食物アレルギーはある特定の食物に反応し発生してしまうもので、その多くは乳幼児が対象となります。
食物アレルギーを持つ子供の割合は、乳児約5~10%、幼児で約5%、学童期で1.5~3%と考えられています(食物アレルギー診療ガイドライン2012より)。
食物アレルギーの原因となる食品は、主に卵・小麦・牛乳ですが、学童期には甲殻類・果物類などが増加してきます。小麦は様々な食品の原料となることが多く、子供が好きなケーキなどの菓子類にも含まれているため、小麦アレルギーのお子さんを持つ家庭では食品の成分表示などに注意を払う必要があります。
今回は小麦アレルギーの原因や症状について説明をしていきたいと思います。
小麦アレルギーの原因とは?
食物アレルギー患者の原因食品別の割合をみると、1位が鶏卵で38.3%、2位が牛乳で15.9%、そして小麦アレルギーは3位で8%の割合となっています(日本ハム|食物アレルギーねっとより)。
ヒトの体は外部から異物が侵入すると抗体を産生し排除しようとします。この反応が過剰になり体に障害をきたす状態をアレルギーといいます。
食物アレルギーは免疫グロブリンE(IgE抗体)というタンパク質が原因となっており、 このIgE抗体がどの食品に対して作られているかということでアレルギーを引き起こす食品を決める要因となっています。小麦アレルギーの場合は、小麦に対してのIgE抗体が作られるのです。
このIgE抗体が体内の肥満細胞と結合した状態でアレルゲン物質と出会うと、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が分泌され、アレルギー反応が生じます。
小麦アレルギーの症状は?
食物アレルギーは大体が即時型であり、特定の食品を摂取した直後から2時間以内にじんましん、湿疹、咳、下痢、呼吸困難などの症状が見られます。
乳幼児においては、消化管の機能や構造が未熟であることが原因でアレルギーを起こしやすくなりますが、そのため成長とともに症状が軽快していくことが多いです。
しかし、食物アレルギーが軽快していったとしてもアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアトピー疾患として症状が現れることがあります。このように、アレルギー症状が年齢を追って変化することをアレルギーマーチといいます。
小麦アレルギーの治療法とは?

食物アレルギーの治療のポイントは、
- 正確な食物アレルギーの診断
- 正確な食物アレルゲンが判明したらその食物を除去する。
- 食物アレルゲンを加工した低アレルギー食品があれば上手に利用する。
などがあります。
食物アレルギーの原因となる食物(小麦アレルギーの場合は小麦)を完全に除去する食事療法を除去食療法といいます。この除去食療法を行うのは、以下のような場合です。
- 少量の摂取でもアナフィラキシーショックを起こす
- 症状が中~重症で日常生活に支障をきたす
- アレルギー薬などでの効果が認められない
食物アレルギーの除去食療法の場合は、どの程度行うか・どのくらいの期間行うかということが問題となります。
アレルギーの程度が重症ではない場合は少量の摂取を試してみたり、特定の食品を十分に加熱してみると摂取ができる場合もあります。
症状の強さなどによって除去食療法を行う期間は異なりますが、最低1~2年は行った方が良いとされています。
再開するときは少しずつ様子を見て体に蓄積されても問題がないことを確認しながら1年程かけて普通の食事に戻していきます。
まとめ
小麦は主食となるパンやうどんにも含まれており、体のエネルギーとなる主要な栄養素の炭水化物に分類されます。
アレルギーの症状の程度によりますが、完全に除去してしまうと栄養学的な面で体にはあまりよくありません。
重度でなければ低アレルギー食品などを上手に利用したり加熱加工をしたりと、食の楽しみを忘れることのないように工夫してみましょう。