毎年、インフルエンザヘルパンギーナなど、季節ごとに子供たちの間で流行する病気があります。溶連菌感染症は、子供たちの集団生活の場で流行しや すい感染症です。もし自分の子供が溶連菌感染症にかかったら?ここでは、溶連菌感染症の治療法と予防法について紹介したいと思います。

目次

溶連菌感染症とは?

溶連菌(通常はA群β溶血性レンサ球菌のことをさします)による上気道感染や化膿性皮膚感染です。主に喉に感染し、咽頭炎扁桃炎猩紅熱(しょうこうねつ:小さく赤い発疹を伴う発熱)を引き起こします。

代表的な症状としては、以下の3つがみられます。

  • 発熱(38~39℃)
  • 喉の痛み
  • イチゴ舌(舌にイチゴのようなブツブツがみられる)

溶連菌感染症は、感染してから2~5日の潜伏期間を経て発症します。詳しくは「溶連菌感染症の症状や合併症、潜伏期間って?子供に多いけど大人も要注意!」の記事を参照してください。

溶連菌感染症を疑ったら…

喉の痛みや発熱などの症状がみられたら、まずはかかりつけの医院を受診してください。子供なら小児科、大人なら内科を受診します。喉の痛みがひどい場合は、耳鼻咽喉科を受診しても良いでしょう。

「溶連菌感染症の疑いがある」と医師が判断した場合は、喉の細菌検査を行います。綿棒を喉に入れ、ぬぐい液に含まれる細菌を調べる検査です。検査の結果は5~10分程度で分かります。

治療法は?家庭で休むときの注意点って?

子供の寝顔

抗生物質による治療

溶連菌感染症は、合併症がなければ早期の治療により回復に向かいます。

治療では主に、抗生物質を用います。基本的な治療法はペニシリン系の薬剤投与で、ペニシリンに対してのアレルギーがある場合はエリスロマイシンという薬を使用します。

抗生物質の投与開始から2~3日で、発熱や喉の痛みなどの症状はおさまってきます。しかし、菌が完全に除菌されていないと、再発する可能性があります。症状がおさまったからといって薬の服用をやめてしまうのではなく、医師から処方された抗生物質はきちんと飲み続けてください。また、抗生物質を飲み始めて2~3日経っても症状が改善されず、熱や喉の痛みが続くようであれば、もう一度医師に相談することをおすすめします。

抗生物質の他にも、喉の痛みや熱をやわらげる薬が出されます。

家庭で気をつけたいこと

喉の痛みや腫れなどが伴うため、食事は水分を多く含むもの口当たりのよいもの、また消化の良い食べ物にするようにしましょう。熱い・辛いなど、喉に刺激を与える食べ物は避けた方が良いです。また、どうしても食べるのが辛いようであれば無理はせず、水分だけでもしっかり摂るようにしてください。ただし、炭酸飲料は喉への刺激が強いので避けるべきです。

熱が下がったら、入浴をしても構いません。

治った?と思ったら尿検査を行う場合も

溶連菌感染症の合併症として、急性糸球体腎炎があります。その有無を評価するため、感染の2~3週間後に尿検査を行うことがあります。

急性糸球体腎炎の症状には、無治療の場合では明らかな血尿(トマトジュース様)・浮腫み高血圧による頭痛などがあります。この場合、溶連菌感染症が治ったかどうかは、尿検査で判断します。

溶連菌感染症と診断されたら、学校には行っていいの?

教室

溶連菌感染症は、明確に出席停止期間などが定められている病気ではありません。学校保健安全法では第三種の感染症として分類されていますが、この第三種の感染症による出席停止の期間については「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」とだけ定められています。

抗菌薬の治療を始めると24時間以内に感染力が低下するため、基本的にはこれを一つの目安とすると良いでしょう。流行を防ぐために学校を休まなければならないというよりも、発熱や喉の痛みなど、患者さん本人の体調を見た上で判断してください。元気になっても、抗生物質の服用は医師から指示された期間中は続けてくださいね。

溶連菌感染症を周囲の人にうつさないために

溶連菌感染症に、予防接種がありません。予防に際しては、感染している人との接触を避けることが何より大事です。また、手洗い・うがいの励行マスクを使用するなども有効とされています。特に、溶連菌が流行しやすい春から夏および冬の期間はよく注意してください。

もしも家族が溶連菌に感染した場合、同じ食器やコップ、タオルの使用は避けましょう。感染した患者さんは、できれば別の部屋で過ごすなどの対策を取るのが理想的です。

まとめ

溶連菌感染症は集団生活などで感染が流行しやすい病気でもありますが、予防行動をしっかりとることで感染を防ぐことも可能です。また感染してしまった場合も、早期の病院受診・治療を行い、周囲に感染させないようマスクの着用や大勢人がいるところへの外出を避ける・別室で過ごすなど、感染してしまった本人も注意して行動することで流行を最小限にしていきましょう。