咳が長く続くととっても辛いですよね。呼吸もままならず、夜も眠れず咳に悩まされる方もいることと思います。今回は、そんな辛い咳にお悩みの方々に、市販の咳止め薬にはどんなものがあるかを解説します。
咳の種類、知っていますか?
咳は、痰の有無により湿性と乾性に分類できます。加えて、咳が続く期間によって急性(短期間/3週間以内)・遷延性(比較的長期/3~8週間)・慢性(長期間/8週間以上)と分類でき、それぞれによって対応方法が異なります。
慢性的に咳が出る場合は、呼吸器の病気が隠れている場合があるので呼吸器内科を受診することをおすすめしますが、短期間であればセルフケアで対処できる場合もあります。
医療機関に行くべき?自宅で様子を見ていい?
医療機関での受診をおすすめする場合
2週間以上にわたって咳が続いている場合や、痰に血液が混ざっている場合などは、呼吸器の病気が考えられます。早めに呼吸器内科医の診察を受けましょう。
自宅でセルフケアを行う場合
2週間に満たない場合や、生活に支障が出るほどではない場合、市販薬を買って飲むという選択肢もあります。
1.風邪の咳
風邪による咳は、基本的には数日でおさまります。しかし、咳や痰がつらい場合は市販薬でも症状を和らげることができます。
一般的に市販されている風邪薬(総合感冒薬)には咳止めの成分が入っていますが、熱や鼻水がなく、主に咳と痰の症状がみられるという場合は、「総合感冒薬」ではなく「鎮咳去痰薬」の使用をおすすめします。
2.アレルギー性の咳
喉が少し痒いなどの症状も見られる場合は、アレルギー反応としての咳の可能性があります。特に、花粉症の時期などに多くみられます。
この場合、抗ヒスタミン剤を配合した咳止め薬が効果的です。
薬の選び方と注意点
薬局や薬店で購入できる市販医薬品は、症状や年齢に合わせ様々な種類があります。薬剤師に相談しつつ、自分に合った薬を選ぶとよいでしょう。
痰がからむ咳の場合は、痰を出しやすくする去痰成分や気管支拡張成分が配合された薬を選びます。
なお、既に服用している薬がある場合、購入前に必ず薬局で相談してください。成分が重ならないものを選ぶ必要があります。
主な鎮咳去痰薬の成分
痰がからまった咳の場合は、痰を出しやすくする去痰成分や気管支拡張成分が配合された薬を選びましょう。
すでに服用している薬がある場合は、お薬を購入する前に薬局で相談してください。成分が重ならないように注意しましょう。
咳をとめる成分(鎮咳成分)の種類
中枢性麻薬性
延髄にある咳中枢という神経に直接働きかけて咳を鎮めます。鎮咳効果が高いのが特徴ですが、便秘などの副作用も起こる可能性があります。
- ジヒドロコデインリン酸塩:新ブロン液エース、パブロンSせき止め
- コデインリン酸塩:アネトン咳止め
中枢性非麻薬性
咳中枢に作用し咳反射を抑えます。ノスカピンは、痰がらみの咳にも有効です。
- ノスカピン:パブロンせき止め、ベンザブロックせき止め錠
- デキストロメトルファン臭化水素酸塩:エスエスブロン液L、コンタックせき止めST
痰をとる成分(去痰成分)の種類
粘液溶解
痰の粘性を下げて排出しやすくし、呼吸を楽にします。
- ブロムヘキシン塩酸塩:ベンザブロックせき止め錠、パブロンSせき止め
分泌液増加
気道の分泌液の増加により、痰を切れやすくします。
- グアヤコールスルホン酸カリウム:アネトンせき止め顆粒、ベンザブロックトローチ
消炎酵素
痰を分解して排出しやすくします。
- リゾチーム塩酸塩:アネトンせき止めZ、コンタックせき止めST など
気管支を広げる成分(気管支拡張成分)の種類
キサンチン誘導体
気管支のけいれん、気管支粘膜の腫れを抑え、気管支を拡げてぜんそく発作時の咳を鎮めます。
- テオフィリン: アネトンせき止め顆粒
その他
気管支のけいれんを抑え、気管支を拡げて呼吸を楽にして咳を鎮めます。
- dl–メチルエフェドリン塩酸塩:アネトンせき止め、エスエスブロン錠、新エスエスブロン錠エース、浅田飴せき止め など多数
その他の働きをする成分
抗ヒスタミン成分
アレルギー性の咳を鎮めます。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩:アネトンせき止め、エスエスブロン錠、カイゲンせき止めカプセル など
- マレイン酸カルビノキサミン:パブロンSせき止め など
消毒殺菌
喉を消毒し、細菌による炎症を抑えます。
- セチルピリジニウム塩化物水和物:ベンザブロックトローチ など
生薬
鎮咳や抗炎症、喉の粘液分泌促進、繊毛運動促進などの作用があります。咳を抑え、痰を切れやすくします。
- キキョウ:カイゲンせき止め液W、新カイゲンせき止め液W
以上、おおまかではありますが成分と商品を紹介しました。
市販薬は、ここで紹介したもの以外にも複数の成分を配合して作成されています。何に効果があるのかパッケージを見ればわかるように工夫されているので、確認してから購入するようにしましょう。

なお、喉が痛い時などに口にするトローチなどにも咳止めの成分が入っています。中には5歳以上から使用もできる薬もあり、お薬を飲みたがらない子にはひとまずトローチで対応するのも手です。
また、アレルギー性の咳に対して有効な咳止め薬には、抗ヒスタミン剤が入っている薬剤が見られます。抗ヒスタミン剤の入った薬を服用すると眠くなってしまう可能性が高いので、車の運転をする際の服用は控えてください。
使用できる年齢は、商品によって異なります。商品ごとの細かい用法などは、必ず薬局で確認してください。
最後に
一概に咳といっても種類があるため、対応や治療法は原因によって様々です。
市販薬を飲んで1週間変化がなければ、医療機関を受診するようにしてください。その際、喉に痛みや腫れを伴う場合は耳鼻咽喉科を、喉の腫れがない場合や沸き起こるような咳がずっと続く場合、夜中になると咳が出始めるという場合は呼吸器内科を受診してください。