「パーキンソン病。なんとなく聞いたことあるけど、これってどういう病気なの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。時折耳にするこのパーキンソン病とは一体どのような人に多く、また症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

目次

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、主に運動症状を主症状とした神経変性疾患の一つです。神経変性疾患とは特定の種類の神経細胞が変性、消失してゆく病気の総称で、パーキンソン病の場合は脳の中にある中脳という部分の黒質(黒いメラニン色素を含む神経組織)のドパミン神経細胞が徐々に減少してゆくことにより発症します。

本来ドパミンとは、体の動きや意欲・集中力・ホルモン調節・快の感情などを調節する神経伝達物質ですが、パーキンソン病ではこのドパミンが減少することで体が動きにくくなったり震えが起こりやすくなります。

30歳代~80歳代まで幅広い年齢層で発症しますが、特に50歳代以降に多く発症します。

神経変性疾患の中ではアルツハイマー病の次に多く、有病率は人口10万人当たり100人前後、全国では15~18万人の患者さんがいると推定されています。

症状は?

ベンチに座る人

振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害の4大症状があります。

最初の症状のほとんどは振戦であることが多く、症状は左右非対称に現れることが多いです。

振戦

これはいわゆる「震え」のことです。手や足・頭や唇などに症状が現れ、安静にしているときに震えが認められます。

1秒間に4~6回程度の震えで、精神的に緊張した場合など強くなる傾向があり、また手足、身体を動かすことで震えは弱くなります。症状が進行すると、安静時だけでなく動作時などでも震えがみられることがあります。

筋固縮

力を抜いた状態で他者によって肘や手の関節、足や頭部を動かしたときに抵抗が感じられる状態を指します。パーキンソン病にみられる筋固縮は、ガクガクと歯車を回すような断続的な抵抗であることが特徴的です。

無動

動作が遅くなったり動作そのものが少なくなったり、また細かい動作がしにくくなったりします。顔面も動きが少なくなり表情が乏しくなるので仮面様顔貌となり、まばたきも少なくなります。日常生活にも強く影響し、動作が途中で止まってしまうことが多くあります。飲み込みも遅くなり、食事に時間がかかります。

姿勢反射障害

立っている時は前かがみの姿勢であることが多く、歩行する時は足を床からあまり上げずに小さな歩幅で歩くようになります(小刻み歩行)。また、歩き出しの際の最初の一歩がなかなか出ずに「すくみ足」となってしまうこともありますが、一旦歩き出すとだんだん加速し自分では止められなくなったりします(突進現象)。

他者に押されると自分でバランス保持ができずに倒れたり、身体が傾いていても自分で修正できないなどといった姿勢の障害もみられます。

 

以上の4大症状は、運動症状と呼ばれ外見的に気付かれやすいのですが、パーキンソン病では自律神経系の障害や精神症状も認められることが多く、これらは非運動症状とも呼ばれて最近注目されています。自律神経症状として便秘・起立性低血圧・嚥下障害・尿障害・唾液分泌亢進・脂漏性皮膚(顔面が脂ぎってしまう)などが、精神症状として抑うつ・認知機能障害・幻覚・妄想・睡眠障害などがあります。

 

原因は?

黒質のドパミン神経細胞変性の原因はいまだに不明ですが、遺伝子の異常や環境因子が影響することが確認されています。

パーキンソン症候群

パーキンソン症候群とは、ウイルス脳炎や脳腫瘍、特定の薬剤や毒物などが原因でパーキンソン病と似たような症状を呈する疾患をさし、パーキンソン病とは区別しています。

まとめ

パーキンソン病の原因はいまだによく分かっていませんが、全国でも数十万人の患者がいる神経変性疾患です。根本的な治療法はありませんが、生命予後は悪くなく一般的な平均寿命より2~3年短いだけであり、神経変性疾患の中でも薬物療法の期待が持てる疾患とも言われています。

もし気になる症状がある場合はかかりつけの病院へ相談し、早期の治療を受け進行を防いでいきましょう。