世界的に見ても、日本人は普段から塩分を摂り過ぎています。高血圧の人は年々減少しつつありますが、それでもまだ20歳以上の男性で37.0%、女性では27.8%と代表的な国民病であることには違いありません。(平成29年度国民健康・栄養調査より)ここでは、高血圧の概要について解説し、家庭でできる対策を紹介していきます。

目次

高血圧ってどんな病気?

高血圧の基準値は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上です。一度の計測で診断されるわけではなく、何度も繰り返して計測し診断されます。日本人の高血圧患者は4000万人と推定されており、代表的な生活習慣病の一つです。

高血圧は自覚症状がほとんどなく、発見が遅れてしまうケースもあります。高齢者では3人に2の高い割合で高血圧になりますが、誰でもなる病気と安心してしまうのは危険です。

日本人は欧米人に比べて高血圧から脳血管障害にかかる人が非常に多いようです。高血圧は血管や心臓に負担をかけ、動脈硬化を促進させます。肥満やその他の生活習慣病と重なり、心疾患や脳疾患などの循環器疾患のリスクを高めてしまうというのが怖いところです。

高血圧の原因の多くは塩分の過剰摂取です。日本は味噌や醤油、漬物などの伝統的な日本食によって塩分の摂取量が自然と高くなりやすいことに加え、食文化の変化で加工品の摂取が増えています。高血圧予防のためには塩分摂取量の制限が何よりも一番の近道といえるでしょう。

塩分はどのくらいとってもよいの?

日本人の食事摂取基準(2020 年版)では、食塩摂取量の目標値を男性で7.5g未満、女性で6.5g未満としています。しかし、高血圧治療ガイドラインでは6g未満世界的には5g未満が推奨されているというのが現状です。

日本人の塩分摂取量は年々減ってきているとはいえ、成人男性では10.8g、女性では9.1gとまだまだ多いといえます。大人になってから対策することも大切ですが、それ以上に子どもの頃から自然と塩分摂取を控えられるような食習慣を家庭で実践していくことが大切なのではないでしょうか。

家庭で実践!減塩のポイントとは?

塩分が少ないと味気がなかったり、おいしくなかったりというイメージがあるかもしれません。しかし、工夫次第では塩分を多く使わなくてもおいしい料理を楽しむことができますよ。

旬の食材をとりいれる

旬の食材は味が濃く、旨みをたっぷりと感じられます。栄養価も高いので塩分以外のメリットもあるでしょう。近年では一年中食べられる食材が増えていますが、旬のものを楽しむという基本を見直すことも大切です。

香草や酸味を利用する

パセリやセロリ、大葉などの香りの強い野菜は、塩分を多く使用しなくても風味豊かな料理に仕上げてくれます。にんにくやしょうが、香辛料も便利です。また、漬物や和え物などはレモンや酢をとり入れ、塩分を使わなくても味を付けられるように工夫していきましょう。

天然だしを活用する

顆粒だしはとても便利なものですが、塩分が多く含まれています。また、単調な味になるため、他の調味料を使いすぎる可能性もあるそうです。かつおぶしや昆布などからとった天然だしは奥深い味わいを演出でき、風味豊かで余計な味付けを必要としません。

スープは全て飲み干さない

麺類や味噌汁などのスープには、多くの塩分が含まれています。全て飲む場合と飲まない場合では3gほどの差が出ることもあります。汁を少なくするために具だくさんにし、スープは残すことを意識するだけでもかなりの塩分を抑えられるでしょう。

減塩製品の利用

健康ブームを背景に、塩分を抑えた調味料や加工品が増えています。減塩の基本は薄味に慣れることではありますが、それに加えてこういったものを活用すればさらに塩分を抑えることができますね。

まとめ

少しだけ意識を向ければ、簡単に実践できそうなポイントばかりではないでしょうか。高血圧予防のためには減塩を心がけることが最も大切です。重大な疾患につながる生活習慣病を予防・改善するためにも、すぐにできることの1つとして減塩生活を始めてみましょう。