生理前になるとイライラしたり、お腹が痛くなったり、頭痛がしたりと不調続きで毎月辛い…。そんな方は、月経前症候群(PMS)かもしれません。生理前に現れる身体的・精神的な不快症状を月経前症候群と言い、症状や程度はさまざまですが、日常生活に支障をきたす場合もあります。ここでは、月経前症候群とはなにか、どんな症状がみられるのかについてお話ししたいと思います。

目次

月経前症候群ってなに?

月経前症候群は、生理前3~10日の間続く精神的・身体的症状で、生理が始まるとともに症状が消えたり、軽快するものとされています。全女性の50~80%が月経前症候群の症状を訴えているという報告があり、イライラや腹痛、頭痛などその症状はさまざまで200~300種類あると言われています。大抵の場合は、こういうものと割り切って耐えられる範囲の症状ですが、3~7%程度の方は治療が必要な症状レベルであるとされています(データは日産婦誌61巻12号 11)月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)より)。

月経前症候群の原因

月経前症候群の原因はまだはっきりとはしていませんが、生理前のホルモンバランスの変化によって体調や精神状態が不安定になると言われています。排卵から生理までの期間に、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが多く分泌されるのですが、生理開始日が近づくにつれてホルモンの分泌量はどんどん少なくなります。この女性ホルモンの変化によって、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常が起こり、さまざまな不快な症状を引き起こすと考えられています。特に就職や結婚などの環境の変化や、内向的な性格、食生活の乱れなどのストレスにより、症状がより強く出やすくなる場合があります。

月経前症候群の症状

PMS

月経前症候群の症状としては、身体的な症状と精神的な症状の2つに分かれます。よくみられる症状は下記のとおりです。

身体的な症状

  • 乳房の張りや痛み、圧痛(押さえると痛む状態)
  • だるさ
  • 体重の増加
  • 眠気
  • 顔や手足のむくみ
  • 肩こり
  • 便秘、下痢
  • 頭痛、めまい
  • 腰痛、腹痛
  • にきび、肌荒れ
  • 食欲の増減

精神的な症状

  • イライラする、攻撃的になる
  • やる気が出ない
  • 不安になりやすい
  • 集中力がなくなる
  • 一人でいたい
  • 気分が落ち込む
  • 理由もなく涙が出る(悲しくなる)
  • 普段気にならない些細なことが気になる

これらの症状は、年齢・出産・就労状況によって症状の出方に差があるという報告があります。年齢としては、20代後半では頭痛、肩こり、乳房の張り、イライラの症状が出やすく、30代前半になるとむくみや攻撃的になる症状が出やすくなります。出産歴では、出産経験のある女性のほうが、イライラや攻撃的になる症状が出やすくなり、就労別では、専業主婦は便秘とイライラの症状が、フルタイム就労者ではいつも通りに仕事ができない、他人と口論しやすくなるといった症状が出やすいとされていますが、個人差も大きく必ずしもこのような傾向に当てはまるとも限りません。また、これらの症状が毎月出る女性は72%(テルモHPより)と過半数を占めているため、生理前の不快な症状に多くの女性が悩まされていることがわかります。

まとめ

月経前症候群に多くの女性が悩まされていますが、なかなか周りに話をする機会はないかと思われます。特に症状がひどい方の場合、いつも通りに勉強や仕事ができず、周りの理解を得ることも難しいため苦労なさっているかもしれません。症状が少しでも緩和できれば…とお悩みの方は、次回の記事「生理のたびの眠気やイライラ、つらい月経前症候群(PMS)に対策や薬はある?」の記事も併せて読んでみて下さい。症状をコントロールする糸口や、治療方法などをまとめています。症状のコントロールができれば、今の状況を打開することができるかもしれません。