牛乳を飲むとお腹が痛くなり下してしまうという体質の方は少なくないと思います。牛乳が冷えてすぎていたからなのか、お腹の調子が悪かったのか原因を探ろうとしてもはっきりと分からない場合も多いでしょう。

このような体質の人は実は多く、日本では約2,000万人に近い方が牛乳を飲んだ時にお腹がゴロゴロするなどの何らかの症状を感じているといいます(雪印メグミルク|アカディより)。この原因となり得るのが、乳糖不耐症と呼ばれる症状です。

目次

牛乳について

乳糖不耐症

牛乳は古くから全世界で飲まれている食品で、日本で大衆に普及していったのは明治時代に入ってからといわれています。

たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなど多様な栄養素で構成され、学校給食においても頻繁にとり入れられており、重要なカルシウム源として健康を維持する上で欠かせない食品となっています。

乳糖とは?

牛乳に含まれる糖質は約4.5%で、このうち99.8%はラクトース(乳糖)です。

このラクトースは哺乳動物の汁に特有のものであり、ガラクトースブドウ糖という単糖類からできています。

ガラクトースは脳や神経細胞をつくるのに必要な化合物であり、ブドウ糖は主にエネルギー源として利用されます。

乳糖が分解される仕組み

乳糖が体の中にとり入れられると、消化酵素のラクターゼによりガラクトースとブドウ糖に分解されます。

ラクターゼによって分解された単糖類は、腸壁から血液中に吸収されます。しかしこのラクターゼが欠乏すると乳糖を消化吸収することができなくなり、高濃度になった乳糖が小腸に水分を引きよせて下痢を起こしてしまいます。この、ラクターゼが欠乏した状態が乳糖不耐症です。

吸収されなかった乳糖は大腸に入ると腸内細菌によって発酵させられ、お腹がゴロゴロする原因となり酸性便として体外に排出されます。

乳糖不耐症の症状は?

症状としてはお腹の張り胃けいれん吐き気、下痢などがみられ、お腹がゴロゴロとした後に急激な腹痛がみられ、牛乳や乳製品の摂取後30分から2時間程度で急激な便意を生じます。

子供の場合、下痢を起こして体重が増えなかったり栄養不足を招いたりしてしまうこともあります。

対応

冷たい牛乳を飲むとお腹を下しても、温めれば何も起きないという方もいます。この場合は冷たさに過敏反応を起こしているためであり、温度や量などを調整してみて本当に自分は乳糖不耐症なのか見極めることも必要です。

乳糖不耐症にとっての一番の対応策は乳糖を含む食品を避けることです。

最近では商品開発が進み、乳糖を減らした牛乳を簡単に手に入れることもできるようになりました。牛乳や乳製品は重要なカルシウム源のため、摂取を控えることによりカルシウム不足になってしまうことが考えられますが、その場合は市販の栄養補助食品やサプリメント等で補給すると良いでしょう。

まとめ

牛乳は栄養バランスに優れ、カルシウム源としても重要な食品です。

カルシウムは骨や歯の形成に欠かせないものなので、成長期の子供たちは小魚や大豆製品などカルシウムが多く含まれている他の食品から必要量を摂取できるように心がけましょう。

多くの人が悩んでいる乳糖不耐症ですが、牛乳が好きだからどうしても飲みたいという方は乳糖があらかじめ分解処理された商品を試してみるのも一つの方法といえます。