インフルエンザは、毎年12月から1月にかけて猛威を振るいます。予防接種をしたり予防・対処法についての知識を得たりと、流行が本格化する前から注意を払っておく必要もあります。今回は、インフルエンザと普通の風邪との違い・検査方法・かかった場合の対処法や治療法について解説していきます。

目次

<【図解】「インフルエンザ 5つの対処法と治療薬・早わかり」はこちら>

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インフルエンザと風邪の症状の違い

普通の風邪だと思っていたら、実はインフルエンザだった!ということがないように、普通の風邪とインフルエンザの違いを確認しておきましょう。

普通の風邪 インフルエンザ
原因ウィルス パラインフルエンザウイルス
アデノウィルス
RSウィルス
ヒトメタニューモウィルスなど
A型
B型
C型
感染経路 空気感染、飛沫感染、接触感染 主にくしゃみなどの飛沫感染、接触感染
潜伏期間 5日~6日 通常1~2日
発症期間 普通は3日以内、長くても1週間程度 10日以内
症状の部位 局所(のど・鼻) 全身
進行 ゆるやか 急激なことが多い
発熱 37~38度くらい 38~40度前後
鼻水 ひきはじめに出る 後から続く
せき 軽い 強い
頭・関節・筋肉痛 軽い 強い
寒気 軽い 強い

出所:厚生労働省大正製薬武田薬品の情報を参考にいしゃまち編集部作成

インフルエンザの検査方法

インフルエンザにかかっているかどうかを判断するためには、症状の原因がインフルエンザウィルスであることを調べる必要があります。ウィルスに感染しているかどうかを調べる方法としては、インフルエンザウィルスがいるかどうかを調べる、体内にインフルエンザウィルスに対する抗体ができているかを調べる、という2つの方法がありますが、前者がほぼすべての医療機関で行われています。

「迅速診断法」という方法が開発され、10分以内で結果を知ることができるようになりました。この診断は、「迅速診断キット」と呼ばれる検査器具を使用して、鼻からの拭い液(検体)をとって、ウィルスを調べます。少し痛い経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。

この検査キットでは、インフルエンザA型、B型を検査でき、10分以内で結果を得られます。ただし、発症直後の12時間以内の場合は、体内のウィルス量が少なく、陰性と判定されることもあります。

そのため、陰性と判定された場合でも、周囲のインフルエンザの流行状況をふまえて、発症翌日に再検査をして確認することもあります。

インフルエンザにかかったら?

発症中の5つの対策

  1. かかりつけ医師の指示にしたがった治療を受ける
  2. 安静にして休養をとる。特に十分な睡眠が重要
  3. 水分を十分にとる。お茶やスープ等も可
  4. 咳やくしゃみによって、周囲に二次感染させないために不織布製マスクを着用する
  5. 人混みや繁華街への外出を控える。職場や学校に無理して行かない

※小児の場合、急に走りだす・部屋から飛び出そうとする・ウロウロと歩きまわるなどの異常行動を起こす可能性があります。ですので自宅療養の場合、少なくとも発症から2日間、できれば解熱するまではお子さんが1人きりにならないように配慮してください。

発症後の復帰の目安

一般的には、インフルエンザ発症前日から、発熱して5日間は、鼻やのどからウィルスを排出するといわれているため、その期間は外出を控える必要があります。

学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています。ただし、病状により学校医その他の医師が「感染のおそれがない」と認めたときは、この限りではありません。

インフルエンザの治療薬

厚労省のインフルエンザ総合対策情報によると、2015年度の抗インフルエンザウィルス薬の供給予定量は、タミフルが約700万人分、②リレンザが約390万人分、③ラピアクターが約75万人分、④イナビルが約700万人分とのことです。

抗インフルエンザ薬の効果は、症状がではじめてからの時間や病状によって異なるため、使用する、しないは、かかりつけの医師の指示にしたがってください。

この薬は、発症から48時間以内の早期に服用すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウィルス排出量も減ります。2日以降に服用すると十分な効果は期待できないため、効果的な使用のためには、用法、用量、期間を守ることが大切です。

感染症学会の提言によると、病院や特に高齢者施設では、インフルエンザの流行が大きいため、タミフル、リレンザ、イナビルを状況に応じて予防的に投与することが推奨されています。

インフルエンザの5つの対処法と治療薬について、図にまとめました。

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インフルエンザ5つの対処法と治療薬-図解