薬の副作用によって起こる発疹を薬疹といいます(薬疹にはアレルギー性薬疹と非アレルギー性薬疹があり、通常薬疹といった場合はアレルギー性を指します)。薬疹を含む副作用は、予防を心がけたとしても確実に防ぐことができるものではありません。もしも起こってしまったらどうすれば良いのでしょうか?あるいは、少しでも薬疹を起こすリスクを減らすことはできるのでしょうか。

なお、薬疹の症状や原因については、「薬の副作用で発疹が?!薬疹の症状・原因とは」をご覧ください。

目次

薬疹を予防することはできる?

基本的には、薬疹の予防は不可能

薬疹は多くの場合、ある期間服用した薬に対して起こるアレルギー反応です。免疫がいつ、どのようなタイミングで働くかを予測することはできないため、薬疹を予防することはできないと考えてください。用法・用量を守って正しく服用していたとしても、症状が出てしまうことはあるのです。加えて、何度も使用している薬だからといって安全とは限りません。

特に薬疹の頻度が高いと言われる薬剤は、抗生物質(ペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系など)、解熱剤、抗けいれん剤,非イオン性ヨード造影剤、アロプリノール(痛風・高尿酸血症治療薬)です。しかし当然、これらの薬を服用すれば必ず薬疹になるというわけではありません。また、これらの薬さえ服用しなければ安全というわけでもありません。

すべての薬には、副作用が起こる可能性があります。副作用が比較的少ないと言われている漢方であっても、全く起こらないというわけではありません。そのことを忘れないようにしてください。

どの薬に対してアレルギーを起こすか記憶しておく

アレルギー性薬疹の場合は、一度薬疹を起こした薬に対する反応は生涯にわたって続きます。ですから、一度薬疹を起こした薬の名前を記憶する、あるいはアレルギー歴が分かるように書面で持ち歩く必要があります。お薬手帳などに薬の名前や、その時に出た症状などついて書いておきましょう。診察の度に医師へ、薬をもらう度に薬剤師に伝えることが何よりの予防策となるのです。

このときに覚えておいていただきたいのが、同じ成分であっても違う名前の薬がたくさんあるということです。また、近年は「配合剤」といわれる、何種類かの成分を一つの薬にまとめた医薬品が増えてきています。この配合剤の場合、アレルギーを起こす成分が含まれていると気づきにくい場合があるので、成分表をしっかりと確認することが重要です。

薬疹が起こったらどうする?

四つ葉のクローバー

薬疹と思われる発疹がみられたら、ただちに処方医・薬剤師に報告を行い、医師の指示を受けましょう。薬疹の診断と治療を専門とする皮膚科への受診の指示が出たら、ただちに皮膚科を受診してください。

医師の指示のもと、薬の服用を中止し症状が落ち着いたら、どの薬が症状を引き起こしたのかを調べます。ここで原因となる薬をきちんと特定しておくことが、その後の薬疹を予防することに繋がります。

原因と考えられる薬を薄めて服用する誘発試験(内服試験)や、軟膏の形で皮膚に貼るパッチテスト、血液を使って行う検査などがあります。保険の効かない検査や偽陽性・偽陰性が出やすい検査もあるので、症状などと照らし合わせて診断を行っていきます。

治療費用は補助を受けられる場合も

用法・用量などを守って薬を使用していたのにもかかわらず重度の薬疹が出てしまった場合、「医薬品副作用被害救済制度」という制度のもと、各種の救済が受けられる場合があります。

医師の診断書や投薬証明書など、いくつかの書類を用意して申請すると、医学的・薬学的な判断のもと、救済給付の可否が判定されます。詳しくは、「薬の副作用が出たらどうする?もしもに備えて知っておきたい「医薬品副作用被害救済制度」」をご参照ください。

まとめ

あらゆる薬を使用する上で、副作用の防止は重要な課題です。薬疹は副作用の1つですが、アレルギー性薬疹は、一度薬疹を起こした薬の服用を避けることによって予防することができます。

薬を使用する上で、副作用の出ない薬はなく、アレルギーがおこらない薬もありません。まれな症状ではありますが、死に至るケースもあります。もしも症状が出たときに備えて、対処法を知っておいてください。