スポーツ愛好者の間で市民権を得ているプロテイン。どんな人でも運動をするならプロテインは必須!と考えている人も少なくないと思います。プロテインって何?どんなものがあるの?どんな時に飲むの?様々なギモンにお答えしていきます。

目次

プロテインとはそもそもどういったものか

「プロテイン」と聞くとスポーツ愛好者が飲むべきサプリメントの1つだと理解している人も多いと思います。しかし、本当は「プロテイン」とは「タンパク質」を英語で言い換えただけ。いわゆるサプリメントのプロテインはタンパク質を多く含む食品からタンパク質を科学的に抽出して粉末などの形状にしたものです。

どのような種類があるのか

タンパク質はアミノ酸がたくさん連なった形をしていて、連なるアミノ酸の種類や順序によってタンパク質の性質がすべて異なるのです。そのため、プロテイン、すなわち「タンパク質」にはさまざまなものがあります。
たくさんの種類があるたんぱく質のうち、サプリメントに使われるプロテインは主に3種類が知られています。

1)ホエイ

牛乳から抽出されるプロテインです。分岐鎖アミノ酸のBCAAを多く含んでいることと、吸収が早いことから、運動直後に壊れてしまった筋肉タンパク質を修復する力があると言われています。

2)カゼイン

ホエイと同じく牛乳から抽出されるプロテインです。吸収はゆっくり。体内にタンパク質が長時間補給されるので、就寝前などに飲むと効果的だと言われています。

3)ソイ

大豆から抽出されるタンパク質です。吸収はゆっくりアルギニンが豊富だと言われています。スポーツ愛好者だけでなく健康維持のために飲む人も多いようです。

アスリートでない人も飲んだ方が健康に良いのか

プロテイン

どのような人がプロテインを飲むべきなのかを考えてみましょう。「日本人の食事摂取基準 2015年版」にアスリート以外のスポーツ愛好者を含む一般の人が1日に摂りたい栄養素量が記されています。
これによると、タンパク質は成人男性(18歳以上)で1日60g、成人女性(18歳以上)で1日50gが推奨量と言われています。

一方で、食材中のタンパク質は、例えば、鶏ささみ2本(約100g)で約23g。卵1つ(50g)で約14gです。このように考えていくと、通常の食事をしている限り、タンパク質不足になるとは思えません

タンパク質を過剰に摂取した場合の明らかな健康障害は報告されていませんが、一般的にはサプリメントのプロテインを含むタンパク質を多く含む食品は高価であることが多く、また肉類の摂取量の多い米国などの食事を見ても、タンパク質の摂取割合は総摂取エネルギーの20%を超えることはまれであることなどから、タンパク質を強化した食事を摂るにしても限度がありそうです

また、腎臓に負担がかかっていて、医師より食事療法でタンパク質を制限するように指示されている人もいると思います。こういった人はサプリメントのプロテインは絶対に飲まないようにしてください。

プロテインを飲むことによるデメリット

プロテインを過剰摂取することでの明らかな健康障害は報告されていないとはいえ、これは一般の食品を摂っている人に対しての結果です。そのため、サプリメントを摂取した際の安全性についてはこれから検討することになると思います
また、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で悪玉菌が腸内に増えてくることが知られています。腸内細菌に悪玉菌が多いと肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などのリスクが上がることが知られています。

一般的な食品はタンパク質が多いと脂肪含量も増える傾向があるため、タンパク質が多いと悪玉菌が増えると言われているのかもしれませんが、タンパク質だけを投与したり、脂質だけを投与して腸内細菌がどうなるかという実験結果はないので、今の段階ではタンパク質の摂取量も増やしすぎないように注意するほうがよいと思います

さらに、コスト面でも一般の人であればスーパーで購入できる一般的な食材を使って一般的な食事を摂っている限り、タンパク質が不足することは考えにくいにも関わらず、高価なサプリメントを利用する意義は少ないと言わざるを得ないでしょう。

まとめ

1日3食、日本人らしい食生活を送っている限りはタンパク質(プロテイン)が不足することは考えにくいのです。毎度、おなじみのまとめになってしまって恐縮ですが、サプリメント等を使う前に食生活に乱れがないかを確認し、改善することのほうがコスト面でも健康面でも有効です

また、サプリメントを使っているという安心感のせいで、食生活が乱れてしまい、さらに健康を害してしまう例も散見されますので、ぜひ、日常の食生活を見直すところから始めてみてください。