かゆみのある湿疹が身体にできて、症状が良くなったり悪くなったりと繰り返しながら続いていくのが、アトピー性皮膚炎です。辛いかゆみを抑えるにはどのような治療を行えばいいのでしょうか。今回は、医療機関で行う治療と家庭で行うセルフケアについてご紹介します。

アトピー性皮膚炎の症状などについての詳細は、「アトピー性皮膚炎の基礎知識!悪化させる5つの原因とメカニズム」をご覧ください。

目次

なぜ医療機関での治療が必要なの?

アトピー性皮膚炎の特徴は、強いかゆみです。かゆみの症状がひどいために、夜に眠れなくなったり、昼間に集中力が低下したりと日常生活を普通に行うことが難しくなることがあります。また、顔など目立つ部分に湿疹ができると、見た目が気になり、本人や家族に精神的な負担がかかることもあります。

初めは軽症であっても、治療をしないことによって重症になってしまう可能性もあるので、皮膚科で適切な治療を行うことが大切です。

どのような治療を行うの?

デスク

アトピー性皮膚炎の治療は、スキンケア、アレルギー反応の抑制、炎症の抑制を目的として、薬による治療を中心に行います。

症状によって薬の使い方が変わってくるので、そのときの状態に合った治療を続けることが大切です。欠かさず通院して医師の指示を守りましょう。

外用療法

外用療法がアトピー性皮膚炎の治療の基本になります。皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬を中心に非ステロイド消炎薬も処方されます。

ドライスキンを改善するためには、尿素軟膏、白色ワセリン、亜鉛華軟膏などの保湿性外用剤が使われます。

ステロイド外用薬は、作用の強さによって5つに分類され、湿疹の状態、場所や年齢によって使い分けます。ステロイド外用薬は決してこわい薬ではありません。適切に使用することで、アトピー性皮膚炎の症状を和らげ、日常生活をスムーズに送ることができます。副作用は内服よりは少なくなります。もちろん、皮膚がうすくなるなどの副作用もあるので、医師の指示をしっかり守るようにしましょう。

内服療法

かゆみをおさえるために、抗ヒスタミン薬が処方されます。アレルギー反応を抑えるためには、抗アレルギー薬が使われます。

家庭ではどのようなことに気を付ければ良い?

髪を結いた少女

医療機関で治療を行いながら、かゆみをおさえるためのセルフケアを家庭でも行います。悪化する原因が分かっているときは、できるだけ原因を避けるように気を付けます。以下の3つのポイントをおさえて無理のないようにセルフケアを続けていきましょう。

アレルゲンを避ける

ハウスダストや花粉がアレルギーを起こす原因となり、アトピー性皮膚炎を発症させることがあります。

ダニを増やさないためには、絨毯ではなくフローリングの床材が理想的です。窓を開けてよく換気を行いながらこまめに掃除をするようにしましょう。寝具は日光にあて、掃除機で吸い取ってから使うとダニの発生を防止するのに効果があります。

花粉の季節は、花粉を室内に持ち込まないように帰宅時はコートについた花粉をよく払ってから部屋に入る、風の強い日は窓を開けない、などといった工夫も必要です。

正しいスキンケアを行う

肌を清潔に保つために、石けんを使って身体を洗います。刺激のない石けんを選び、よく泡立ててから手で洗うようにしましょう。タオルやスポンジなどを使うと皮膚を傷つける恐れがあるので、素手で洗います。

洗った後の皮膚はどんどん乾燥します。洗い終わったらすぐに、処方されている保湿剤を塗るようにしましょう。医師から指示された分量を守ることが大切です。

身体への刺激を減らす

香辛料などの刺激物やアルコールをとると、かゆみが増すことがあるので控えめにします。

また、皮膚への刺激を少なくするために、寝具は毛羽立たない柔らかい素材のシーツを使いましょう。毛布にもカバーをかけます。

下着は木綿素材を選び、洗濯洗剤が残らないようによくすすぎます。汗が刺激になることもあるので、汗をかいたときは早めにタオルをあてて吸い取りましょう。この他にも、長い髪は結ぶ、化粧品は多く使わない、アクセサリー類は身につけない、などを実践すれば肌への刺激が少なくすみます。

精神的ストレスが症状の悪化につながることもあります。特にかゆみがひどいときや中々回復しないときは、気持ちが落ち込むことがあるかもしれませんが、なるべく心に余裕を持ち、医師の指示に従って治療を続けましょう。

まとめ

アトピー性皮膚炎は、スキンケア、アレルギー反応の抑制、炎症の抑制を目的として、薬を使った治療が行われます。その時々の状態によって使う薬が異なるので、欠かさずに通院して医師の診断を受けましょう。自宅では、アレルゲンを避けることを意識します。肌への刺激を避けて正しいスキンケアを続けることで、かゆみの症状を改善させていきます。アトピー性皮膚炎の治療は長期間続くこともあるので、なるべくストレスがかからないように無理をしないことが大切です。