのアクリルアミドの量を抑えることができます。

小麦粉を使う料理の場合は、一部を米粉に置き換えるだけでもアクリルアミドの生成量を抑えることが可能です。

3.貯蔵方法を変える

ジャガイモはアクリルアミドが生成しやすい食材です。特に、低温で保存するとブドウ糖と果糖が増えてしまい、高温調理したときにアクリルアミドができやすくなります。
糖質の多い野菜は、低温ではなく6℃以上の環境で保存しましょう。

4.加熱条件を見直す

アクリルアミドは高温調理で生成されやすくなります。同じ加熱料理でも、煮る、茹でるといった方法はアクリルアミドができにくい調理法です。

また、食品を長く加熱しすぎないためにも、下茹でをしておくという工夫もあります。

さらに、食品中の水分が少ない場合にもアクリルアミドが発生しやすいといわれています。加熱前に水にさらしておくことで、水分含有量を増やすことが可能です。

ただし、アクリルアミドを意識するばかりに十分な加熱を行わなければ、食中毒を起こしてしまう場合があります。生焼けにならないようにしっかりと火が十分に通っているか確認をしましょう。

まとめ

アクリルアミドはアスパラギン酸を含んだ食品を高温で加熱調理した際に生成されます。明確に発がん性があると結論づけられたものではありませんが、全く関係ないとは言い切れないため、できるだけ摂取を減らすように努めていくことが大切です。

特定の食品に偏らない加熱しすぎないなどできることからで良いので、家庭でも少しずつ実践していきましょう。