パーキンソン病と聞くと難病のイメージがありますが、何科の疾患か知っていますか?また、パーキンソン病になってしまったらどのような治療があるのかご存知でしょうか。

パーキンソン病の有病率は1000人に1人ともいわれており、特定の神経系が変性、消失する神経変性疾患の中でもアルツハイマー病の次に多い疾患とされています。ここでは、このパーキンソン病の検査や治療ついて解説していきたいと思います。

目次

パーキンソン病とは何科の病気?

パーキンソン病とは、中脳にある黒質という組織のドパミン神経細胞が減少することで発症します(詳しくは「手や体の震えが特徴、パーキンソン病の症状や原因は?」の記事を参照してください)。脳の病気であるため神経内科の受診が適切です。

検査方法は?

パーキンソン病は、血液検査や頭部MRI、脳波などの検査だけで確定診断をすることはできません。パーキンソン病特有の症状の有無や経過を確認することによって診断され、その症状がパーキンソン症候群などほかの原因や病気である可能性を否定するため、各種検査や画像診断が行われます。

また、問診や視診・触診、検査方法を行っても確定診断が困難な場合は、パーキンソン病に有効なレボドパという薬剤を使用します。この薬剤の使用によって症状の改善がみられた場合はパーキンソン病である可能性が高く(治療的診断)、判断材料の一つとなります。

 

治療方法は?

専門の医師による自覚症状の有無や神経所見の確認、症状の経過や程度、またパーキンソン症候群との鑑別診断によりパーキンソン病と診断された場合は以下のような治療を施します。

薬物療法

パーキンソン病の治療はこの薬物療法が主体となります。残念ながら、現在はパーキンソン病そのものを根本的に治す治療薬はありませんが、この薬物療法を行うことで症状は改善し進行を遅らせることができます。しかし、薬物服用は継続して行わなくてはならず、長期的な治療が必要となります。

不足したドパミンを補充する薬、ドパミンの働きを助ける薬などがあり、症状や病期に合わせて薬剤を選択し、必要な場合には複数の薬剤を組み合わせて使用します。

手術療法

薬物療法による症状コントロールが悪い場合は手術療法を選択することがあります。

脳の視床という部分の一部を破壊する定位脳手術と、視床下核という部分を電気的に刺激する深部刺激法があります。薬剤で治療しても症状が強い場合などには効果が高いといわれています。

こちらも薬物療法同様、症状を改善することはできても、完治させられるわけではありません。

運動療法

リハビリテーションによる運動療法は症状自体を改善する効果は少ないですが、全般的な身体機能を維持したり症状の進行を遅らせる効果があります。

散歩、体操、ストレッチ、軽いスポーツなどで体を動かすことで筋肉の緊張を改善し、関節の可動範囲を維持します。体力を高めることで体を動かしやすくします。

また、パーキンソン病では歩行障害やバランスが崩れやすくなるため、症状に合わせて歩行訓練バランス訓練なども行います。

薬物の長期服用による問題点は?

首をかしげる女性

ウェアリングオフ現象

薬剤が効いていてパーキンソン病の症状が抑制されている状態をオン、効果が切れている状態をオフと表現します。ウェアリングオフとは、効果が徐々に切れるという意味で、治療が長期化すると薬剤に耐性ができて効果が弱くなってくることがあります。そのため同じ量の薬剤でも効果持続時間が短くなることがあります。

オンオフ現象

同様に薬物療法を長期に行われている方では、服薬時間に関係なくあたかも電源のスイッチが入ったり切れたりするように突然症状が良くなったり悪くなったりする傾向が出てくることがあります。これをオンオフ現象と呼びます。

ジスキネジア

意思とは無関係に起こる不随意運動の一つで、手足が意思とは関係なく勝手に動いてしまうことです。

悪性症候群

抗パーキンソン病薬による薬剤療法を突然中止すると、悪性症候群と呼ばれる病態に陥る可能性があります。発熱・意識障害・頻脈・筋固縮などの症状が出現し、適切な治療を行わないと重篤な状態となることがあります。

便秘

薬剤の長期服用や、パーキンソン病自体の合併症として自律神経障害があり、その症状として便秘が高頻度に認められます。

まとめ

パーキンソン病は薬物療法が主な治療方法となりますが、これは長期的な治療が必要であり、自己判断による中断は症状の悪化や悪性症候群を生じる危険性もあります。また、現段階では根治は難しく、症状の緩和を目的とした治療方法しかなく、長期間の治療は精神的にも辛いことも多くありますが、きちんと病気を理解し家族など周りの人の協力を得ながら上手にこの病気と付き合っていくことが大事です。