手の震えは、一時的に見られるものなら心配はいりません。でも同じことをする度に起こったり、他に症状があるときは、病院を受診し検査を受けた方が安心です。手の震えだけではどの科に行けば良いかわかりにくいかもしれません。ここでは手の震えがあるときどの科にかかれば良いか、また手の震えの改善方法などについて説明していきます。

目次

手の震えは何科にかかる?

手の震えは、寒さや緊張などで起きることがあります。暖かい部屋に行けば治まる、人前などの緊張する場面から遠ざかると治まるものは、心配はいりません。

しかし何かをしようとする度に震える、また逆に何もしていないと震えるのに何かをしようとすると震えが止まるときは、何か病気が隠れているのかもしれません。手の震えが見られる病気については「手の震えが止まらない…その原因となる病気は?」をご覧になってください。

手の震えで受診をするのなら、脳や神経、筋肉を専門とする神経内科に受診するのが良いでしょう。総合病院の神経内科であれば、詳しい検査が行える検査機材を置いているはずです。また検査の結果神経内科で扱う病気ではない可能性が出ても、他科を紹介してもらえるため安心です。

手の震えの検査や診断は?

脳血管造影検査

手の震えがあるときは、受診時に医師に正確に状態を伝えるために、以下のことを確認しておきましょう。震えの特徴やタイプを知ることで、病気をある程度想定し、診断に必要な検査が行われます。

  • いつ頃から震えるのか
  • どんなふうに震えるのか(左右差はあるか、安静にしている時はどうか)
  • 震えが続くのは何分くらいか
  • 1日にどれくらい震えることがあるか
  • 震える以外に症状はあるか
  • 家族の中で手が震える人がいるか

パーキンソン病の疑い

パーキンソン病は症状によって診断されます。何もしない時に起きる震え(安静時振戦)が特徴的であるため、震えの症状観察がとても重要になります。また他の病気と鑑別するために、血液検査や髄液検査、MRIやCTによる脳の画像検査が行われます。

脳梗塞や小脳疾患などの疑い

MRIやCTによる画像検査や脳血管造影検査、髄液検査、血圧、血液検査が行われます。

甲状腺の病気の疑い

血液検査で甲状腺に関係するホルモンを調べたり、甲状腺のエコー(超音波検査)CT検査などが行われます。

アルコール依存症の疑い

スクリーニング検査(アルコール依存症の疑いがある本人がいくつかの質問に回答するテスト)や血液検査が行われます。

低血糖の疑い

血糖値測定が行われます。

本態性振戦

本態性振戦は中高年で発症することが多いため老人性振戦ともいわれ、手の震えの原因となる病気が見つからないときに診断されるものです。遺伝的な要因も知られています。MRIやCTなどの画像検査のほか、血液検査などに異常がない、振戦が運動時や姿勢保持で見られる、少量のアルコールで改善する、家族に振戦が起こる人がいることなどを確認した上で、本態性振戦と診断されます。

手の震えの改善方法は?

病気が原因で手が震える場合は、その病気を治療し改善させることが、手の震えの改善に繋がります。原因がわからない本態性振戦でも日常生活に支障があれば、β遮断薬(アロチノロール)の内服などによる治療が行われます。また、パーキンソン病や本態性振戦で内服薬で症状をコントロールすることが難しい場合は、深部脳刺激療法(脳内の特定部位に電気刺激を与えることで異常な活動を抑える治療法)等の脳外科的治療が行われることもあります。

生理的振戦や本態性振戦では、振戦を意識すると余計に緊張して悪化する傾向があります。周りの人にも自分の症状を伝え、緊張する場面に遭遇しないよう考慮してもらうのも良いでしょう。

本態性振戦のセルフ改善法には、以下のような方法があります。

  • 緊張すると思ったら腹式呼吸をしてリラックスしてみる
  • カフェインなどの刺激物は症状を悪化させることがあるため、できるだけ避ける
  • 睡眠を充分にとる
  • ストレスを溜めない
  • アルコールで症状を軽減させることはしない

まとめ

手の震えが起きても「大したことはないから」と診察を受けない方もいるでしょう。ですが、手の震えが何かの病気のサインとなっている場合もあります。検査の結果、問題がなければ安心できますので、気になる症状がある方は、ぜひ一度医師に相談してみてください。