高プロラクチン血症は、プロラクチンというホルモンの分泌が増えている状態で、男女共に不妊の原因となります。高プロラクチン血症の原因としては、薬剤性によるものや腫瘍によるものなどさまざまで、原因によって治療法が変わってきます。ここでは、高プロラクチン血症の治療方法や、妊娠への影響についてお話ししたいと思います。

目次

高プロラクチン血症の治療法

高プロラクチン血症の治療法を、原因別にみていきたいと思います。

薬剤性高プロラクチン血症の場合

抗ドパミン作用を有する精神神経用薬や胃腸薬、エストロゲン製剤(経口避妊薬など)、降圧剤などの薬剤によって高プロラクチン血症が起きる場合があります。

この場合、原因となった薬剤を中止するか、高プロラクチン血症を起こさない薬剤に変更することで回復します。

薬剤によっては、元々の病気を治療するのに中止できない場合もあるため、その場合にはプロラクチンの産生を妨げる効果のある、ドパミン作動薬を併用することがあります。

プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)の場合

プロラクチン産生腫瘍は、プロラクチンが過剰に産生されるため、ドパミン作動薬などによる薬物療法や、手術療法で原因となる腫瘍を取り除く方法などが選択されます。

一般的には、まずは薬物療法で治療をしていくことが多いです。薬物療法はプロラクチン値を低下させるほか、腫瘍を小さくする作用があります。ただし薬を長期間内服し続ける必要があります。

腫瘍の大きさや症状などによって手術療法が必要になることがあります。手術では一度の治療で腫瘍を完治できる可能性があります。完治できなかった場合でも、薬の量を減らすことができるとされています。

その他の場合

高プロラクチン血症を起こすその他の原因として、視床下部障害や腎疾患・肝疾患、甲状腺機能低下症などがあります。

これらの場合、甲状腺機能低下症であれば甲状腺ホルモンの補充を行うなど、原因となる疾患を治療することが必要になります。

原因疾患や状態によっては、ドパミン作動薬の併用が必要になる場合もあります。ストレスによるものなど機能性高プロラクチン血症の場合や、原因不明の場合には、ドパミン作動薬を使い、プロラクチンの値を低下させます。

妊娠への影響

女性の場合、高プロラクチン血症によって排卵障害が起こり、不妊の原因となりますが、血液中のプロラクチン濃度を正常に戻すことで排卵を回復させることができます。

原因によって治療法は異なりますが、薬剤性高プロラクチン血症の場合、薬剤の中止から平均45日で乳汁分泌が停止し、平均53.7日で生理不順が回復したという報告があります(福岡県薬剤師会より)。

男性の場合は、男性ホルモンであるテストステロンの低下が不妊に繋がりますが、プロラクチン濃度が正常に戻ることでテストステロンの量が増えるため、不妊症を治すことができます。

まとめ

不妊症の原因として、高プロラクチン血症を含む卵巣因子の不妊症の割合は21%と男性因子33%の次に多く、不妊の大きな原因の1つとなっています(日本産婦人科医会より)。

高プロラクチン血症を引き起こす原因はいろいろありますが、治療によってプロラクチンの値を正常に戻すことができれば不妊の状態から回復することができます。
しかし、女性の場合、排卵障害の状態が長く続くと、子宮や卵巣の機能が低下し、さらなる不妊の原因へ繋がることになりかねません。少しでも気になる症状がある場合には早めに病院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。