いつのまにかできていくシミは、健康に害がないとしても見た目が気になりますよね。シミを作らない、目立たないようにするために様々な化粧品や治療方法を試している方も多いのではないでしょうか。ですがシミにはいくつか種類があり、それぞれ適切な治療方法が違ってくるのをご存知でしょうか?もし自分のタイプにあっていない治療をしてしまうと、かえって症状を悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。ここでは、シミの種類と治療方法についてご説明します。
シミって結局なに?
シミとは、皮膚の浅い部分にメラニン(色素)がたまり、色素沈着をおこしている状態です。
メラニンは紫外線を浴びることによって作られますが、通常はだんだんと皮膚の表面に押し上げられ、やがて角質として剥がれ落ちていきます。この肌のサイクルをターンオーバーといい、ターンオーバーが正常であれば日焼けしてもおよそ一か月程度でもとに戻るようになっています。
しかし、このターンオーバーにかかる時間は加齢やストレスなどの原因で遅くなり、剥がれ落ちずにシミとして定着してしまうのです。
シミには様々な種類が
ひとことにシミと言っても厳密にはいくつか種類があり、代表的なものとして
- 日光黒子(老人性色素斑)
- 雀卵斑(そばかす)
- 肝斑(かんぱん)
- 炎症後の色素沈着
の4つが挙げられます。
それぞれの特徴は下記の通りです。
日光黒子(老人性色素斑)
長年浴び続けた紫外線が原因でできるシミのことです。顔や腕など、肌の露出部分に多く生じます。
シミの境界線が明確で、左右非対称にできます。加齢に伴って発症しやすくなります。いぼ状に隆起したものは、脂漏性角化症といわれます。
そばかす(雀卵斑)
幼少期から出始め、思春期に特に目立つシミです。通常、成長とともに薄くなっていきます。
色白の人に多く、遺伝も要因の一つと考えられています。
ひとつひとつの大きさは直径5ミリ以下と小さく、頬や鼻の周りに多く出ます。
肝斑
30~40代で発症することの多いシミです。症状がみられるのはだいたい50歳代後半までで、高齢者では薄くなっていきます。
女性ホルモンのバランスが原因と考えられており、妊娠やピルの服用により発症、悪化することがあります。
頬骨や額、口の周辺などにできやすく、目のまわりにはできません。顔の両側に左右対称にできる特徴があります。
シミは輪郭がはっきりせず、薄い褐色で広い範囲に広がっています。
炎症後の色素沈着
ニキビや合わない化粧品によって肌が炎症を起こしたあと生じるシミです。年齢や性別に関係なく現れるもので、顔だけでなく全身に出来る可能性があります。
市販の美白化粧品は効果がないの?
医薬部外品(薬用化粧品)の中には、メラニンの生成を抑える効果が認められているものがあります。
こういった美白化粧品はできたばかりのシミや、シミになりそうな部分に塗ることでシミを消したり薄くしたりできる可能性があります。しかし医薬品に比べて効果はとても低く、昔からあるシミなどには効きにくいです。
半年以上利用しても効果が見られない場合には、医療機関に相談すると良いでしょう。
また、合わない化粧品を使い続けることによって逆に色素沈着を起こすこともあります。肌にかゆみや刺激を感じるようであれば、その化粧品は使用を中止しましょう。
医療機関での治療方法

今あるシミを治療するには、皮膚科や形成外科の受診をおすすめします。治療は基本的に自費診療になるため、よく説明を聞き、納得した上で治療してもらいましょう。
以下では、医療機関でできるシミ治療をご紹介します。
レーザー治療
シミの気になる部分に対してレーザーを照射する治療法で、メラニン色素をレーザー照射によって破壊するものや、シミがある部分の皮膚をはがすことでシミを消すものなど、いくつか種類があります。
日光黒子、そばかすに対して効果の高い方法です。ただしシミが肝斑だった場合、むしろ悪化してしまうことがあり、医師の診察が欠かせません。
飲み薬
トラネキサム酸
トラネキサム酸は肝斑に対して効果が期待できる飲み薬です。もともと抗炎症、止血剤として利用されていた成分ですが、色素沈着を抑制できることが認められました。
トラネキサム酸の効果が現れるのはだいたい4~5週間後と言われていますので、その間は継続して飲み続ける必要があります。
ビタミンC、ビタミンE
他の治療とともに、メラニン色素の生成と沈着を抑えるビタミンCや、皮膚の血行を改善するビタミンEなどが処方されることもあります。
塗り薬
病院で塗り薬を処方されることもあります。副作用が出やすいものもありますので、安易にインターネットなどで購入せず必ず医師から処方してもらうようにしましょう。
トレチノイン
トレチノインは、肌のターンオーバーを活性化する作用がある薬品です。ターンオーバーを速めることによって表皮の深い部分にあるメラニン色素を外に出し、角質と一緒に排出する効果が期待できます。
日光黒子、炎症後の色素沈着に対して塗布すると、2ヶ月程度で効果が出ると言われています。肝斑にも効果はありますが時間がかかり、そばかすは再発の可能性が高いです。シミだけでなく、しわにも効果があるといわれています。
副作用として、肌の赤みや角質が剥がれ落ちていく(ぽろぽろと皮がむけた状態になる)ことが挙げられ、酷ければ使用を一旦中止することもあります。
ハイドロキノン(ヒドロキノン)
上記のトレチノインと一緒に使われることが多い美白成分です。シミの原因であるメラニン色素が作られないようにする作用があり、シミや肝斑、炎症後色素沈着に対して有効です。
市販の美白化粧品と比べて高い効果が望めますが、酸化しやすく、皮膚への刺激も強いため取り扱いには注意が必要です。副作用としてはトレチノイン同様、赤みや皮むけが起きることがあります。
ケミカルピーリング
肌に薬品を塗り、皮膚を剥がすことによって治療していく方法です。日光黒子の小さいシミや、にきび、小じわにも効果があるとされています。
ただし、そばかすや肝斑の治療は難しいとされており、まずはシミの種類を診断してもらう必要があります。エステサロンでケミカルピーリングを行っていることもありますが、使用できる薬品の強さなども違いますので、シミ治療が目的の場合は医療機関で行うようにしましょう。また、化粧品のピーリングジェルは、医療機関で行われる施術のような効果が得られるものではありません。
ピーリング後は皮膚の乾燥や赤みが見られますが、通常2~3日でおさまります。
どの治療でも大切な2つのこと
1.シミの種類を見極める
上で説明したように、シミの種類によって適切な治療方法は異なってきます。自己判断による悪化を防ぐためにも、まずは医師にご自身のシミの診断をしてもらいましょう。
また、様々な種類のシミが混在しているケースも少なくありません。一つの治療をした後、他のシミがかえって目立ってしまうケースもあります。
たとえば肝斑はレーザーをあててしまうと悪化するため、他のシミは後回しで先にトラネキサム酸による治療をした方が良いなど、治療の計画は医師と一緒に行うと安心です。
2.紫外線対策はしっかり
どのタイプのシミでも、紫外線によって悪化することがわかっています。日傘や帽子、日焼け止めを利用して、紫外線対策を怠らないようにしましょう。
また、シミの治療中、治療後には肌が弱くなっていることもあります。紫外線対策をしないでいると逆にシミが増えてしまうことにもなりかねません。
まとめ
シミの種類は、今回ご紹介したもの以外にもいくつか考えられます。
それぞれ治療方法は異なってくる上、施術後のスキンケアが重要なものも多いため、治療を考えているようであればお近くの皮膚科か形成外科に相談してみましょう。
インターネットを利用して自分で薬を購入したり、医師のいないエステサロンで施術をしたりすると、かえって悪化してしまうこともありますので注意が必要です。