日本には四季があり、季節に応じて旬の食べ物を味わうことができます。「旬の食べ物を食べよう」とはよくいわれるものですが、これにはきちんとした理由があるのです。旬の食材を食べることのメリットや、それぞれの季節に旬を迎える食べ物にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
旬の食材にはどんなメリットがある？
ハウス栽培など栽培技術が発達した今の日本では、年中いつでも食べられる食材が増えてきました。しかし、四季それぞれに応じた食材を楽しむ文化は昔から存在し、今でもその考え方は受け継がれています。
旬の食材を味わうということには、季節の移り変わりを感じられるだけではなく、次のようなメリットもあります。
- 食材が多く収穫できるので比較的価格が安くなる
- 栄養価が高い
- 新鮮でおいしさが増す
栄養価の面でいうと、夏に旬を迎えるトマトの場合、ビタミンの一種であるカロテンの含有量は、旬を迎える7月は528μg、11月は241μg（トマト100gあたり）と半分にまで減ってしまいます。トマトは消費量も多く、一年中スーパーで買うことのできる野菜ですが、旬の時期には特に多くとり入れたいですね。
また、ほうれん草においては、食品成分表においても夏採りと冬採りに分けられています。ほとんどの成分に大きな差異はありませんが、ビタミンCに限っては旬を迎える12月は84mg、9月には17mg（ほうれん草100gあたり）と大きな違いがあるようです。同じほうれん草を食べるとしても、時期によってビタミンCの摂取量が変化するということを知っておきましょう。
通年で食べることができる野菜が増えていることはとても嬉しいことですが、栄養価には大きな差がある場合もあります。その差を考慮して、季節の食材を積極的にとり入れた献立を心がけていきたいですね。
春夏秋冬それぞれ旬の食材とは？
それでは、一年間を通してどんな食材がどの季節に収穫されるのかを詳しくみていきましょう。
春の食材
菜の花、イチゴ、あさり、たけのこ、春キャベツなど
夏の食材
きゅうり、トマト、アジ、スイカなど
秋の食材
サツマイモ、カキ、さんま、栗など
冬の食材
白菜、みかん、ブリ、大根など
魚介類は、養殖や冷凍技術が発達したことによって多くの魚が一年中流通しています。しかし、魚は産卵前の時期に脂がのり、旬を迎えるというのが本来の形です。産卵前の魚は沿岸に近づきやすくなる習性があるので、漁獲量が高くなります。旬の野菜と魚を組み合わせて、栄養価が高く満足度の高い食事をとり入れていきましょう。
旬を知ることは食育や健康管理にも
日本人は特に野菜不足が問題視されており、国で推奨されている1日の摂取量350gに対して平均摂取量がこの量を超える世代はありません。（平成29年 国民健康・栄養調査の結果）
野菜はビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールを多く含み、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクを下げる効果が期待されているほか、生活習慣病予防においても役立つとされています。旬の食材はおいしさ、新鮮さ、栄養価全てにおいて優れていますので、上手にとり入れて健康管理に役立てましょう。
また、旬の食材を知り、味わうことは食育の意味でも大切です。子供が食に興味を持ち、食べることの大切さを知るきっかけにもなります。いろいろな食材がスーパーで手に入れやすくなってきた時代だからこそ、改めて旬の食材について学ぶことが重要です。夏にはスイカ割り、秋には焼き芋など、昔ながらの食べ方を体験できるイベントなどがあれば積極的に参加してみましょう。
まとめ
日本は特徴的な四季を感じられる国です。海と山に囲まれた島国だからこそ季節の食材を楽しむことができます。旬を迎える食材には多くのメリットがあるということを心に留めて、積極的に食事にとり入れてみてくださいね。