あなたの月経(生理)、定期的に訪れていますか?
女性は思春期から閉経にいたるまで、妊娠中・授乳期以外は定期的に排卵と月経(生理)を繰り返します。このサイクルのことを「月経(生理)周 期」といい、これが規則的にならなかったり、月経の量や期間が一般的な状態から極端に外れたりしている場合を、「月経(生理)不順」と呼んでいます。今回 は、この月経不順とその治療法について解説します。

月経不順の種類とメカニズム
成人女性の場合、月経周期は25~38日(平均28日)、月経期間は3~7日(平均4.6日)が標準です。量に関しては、最も多い日で2~3時間に1回ナプキンを替える程度が一般的です。
この月経周期が規則的でなかったり、月経の期間が一般的な状態から極端に外れたりしている場合を月経不順と呼びます。
月経不順には、以下のような種類があります。
- 頻発月経:月経周期の早い状態(24日以下)
- 稀発月経:月経周期の遅い状態(39日以上)
- 過短月経:月経期間の短い状態(2日以下)
- 過長月経:月経期間の長い状態(8日以上)
- 過多月経:経血の量が極端に多い状態
- 過少月経:経血の量が極端に少ない状態
- 無月経:今まで定期的にあった月経が来なくなってしまった状態
自然に起こる月経不順もある
思春期や、閉経前の更年期は身体が大きく変化します。そのため、月経周期が異常になるのは自然なことです。個人差はありますが一般的に、初経(初潮)から4~5年ぐらいして女性ホルモンの分泌が順調になると周期が安定します。また、女性ホルモンの分泌が低下しはじめる40歳を過ぎたあたりから、周期は少しずつ乱れてくるようになります。
もちろん、妊娠中や授乳中は排卵や月経がありませんから、この時期は月経不順にはあたりません。
月経不順の原因は?
月経不順は、子宮や卵巣の病気が原因で起こることがあります。しかし、主な原因はホルモンバランスの乱れです。
過度のストレスや急なダイエットなどでホルモンのバランスが乱れると、月経不順が引き起こされやすくなります。生活に支障はないからと長期間放っておくと、将来的に不妊の原因になることもあるので、注意が必要です。
ホルモンバランスを乱す理由としては、以下のようなものが考えられます。
- 体質
- ストレス
- 食生活の乱れ
- 睡眠不足
- 急激なダイエット
上記のように、月経不順の原因は生活環境にあることが多いです。特に近年増えているのが過度なダイエットによる食生活の乱れで、これは女性ホルモンのバランスを崩しやすいため避ける必要があります。
月経不順は病気が原因になっていることも

こんな原因が考えられます
以下のように極端な異常がみられる場合は、何らかの病気の可能性があります。
- 何ヶ月も月経が来ない
- 生理が何週間も長引く
- 夜用のナプキンを1時間ずつ交換しなければならないほど経血が多い
など
この他、以下のような場合も考えられます。
ほかにも、甲状腺の病気(バセドウ病や甲状腺機能低下症など)や肝臓病、糖尿病などが月経不順の原因となることもあります。
不妊の原因にもなってしまうことも
ホルモンや卵巣・子宮などに問題があって月経不順となっている場合、それが将来の不妊の原因になるおそれがあります。特に月経が来なくなる無月経では、長引くと排卵が完全に止まり、子宮や卵巣の機能が失われてしまいます。
排卵が止まる状態には至らずとも、月経が再び順調になるまでには時間がかかります。月経周期や期間・量が気になったら、できるだけ早く産婦人科で診てもらうようにしましょう。
「生理は来なくていい」なんて思わないで!
月経は、子宮の中で厚くなった子宮内膜が月に1回はがれ、体外に排出される現象です。子宮の中でベッドメイキングと掃除を繰り返しているようなものだと考えてください。
月経不順や無月経によって子宮の掃除ができなくなると、古くなった子宮内膜が子宮の中にたまってしまうことがあります。すると子宮内膜に変化が起きやすくなるため、これが子宮体がんのリスクにつながることがあるのです。
月経不順の治療

無月経や月経不順は、薬による治療が中心になります。ただし、子宮筋腫や子宮内膜症など、他の病気やホルモンが原因で月経不順が起きている場合、まずはおおもとの病気を治療します。
ホルモンの分泌異常が原因であれば、ホルモン剤で身体の機能を元に戻していく治療をします。血行や気の流れをよくするために、漢方薬も積極的に使われます。
3ヶ月以上の無月経
3ヶ月以上にわたって月経が起こらない場合、まずは1度月経を起こします。ホルモン剤を1~2週間飲み、あるいは注射をし、女性ホルモンのバランスを整えることで月経を起こします。
過度のダイエットによる体重減少性無月経
極端なダイエットを行うと、月経が止まってしまうことがあります。これを体重減少性無月経といいます。この場合、月経自体が身体の負担になるため、まずは体重をある程度戻すことが先決です。体重がある程度まで戻ると、再び月経周期が正常に戻ることもあるのです。
一時的なストレスによる無月経
一時的なストレスや環境の変化によって無月経が起こることがあります。この時、ホルモンバランスが保たれていれば、薬で一度月経を起こした後、しばらく基礎体温をつけて様子を見ていくことがあります。
一度月経を起こすと、その後はまた規則的に月経が来るようになることもあります。
月経不順から無月経に
元から月経不順で、その後全く月経が来なくなったという場合や、女性ホルモンが極端に少なくなっている場合は、最低でも3ヶ月間はホルモン剤を服用します。その後も、きちんと月1回の出血が来るかの確認が必要です。
別の病気が原因の例
例えば、高プロラクチン血症という病気が月経不順の原因になることがあります。プロラクチンは、乳腺を刺激することで乳汁を分泌させるホルモンで。このホルモンが異常に分泌された場合に月経の異常が生じます。高プロラクチン血症は、プロラクチンを抑える薬を飲んで治療します。
また、薬による副作用が原因となる場合もあります。その場合はその薬の服用を止めると月経は回復します。その他、原因となる病気がはっきりしている場合はその治療が最優先で行われます。
使用する薬の種類
薬物治療を行う場合、下記の薬を使用します。
女性ホルモン剤
- 黄体ホルモン剤
- 卵胞ホルモン剤
- 低用量ピル(黄体ホルモン、卵胞ホルモンの合剤)
など。ホルモンの補充を行い、バランスを整える役割があります。
排卵誘発剤
妊娠を望む女性で月経不順や無月経がみられる場合、排卵誘発剤でまずは一度排卵を起こすことがあります。単独で使用する場合もあれば、他のホルモン剤や漢方薬と併用することもあります。
漢方薬
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、温経湯など。2ヶ月未満の無月経や、月経不順の場合に用いることがあります。
その他にも日常生活の工夫を!

月経不順は体からのSOSです。もしも月経周期が乱れたら、今の生活を見直すきっかけにしてください。ポイントはストレスの解消と規則正しい生活です。
- 冷えを解消するため、入浴では湯船に浸かる
- 無理なダイエットをしない
- 偏食や単調な食生活にならないよう気をつける
- ストレスをため込みすぎない
- ウォーキングなどの軽い運動を心がける(血のめぐりを良くし、ストレスを解消するため)
- 早寝早起きを心がけて質の良い睡眠をとる(血液は夜に作られるため)
- 禁煙する
まとめ
多くの女性が悩まされる、生理にまつわる諸症状。なかなか人には相談しづらい症状ですし、個人差も大きいため、何が異常か分からない方も少なくないかもしれません。日頃から自分の月経周期を把握しておき、おかしいと思った時は医師に相談してください。治療では受け身になるのではなく、日常生活で改善できることをしっかり行っていくことも大切です。