「風邪をひいたみたい」、と感じたら。次の行動はどうしますか?

  1.  病院へ行って診察を受ける
  2.  薬局へ行って相談し、薬を買う
  3. とにかく休養する(薬を使わない)

といったところでしょうか。

どの行動も、間違いとはいえないでしょう。しかし、症状によってとるべき行動は異なってくるのです。

目次

そもそも風邪って?

風邪は、「かぜ症候群」という上気道(鼻、喉(咽頭、喉頭))の急性の炎症のみでなく、近年では下気道(気管、気管支、肺)にまで広がって急性の炎症をきたす疾患を総称して言います。80-90%がウイルス感染によるものだと考えられています。
詳しくは、「知ってるようで知らない「風邪」の話」の記事をご覧ください。

治療について

風邪のウイルスには、有効な薬はありません。ウイルスに有効な薬は存在しないため、市販されている風邪薬は諸症状をやわらげるための薬なのです(対症療法)。そのため、風邪を引いたときには安静にし、水分や栄養補給、温度調節などに気を配ることが何より大切となります。

以下に、症状によってどう行動するかの目安を紹介します。自宅療養では、必要に応じて市販薬を使用してください。

自宅療養で良い場合

  • 熱が38度以下
  • 鼻水に透明感がある
  • 喉の痛みやは軽度である

医療機関を受診すべき場合

  • 熱が39度以上
  • 鼻水が黄色や緑など濁った色をしている
  • 喉が激しく痛んだり腫れたりしている
  • 激しい咳が出る

※熱が38~39度ほどでほかの症状が2つ以上見られる場合、医師の診察を受けることをおすすめします。

薬は病院でもらうべき?薬局で良いの?

医療用医薬品と一般用医薬品の違い

病院で処方される薬は医療用医薬品といいます。薬局などで売られている薬は一般用医薬品といい第1類~3類まで分類があります。

医療用医薬品は、医師が患者さんの症状にあわせて選択する薬です。医師や薬剤師の指導に従って服用します。作用は強いですが、副作用にも注意が必要とされます。

一方、一般用医薬品は、薬剤師や登録販売者に相談しながら自分で選択し、自己判断で服用することができます。作用は比較的弱いですが、その分、重毒な副作用は起こりにくいとされています。

病院では数種の薬が処方されることも

病院で診察を受けた場合、そのときの症状に合わせて必要であれば薬が処方されます。一般的には症状ごとに複数の薬が処方されます。感冒剤といい、いくつかの成分が入った薬もありますが、市販薬とは異なりすべての症状に対応しているわけではありません。そのため、感冒剤に加えていくつかの薬を処方することが多いのです。

以前は抗生物質が処方されることがありました。しかし、現在では抗生物質を処方する病院は少なくなってきています(理由は後述します)。

市販薬では、自分に合うものを1種類選ぶ

一方、市販の風邪薬の多くは複数の成分が含まれています。様々な症状に効くように配合されているのです(一部の症状に特によく効くような配合のものも少なくありません)。

総合感冒薬といわれる薬の多くに配合されているのが、下記の成分です。

  • 解熱消炎鎮痛剤(熱・のどの痛み腫れ・関節痛などに有効)
  • 抗ヒスタミン剤(鼻水・くしゃみに有効)
  • 咳止め

ですから、例えば総合感冒薬と解熱剤を併用すると成分が重複してしまうことになるので避けてください。ただし、うがい薬やトローチなどは、総合感冒薬と併用して構いません。

薬局に行くと、とても多くの種類の風邪薬が販売されています。薬剤師や登録販売者と相談し、自分の症状に合ったものを選ぶようにしてください。

風邪薬について、知っておきたい二つのこと

風邪薬

風邪に抗生物質は必要ない

以前は、風邪で病院を受診すると抗生物質を処方された記憶のある方も多いと思います。しかし、現在、風邪に抗生物質は処方しないことが大半です。

風邪の原因の多くはウイルスです。一方、抗生物質は細菌を殺すための薬であり、ウイルスには効果がありません。つまり、風邪に抗生物質は効かないのです。むしろ、抗生物質を濫用することで抗生物質の効かない「耐性菌」が増加しているという研究もあります。

上記の理由から、抗生物質が処方されるのは細菌感染(蓄膿症や中耳炎など)を合併している場合などに限られます。

解熱剤って何度くらいから使っていいの?

発熱は、体内で免疫細胞が病原体と戦うために生じる症状です。多少の発熱があるからといってすぐに解熱剤を服用すると、免疫細胞が活動するために必要な温度まで体温が上昇しません。結果、ウイルスや細菌の退治が半端になってしまい、かえって症状が長引いたり、後からぶり返したりしてしまう場合があります。

大人の場合の解熱剤の使用に関しては、一般的に高熱といわれる38.5℃以上でと指示する医師が多いようです。ただし、39℃以上の発熱の場合は、まず医療機関を受診することが先決でしょう。乳幼児に関しては判断が難しいため、自己判断で解熱剤を服用するのではなく、まずは小児科医に相談することをおすすめします。

最後に

ここまで、風邪薬の服用について解説してきました。もしもの時に備えて、本記事の内容を頭に留めておいていただければ幸いです。

また、風邪の症状が長引いたり、市販薬を服用していても症状が改善しない場合は、別の病気が隠れているかもしれません。無理をせず、早めに病院で相談することをおすすめします。