妊娠中に起きる不快な症状をマイナートラブルと言います。
その症状は多彩で個人差が大きいため、症状の辛さを共有しづらいこともあります。

ここでは、マイナートラブルの症状や、見逃してはいけない症状についてお話ししたいと思います。

目次

マイナートラブルの症状

マイナートラブルは多種多様で、その症状は全身的に発症します。

消化器系症状

腹部の締め付け感、口の渇き、排便困難感が多く見られ、特に妊娠初期にはつわり症状や、便やガスなどによるお腹の張り感、吐き気などの症状がよく見られます。

泌尿器・生殖器症状

頻尿、おりものの増加、性欲の減退感が多く見られ、特に頻尿は妊娠経過とともに膀胱への子宮の圧迫で頻度が上がっていくというデータもあります。

関節・運動器系症状

肩こり、骨盤痛、腰痛や背中の痛みが多く見られます。

妊娠初期は肩こりが多く、妊娠末期には骨盤痛や下肢のだるさなど下半身の症状が多くなっていきます。

全身性・精神神経系症状

疲れやすく、全身がだるい、眠気が強いなどの症状が多く見られます。

また眠気に関しては、妊娠初期には眠気が強くなりますが、妊娠末期には入眠・熟睡しづらいという症状が強くなる傾向が見られます。

循環器・血管運動神経系症状

動悸・息切れ、めまい・立ちくらみ、足のむくみが多く見られます。

妊娠初期には足の冷えが多い傾向にあり、妊娠末期には足のむくみや多汗、体熱感が多く見られる傾向にあります。

また、妊娠末期には子宮の重みで血管が圧迫されるため、仰向けに寝てしまうと低血圧を起こす(仰臥位低血圧症候群)危険性があるため、横向きに寝る必要がでてきます。

皮膚・感覚器系症状

皮膚の乾燥が起きやすく、妊娠線ができやすいほか、色素沈着や肝斑、雀斑(そばかす)、かゆみなどの皮膚トラブルが起きやすくなっています。

また、臭いに対する過剰反応が起きやすく、つわりの誘引にもなります。

その他

食の好みの変化が起きることがあるほか、体毛の増加や虫歯になりやすいなどの症状も見られます。

特に多いマイナートラブル10症状

623名の妊婦さんにアンケートを行った研究では、マイナートラブルの症状として特に多い上位10症状は下記の通りと報告されています。

  1. 疲れやすい(易疲労感)
  2. 頻尿
  3. 全身倦怠感
  4. 腹部の締め付け感
  5. 強い眠気
  6. 口渇
  7. おりものの増加
  8. 性欲減退感
  9. 排便困難感
  10. イライラ感

この研究では1位の疲れやすさは約94%の妊婦さんが感じ、10位のイライラ感でも80%以上の人に起きる結果となっています

これだけ高い確率でマイナートラブルが起きるため、妊婦さんの負担は想像以上に大きいことがわかります。

注意が必要な症状

妊娠中のマイナートラブルは上記のように数多くありますが、妊婦さんや赤ちゃんの命に関わる、見逃してはいけない症状もあります。

下記のような症状が出た場合には、かかりつけの産婦人科に相談するようにしましょう。

出血

真っ赤な出血以外にも、褐色やピンクがかったおりものも出血に含まれます。妊娠週数によって、流産や早産の可能性があるほか、常位胎盤早期剥離などの重篤な疾患の可能性があります。

特に、お腹の張りや痛みを伴うものは緊急性が高いため、早急に産婦人科に連絡するようにしましょう。

重篤なつわり

つわりはよく見られる症状ですが、食事や水分の摂取が困難になり、嘔吐が激しい場合には、妊娠悪阻という状態になります。

稀に、ビタミン不足で脳や肝機能障害が現れるなど、命に関わる危険性があります。

貧血

顔色が悪い、動悸、息切れ、立ちくらみ、脱力感などの症状は貧血時に多く見られます。貧血が持続すると、低出生体重時や未熟児の頻度が高くなるほか、胎児死亡のリスクもあります。

高血圧

妊娠中の高血圧は、妊娠高血圧症候群のほか、HELLP症候群(へるぷしょうこうぐん)などの重篤な病気の症状のでもありますので注意が必要です。頭痛耳鳴りといった症状が出ることもありますが、自覚症状がなく高血圧になっていることも多いため、妊婦健診の際に定期的に血圧測定を行いましょう。

胎動の減少

切迫早産や常位胎盤早期剥離など、赤ちゃんの命に関わる状態になっている場合があります。胎動が減少したり、消失した場合には早急に病院に連絡するようにしましょう。日頃から胎動を気にしておくことが大切です。

まとめ

妊娠中のからだの変化はつわりや体型の変化だけでなく、上記のように非常に多岐に渡り、中には病気による症状が隠れていることがあります。

妊婦さんや赤ちゃんの命に関わる病気の場合もありますので、少しでもおかしいと思うことがあれば、早めに産婦人科に連絡・受診するようにしましょう。