ブリッジや入れ歯では得られない、インプラントによって得られるメリット。

インプラントは自費治療になりますし、費用や期間は多少かかりますが、その分メリットも多くあります。

インプラントに関しては時折医療事故などで取り上げられることもありますが、適応しているかどうかを見極め、手術前から手術後まできちんと管理された状態で行っていけば、ほとんどの場合は心配しなくても大丈夫でしょう。

今回はそんな「手術前後で大切になる注意点」についてお話していきます。

目次

インプラント治療の流れ

まず、大まかにインプラント治療はどのようにして行われていくのか、流れを把握してみましょう。患者さんが高血圧や糖尿病などの持病がある場合には、適応がない場合があります。

治療の適応を確認する

  1. インプラント治療について、歯科医師から説明を受けます。
  2. 問診、視診、歯周病の検査、レントゲン検査、模型作製などで、口腔内の状態を確認します。
  3. 全身疾患、口腔・顎領域の状態などを確認し、インプラント治療に適応しているかどうかが判断されます。

インプラントによる治療が可能な場合

  1. 歯科医師から治療方針や治療計画、期間、料金、起こりうることなどの説明を受けます。
  2. インプラント埋入手術を行います。(インプラント本体と骨がくっつくまで一定期間待つ)
  3. インプラント本体にアバットメント(土台)を装着します。(2回法の場合)
  4. インプラントの上部構造(上物の歯)を作ります。
  5. メンテナンス

インプラントの手術には1回法と2回法があります。2回法の場合、一度目の手術後、2回目の手術までだいたい上顎4ヶ月~、下顎2ヶ月~程度の期間が一般的に必要となります。

インプラントは外科的な手術が必要ですし、健康保険も効かない自費治療です。わからない点は最初にしっかりと確認し、他の治療法とも比較・検討した上で、治療を受けるかどうか決めるようにしましょう。

手術前に気をつけること

インプラントを成功させるためには、事前の準備から大切なことがあります。

まず、事前に必要なことから見ていきましょう。

術前の診査

インプラントを埋めることが可能かどうか診査をしてもらいましょう。

歯周病は治療する

インプラントに歯周病菌が付着すると、歯周病と同様にインプラント周囲炎という病気になります。しっかりと歯周病の治療を行い、そのリスクを下げておきましょう。

全身疾患などは申告する

高血圧症、心臓疾患、糖尿病、脳疾患、服用している薬などがある場合は、手術の相談をする時に必ず担当の歯科医師に伝えましょう。

血糖値をコントロールする

糖尿病の方は、感染を防ぐため、血糖値を良い状態に整えておかなければなりません。

これらについては、インプラントの相談を行うときに説明があるかもしれません。心配なことや疑問点がある場合は、きちんと確認しておきましょう。

禁煙、または喫煙を控える

喫煙は、ニコチンをはじめとする有害物質により、末梢血管の血流が悪くなったり免疫の低下を引き起こしたりします。そのため、喫煙者の歯肉は慢性的に炎症を起こしていることが多く、インプラント手術の成功率を大きく下げてしまいます。また手術後においても、喫煙は歯周病やインプラント周囲炎の原因となります。

手術前日当日に気をつけること

体調管理

手術日の前日・当日は、次のようなことに気を付けるようにしてください。

体調を整えておく

風邪でが出る、鼻で呼吸ができないなどの症状があると、口の中の手術は大変です。また、睡眠不足や疲労時は、手術中に具合が悪くなることも心配されます。特に手術前日は睡眠を十分にとって体調を整えておきましょう。

スケジュールを調整しておく

インプラントの処置後は、なるべく安静にできるようにスケジュールを調整して置いてしてください。手術後2~3日は旅行や写真撮影、大事な仕事やイベントなどは控えて置いた方が無難でしょう。

車の運転は避ける

当日静脈鎮静法などを行う場合は、意識が朦朧としますので、車の運転ができなくなります。

車の場合はあらかじめ送り迎えをしてもらえるよう頼んでおくか、別の交通手段を選択するようにしましょう。

締め付けない服装で

着替えをするよう指示がある歯科医院もありますが、私服のまま行うところもあります。

窮屈感を感じずゆったりできる、着慣れた普段着がおすすめです。手術時は外すことになりますので、装飾品も控えておきましょう。

食事は済ませておく

可能であれば、手術の2時間前までに済ませておくことが理想です。手術中はトイレに行けなくなりますし、空腹だと具合が悪くなってしまうこともあります。また、手術後は麻酔の影響で食事がしにくくなりますので、手術前に済ませて置くことが無難でしょう。

髭を剃っておく化粧は薄く

顔周りは消毒をしますので、清潔にしておきましょう。また、長髪の方は髪をまとめられるようにゴムなどを用意して置いてください。

これらはちょっとしたことかもしれませんが、問題なく手術を行う上で大切になってくる事柄です。あらかじめ調整が必要な点は、前もって備えて置くようにしてください。

手術後に気をつけること

水と薬

インプラントを埋入できたからといって、成功したかどうかはまだわかりません。なぜなら、埋入したインプラントが骨とくっついてくれなければならないからです。インプラント治療を成功させる可能性を上げるためには、感染が起きないよう、次のような点に気をつけなければなりません。

なるべくうがいをしない

うがいを頻繁にすると、血が止まりにくくなるばかりか、痛みや治癒を悪くする原因となります。出血が多いときは清潔なガーゼをまるめて傷口にあて、20分くらい噛むと止まります。それでも止まらない場合は主治医に連絡をとってみましょう。

触らない刺激しない

感染や治癒が遅くなるのを防ぐため、手術した部位は舌や指などで触らないようにしましょう。

食事は、麻酔がさめてから軟らかいものを反対側で噛むようにし、刺激物は避けましょう。

処方された薬は飲み切る

麻酔が切れて痛みが出るようでしたら鎮痛剤を服用しましょう。痛みがなくても抗生物質は、体に変調(腹痛・下痢・湿疹など)がない限り指示通り飲みきって下さい

血行が良くなるようなことは避ける

出血しやすくなるため、手術当日の入浴は避け、シャワーで軽く体を流す程度にしましょう。

また飲酒、喫煙、過激な運動は避けできるだけ安静にしてください。

腫れたら冷やす

腫れや内出血が出ることがあります。腫れは2~3日目までは冷やし、それ以降はかえって治癒を悪くしますので避けて下さい。内出血は数日で自然に消えていきます。

なお、冷やす場合は濡れタオルをあてる程度にしましょう。氷水のように強烈に冷やすと浸出液の吸収が遅れてしまいます。

清潔に保つ(メンテナンス)

手術部位は、歯磨きができなくなります。処方されたうがい薬(ネオステリングリーン、コンクールF)などを使いましょう。歯磨きができるようになったら、優しくプラーク(歯垢)などを取り除き、清潔に保って下さい。

手術直後の注意事項としてはこのようなものがあります。抜歯の時の注意事項と似ていますね。

 まとめ

いかがでしたか?インプラント治療では、事前から手術の前後まで、気を付けなければならない点が多くありますね。中でも特に重要なのが”メンテナンス”です。これはインプラント手術の成功にも、その後の持ちも大きく影響してきます。手術も無事終了し、上部構造(上物)も装着して自分の歯と同じように噛めるようになったら、何より大切なのがメンテナンスです。

せっかく高額な治療費をかけるのですから、是非とも成功させたいですよね。そのためには、ご自身での継続した努力が必要です。インプラント治療をお考えになる際には、この点も含めてしっかりご検討ください。