妊娠中や出産後でもないのに乳汁が出たり、生理不順が続いている場合、高プロラクチン血症という病気の可能性があります。

この病気は男女とも発症する可能性があり、不妊の原因になることもあります。
胃腸薬や降圧薬、経口避妊薬など、広く使用されている薬が原因の1つですので、誰でも罹る恐れのある病気です。

ここでは、高プロラクチン血症の症状や原因についてお話ししたいと思います。

目次

高プロラクチン血症とは?

高プロラクチン血症は、脳の下垂体という部分から分泌されるプロラクチンというホルモンが、高い値を示す状態をいいます。プロラクチンの分泌は視床下部というところでコントロールされており、視床下部から分泌されるドーパミンというホルモンによってプロラクチンの産生を抑えることができます。

このホルモンバランスがなんらかの理由で崩れ、血液中のプロラクチンの値が高くなると、乳汁分泌促進作用や性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の分泌や性腺機能などに影響を与えます。血中のプロラクチンは、成人女性で1.5~15ng/mL、成人男性で1.5~10ng/mLが基準となります。

高プロラクチン血症の症状

高プロラクチン血症は女性に多いですが、男性も発症する場合があります。男女それぞれの症状は下記のとおりになります。

女性の場合

  • 乳汁分泌
  • 排卵障害による生理不順(無排卵月経や無月経)
  • 性交痛
  • 不妊

男性の場合

  • 乳汁分泌
  • 性欲低下
  • 勃起障害
  • 不妊
  • まれに女性化乳房

高プロラクチン血症の原因

高プロラクチン血症の原因として下記の内容が挙げられます。

薬剤

抗ドーパミン作用を有する精神神経用薬や胃腸薬、エストロゲン製剤(経口避妊薬など)、降圧剤などによってプロラクチンの分泌が増える可能性があります。

胃潰瘍や胃炎などの治療で処方された薬によって、高プロラクチン血症を発症するなど、思いもよらない原因で高プロラクチン血症になる場合があります。

視床下部障害

腫瘍や炎症などによって視床下部からのドーパミンの分泌が少なくなり、高プロラクチン血症を発症する場合があります。腫瘍としては、頭蓋咽頭腫、胚芽腫、髄膜腫、巨大な下垂体腺腫などがあり、炎症としては、好中球性肉芽腫、サルコイドーシス、結核など様々な病気が引き金となります。

ストレス

ストレスがかかると、プロラクチンの分泌が増加することがわかっています。ストレスには、精神的なストレスだけでなく、身体的ストレスや運動や低血糖なども含まれます。

腎疾患・肝疾患

末期の腎疾患の場合、女性は7~9割、男性は2~6割に高プロラクチン血症が認められます。また、肝硬変の場合も高プロラクチン血症が認められます。

甲状腺機能低下症

原発性甲状腺機能低下症の40%に軽度のプロラクチン値の上昇が認められ、甲状腺機能が低下している期間が長いほど、高プロラクチン血症の症状が表れやすくなっています。

プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)

下垂体の腫瘍で、この腫瘍によってプロラクチンが過剰に産生されます。腫瘍の大きさとプロラクチン値が比例するため、大きい腫瘍であればあるほど、症状が出やすくなります。

まとめ

高プロラクチン血症は、病気によるものや薬によるもの、ストレスによるものなど様々な原因があり、男女共に発症する可能性のある病気です。

高プロラクチン血症によって、男女とも不妊となる可能性がありますが、適切な治療を受けることで回復が望めます。乳汁分泌や生理不順、男性の場合は性欲低下などの症状が出た場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。

薬が原因で高プロラクチン血症を発症した場合、お薬手帳があると病院での診断がスムーズになりますので、日ごろからお薬手帳を利用・管理するようにしましょう。