生理前になると、なんとなく体調がすぐれない、イライラしやすい気がする…といった方は多いのではないでしょうか?
生理前3~10日から続く精神的・身体的症状で、生理が始まると軽快あるいは消失するものを、医学的にはPMS(月経前症候群)といいます。
今回、いしゃまちでは2018/9/19~2018/10/18の間PMSでどのような症状を感じるか、また、どのような対応しているかのアンケートを行いました。
アンケートの募集はいしゃまちのサイトと公式Twitterで周知し、最終的に80名の方にご協力いただけました。
それではアンケートの結果を、産婦人科専門医の清水先生のコメントを交えつつ見ていきましょう。
Q.あなたは生理の3~10日前に体調や精神の不調を感じますか?
項目 | 結果 |
はい | 77.50% |
たまに感じる | 17.50% |
いいえ | 5% |
(回答数80)
「はい」「たまに感じる」をあわせると、実に95%の方が、何らかの不調を感じているという結果になりました。
さらに、生理前の症状によって学校・仕事を休む、やるべきことが手につかなくなるなど、日常に支障をきたす人の割合は以下の通りとなりました。
項目 | 結果 |
ほぼ毎回、 日常に支障をきたす |
10.0% |
たまに支障をきたす | 42.5% |
支障をきたすことはない | 47.5% |
(回答数80)
約半数の方は日常生活に問題がありませんが、支障をきたすことのある方も52.5%います。
中でもほぼ毎回日常に支障をきたす方は10%と、決して少なくない数値が出ています。
PMSの症状コントロールは、生理のある女性にとって重要な問題と言えるでしょう。
Q.どのような症状が出ますか?あてはまるものすべてにチェックを入れてください。
それでは、具体的にどのような症状を感じ、どのように対応している人が多いのでしょうか?
下記からは、「PMSを感じる」と回答した方(76名)のアンケートのみを集計していきます。

(結果を数値の多い順に並べています。)
今回のアンケートでは、生理前に皆さんがよく感じる症状のTOP3は1位が「イライラする」、2位は同率で「乳房の張り」と「情緒不安定」となりました。
TOP3の症状はいずれも50%を越える方が感じています。
また、「肌荒れ・にきびができる」「眠りすぎる・眠気がある」「食欲が増える」も多くの方が自覚しているようです。
項目になかった「その他」では、「ムズムズしてくる」といった表現しにくい感覚や、「排便の回数が多い」「頻尿」など排泄頻度に関わるもの、「骨盤が痛い」「手首の痛み」といった痛みに関わるものが挙げられました。
この質問は複数選択可能でしたが、人によってチェックを入れる数にも1~19までばらつきがあり(チェック数の中央値は7でした)、どのような症状を感じるかは多様であることがわかります。
Q.生理前の症状にどう対応していますか?あてはまるものすべてにチェックを入れてください。

(結果を数値の多い順に並べています。)
「横になる」と答えた方が多く、47.4%に及んでいます。
また、項目になかった対応(その他)として「早く寝る」「充分な睡眠時間を確保する」と答えた方が複数いました。
このことからも、落ち着くまで休息をとろうとする方が多いことがうかがえます。
医師の処方で薬を飲んでいる方は5%と、医療機関での治療を受けている方もいますが、「特になにもしない」と、我慢してしまう方の割合は25%とかなりの割合となっています。
先生に質問!
――PMSの対応として、横になる・休息を取るという対処法は正しいのでしょうか。それともすぐに薬をのんだほうがいいのでしょうか?
清水先生:現在のつらい症状を少しでも和らげるという意味では多少有効ですが、あくまでその場しのぎで「対処法」ではありません。PMSの症状として、腹痛・腰痛・頭痛などの何らかの「痛み」がある場合はとりあえず痛み止めを飲む方がまだましな対処法と言えます。
安静にするのであれば、症状が出た時だけではなく、日頃から休息が足りているかを見直した方がいいでしょう。また、最も多い「イライラ」などの精神症状には、横になるというた処方はあまり有効とは言えません。体が辛くてイライラしてしまう場合には休息が必要と考えられます。
辛いから「じっとして動かない」というのは最も受け身な対処法であり、受け身であることがPMSが出る根源なので、受け身のままやり過ごしても改善にはつながりにくいでしょう。
――生理前の症状を我慢、放置してしまう方も多いようです。症状を放置することによってデメリットはありますか?
清水先生:月経前の腹痛や腰痛が内膜症による症状の場合もありますので、放置すれば子宮や卵巣の異常を見逃してしまう可能性があります。
また、症状に対して何もしないのも「受け身」を貫いていることになりますので症状の悪化やほかの疾患が出現することがあります。月経のたびに「うんざり」していると、子宮や卵巣に重大な疾患を引き起こして、月経が来ない・子宮を取らなくてはいけない状況になってしまう可能性もあります。
Q.上記の対応で、症状は良くなりますか。
項目 | 結果 |
良くなる | 6.6% |
軽くなるが、完全に 良くなるわけではない |
56.6% |
変わらない | 36.8% |
(回答数76)
対応によって、快方に向かう方が6割を超えました。
36.8%の人が変わらないと答えていますが、何もしないで我慢してしまった場合も含まれているため、行動を起こした場合にはもう少し数値が低くなることが予想されます。
先生に質問!
――自分のPMSへの対処方法が有効でないと感じる場合、どうすれば良いでしょうか?試した方が良いことはありますか?
清水先生:まずは婦人科を受診して状態を客観的に把握し、自分で何ができるかを「主体的に」考えることが重要です。行っている自己解決法が間違っていたり的外れな場合、「何をやってもダメな自分」が強化されるだけなので続けるデメリットが大きいでしょう。早い段階で専門家の力をうまく活用することも、自分の体のメンテナンス方法としては重要な知恵となります。
まとめ
今回のアンケートでは、何等かのPMSを感じている人は非常に多く、症状によって日常に支障をきたしたことのある方が約半分という結果となりました。
みんな我慢しているから、仕方のないことだから…と受け身でいる方も多いかもしれませんが、生理は毎月のことですし、何らかの対策を持つことが大切です。
ですが症状は人それぞれで、「これをすれば誰でも症状を軽くできる!」という画一された治療方法があるわけではありません。
まずは自分の症状のパターンを把握し、どのような対応が有効かを少しずつ見極めていきましょう。
PMSがひどくて日常に支障をきたしている場合には、産婦人科で一度相談することをおすすめします。その人にあった治療方法の提案があるはずですし、症状の裏に原因病気が隠れていないか検査をしてもらうことができます。