抗生物質などの抗菌薬は、怪我をしたときや細菌感染症のときに使われています。様々な病気で受診した際に、医師から処方されたことがある方が大半ではないでしょうか。ここでは、抗菌薬の使用によってさらに多くの効果が得られるように、抗菌薬を使うときの注意点をご紹介します。

目次

抗生物質や抗菌薬とは?

細菌にダメージを与えて、細菌が増殖するのを抑えたり数を減らしたりする薬を、抗生物質抗菌薬といいます。詳しくは「抗生物質や抗菌薬ってどんな薬?その役割と種類とは」をご覧ください。

抗菌薬を使う上では原則として、効果を得るのに十分な量を、適切な飲み方で、必要な最短期間の使用にとどめるようにします。

抗菌薬を飲むときの注意点

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それでは、ここからは抗菌薬を飲む時の注意点について見ていきましょう。

1.指示された服用方法を守る

医学の進歩により、抗菌薬の体内での動き方や濃度、どのように投与したら効果が発揮されるのかということが解明されてきました。

例えば、βラクタム系(ペニシリン系、セファロスポリン系など)という系統の抗菌薬は「時間依存性」であり、効果的な血中濃度が長い時間続いたほうが効果的なので、1日3回というように1日分の量を分けて服用すると高い効果を得ることができます。

一方、ニューキノロン系などの抗菌薬は「濃度依存性」であり、最高血中濃度がある程度高いほうが効果的なので、1日1回というように一度に1日分の量を服用した方が高い効果を得ることができるのです。

また、内服する抗菌薬には、食後に服用したほうが良いもの空腹時に服用したほうが良いものとがあります。これは、薬が食事の影響を受けてしまうかどうかによって定められています。例えば、マクロライド系のジスロマックSR、ペニシリン系のクラバモックスは空腹時の服用が推奨されています。また、他の薬との飲み合わせによって、服用方法が変わる場合もあります。

つまり、それぞれの薬によって最適な服用方法は異なっているのです。処方時に医師や薬剤師からの指示があるはずですので、必ずそれに従って服用するようにしてください。

2.指示された服用量を守る

抗菌薬によって、効果的な血中濃度を維持するための服用量が決まっています。

多く服用しても高い効果を得られるわけではありません。反対に、副作用という好ましくない作用が出てしまう可能性があります。

3.指示された服用期間を守る

抗菌薬の服用期間は決まっていないため、効果を見定めてしっかりと感染が治まるまで服用することが大切です。

3~4日服用しても効果が見られなければ、薬を変更することもあります。また自己判断で服用を途中で辞めてしまうと、同じ抗菌薬が効かない耐性菌が出現する原因となります。良くなってきたからといって、自己判断で勝手に服用をやめないようにしましょう。

4.牛乳と一緒に摂らない

牛乳などカルシウムが多く含まれる食品と一緒に服用すると、薬の成分が牛乳のカルシウムと結合してしまうため、効果が弱まる種類の抗菌薬があります

テトラサイクリン系・ニューキノロン系の抗生物質がこれに当たります。服用後2時間程度は、牛乳を飲むのを避けるようにしましょう。

5.アルコールは控える

アルコールの中枢神経を抑える作用や血管を広げる作用により、抗菌薬が効きすぎてしまう可能性があります。

また、セフェム系という系統の一部の抗菌薬では、アルコールの代謝を途中で止めて体内にアセトアルデヒドという物質を増やし、ひどい二日酔いの状態になってしまうことがあります。基本的に、薬を飲む際はアルコールを控えるようにしてください。

まとめ

抗菌薬は効果を得るのに十分な量を、適切な飲み方で、必要な期間にわたって服用することが大切です。自己判断で中止したり、牛乳やアルコールと一緒に服用したりすることのないよう注意しましょう。医師からの指示に従い、正しく薬を飲むことが、症状を緩和するための一番の近道です。