忙しいと言われる現代人にとって市販薬は大変便利でありがたいものです。「病院行くまででもない」「仕事が忙しくて病院に行けない」「休日で病院がお休み」という時に市販薬のお世話になった事がある人も多いと思います。この市販薬と病院などの医療機関で出る薬の違いとは一体どういう所なのでしょうか?

目次

市販薬と医療用医薬品の違い

市販薬は「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分けられ、近年ではカウンター越しに買える「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語としてOTC医薬品とも呼ばれています。一方の医療用医薬品は、医師が診断し1人1人の症状に応じて処方された薬の事で、処方薬とも呼ばれています。この一般用医薬品(OTC医薬品)と医療用医薬品には以下のような違いがあります。

成分量の違い

薬の目的は、症状を緩和させることです。医療用医薬品は症状だけではなく、年齢や体質なども十分に考慮された上で1人1人に合った薬が医師により処方されています。したがって、有効成分量も多く含まれており効果が高いものが多いです。

一般用医薬品は自己判断で選択して購入するため、安全性を求めて副作用が少なくなるように作られています。そのため有効成分量は医療用医薬品に比べると少なく、効果もマイルドなものとなっているのが特徴です。

成分量の種類

例えば風邪を引いた場合は、医療用医薬品ならば、に対しては鎮咳薬、熱に対しては解熱剤など、基本的には一つ一つの症状に対して薬が出されます。つまり一つの薬に一つの有効成分が含まれている場合が多いため、風邪症状で受診した場合は通常、鎮咳薬と解熱剤の両方が処方されることとなります。

では風邪の場合の一般用医薬品はというと、「総合感冒薬」として熱・咳・鼻水・のどの痛みなど様々な症状に対応できるように、一つの薬に複数の成分が含まれています。しかし副作用を考慮して成分量は少なめなので、数日服用しても効果がなければ医療機関を受診してください。

市販薬の分類

市販薬(一般用医薬品・OTC薬)は成分の安全性や副作用や相互座用・使用方法などによってさらに以下のように分類されています。

市販薬分類 対応 薬の情報提供 リスク分類 ネット購入
要指導医薬品 薬剤師 義務             – ×
一般用医薬品 第一類医薬品 特にリスクが高い
第二類医薬品 薬剤師又は
登録販売者
努力義務 比較的リスクが高い
第三類医薬品 不要 リスクが比較的低い

平成26年6月に施行された改正薬事法により、特に使用に際して注意が必要なものは要指導医薬品という位置づけになりました。また一般用医薬品は副作用のリスクによって第一類医薬品第二類医薬品第三類医薬品に分類されました。それぞれ、販売方法や購入方法も異なります。

薬剤師と登録販売者の違い

  • 薬剤師:国家資格を持ち、医療用医薬品・一般用医薬品など全ての医薬品を取り扱うことができる、いわば薬のスペシャリストです。
  • 登録販売者:薬事法改正により設けられた一般用医薬品販売の資格で、第二類医薬品・第三類医薬品の取り扱いができるようになります。国家資格ではなく都道府県知事認定資格となります。

知っておきたい!「スイッチOTC医薬品」とは?

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病院などで長い間処方されていて、その安全性などが医師の処方なしでも十分に安全だと確認され、医療用から一般用医薬品にスイッチ(切り替える)された医薬品のことを「スイッチOTC医薬品」と呼んでいます。

スイッチOTC医薬品は、安全性が確立されたとはいえ、今まで医療用として使用されていたものです。ですからその効果は一般用医薬品よりも高く、購入の際には薬剤師による説明が必要となります。用量・用法を守って正しい取り扱いを行うことが大切です。

セルフメディケーションの目的

「セルフメディケーション」という言葉が近年注目されています。セルフメディケーションとは簡単に言うと「自分の健康は自分で管理し、軽い不調は自分で手当てをする」という考え方です。

「少しでも体調が悪ければ病院に行けばよい」という考えでは、自分の健康管理はできません。自分の健康は自分で守るという言葉があるように、自分自身が生活習慣や食べ物などを意識することで、生活習慣病の予防や健康管理に繋がるのです。

スイッチOTC医薬品などに代表されるように、今まで病院に行かなければもらえなかった薬も、今では薬局で購入できるようになってきています。これはセルフメディケーション推進のためにもとても大事なことだと考えられているのです。

まとめ

セルフメディケーションが広まることで、薬や医療に関する知識も身につくようになります。薬や医療に関する知識が増えると、それだけ健康に対しての意識もアップします。健康な毎日を送るためには、市販薬についての理解と認識を深めておくことも大切です。