日常の会話の中でも良く聞かれるようになった「メタボ」。会話の中でこの言葉を使ったことがある方も多いかもしれませんが、メタボリックシンドロームについて正しく理解されている方は果たしてどのくらいいるのでしょうか。ただ単に太ってきたらメタボというわけではありません。今まで言葉にしていたメタボは、実は笑ってやり過ごしてはいけない状態のことを現しているものです。

今回は、メタボリックシンドロームについて、どのような状態をメタボというのか、そしてその状態を放置することの問題についても解説していきます。

目次

メタボリックシンドロームとは?

そもそもメタボリックシンドロームは一体どのような状態のことを言うのでしょうか。

メタボリックシンドロームとは、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれます。その名の通り、内蔵脂肪の過剰な蓄積がもとで、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしてしまう状態を現しています。

内臓脂肪とは?

では内臓脂肪はどのような脂肪のことをいうのでしょう。

体の脂肪には皮下脂肪内臓脂肪の2つがあります。皮下脂肪は、下腹部、腰まわり、太ももなどの皮膚のすぐ下に付いた脂肪のことです。一方、内臓脂肪は腹部臓器周囲に溜まった脂肪のことをいいます。

生活習慣病と深く関連しているのが内臓脂肪です。食べ過ぎや運動不足によって内臓に溜まった脂肪が原因で様々な影響が現れます。

最近の研究では、内臓脂肪から有害な物質が放出されていることも分かっています。その有害物質には、動脈硬化や高血圧を進行させたり、糖や脂質の代謝に異常を引き起こしたりするなどの作用があります。

皮下脂肪は閉経前の女性に溜まりやすく、内臓脂肪は主に男性や閉経後の女性に溜まりやすいのが特徴です。

メタボリックシンドロームはなぜ危険?

医者

悪い生活習慣の積み重ねは内臓脂肪を増やし、血圧、血糖値、中性脂肪やコレステロール値の上昇にもつながります。前述したように生活習慣病の全ての根底には内臓脂肪の蓄積が潜んでいます。

メタボリックシンドロームに自覚症状はありません。静かに進行するのが特徴であるため、メタボの状態を気にせず悪い生活習慣を続けていくことでゆくゆくは動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などの心血管疾患や脳梗塞などのリスクを高めてしまいます。重大な病気が発症し、症状が出たときには、生命の危険も伴う状態に陥っている可能性もある、恐ろしい黄信号の状態なのです。

動脈硬化の危険に関しては「動脈硬化はなぜ危険?知られざる動脈硬化のメカニズム」の記事をご参考ください。

また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、それぞれ単独で存在しているのではなく、合併することもあります。健康診断等で項目ごとに単独で見ると、現段階では治療の必要がない軽度な異常である場合でも、それらが複数重なることで動脈硬化が進みやすい状態を作り出しているのです。

まとめ

メタボリックシンドロームは、動脈硬化を進行させてしまう状態のことを指しており、決して軽く見てはいけない状態です。メタボリックシンドロームの基本的な考えは、動脈硬化の進行予防のために、早めに手を打たなければならない状態として捉えるということです。すでにメタボリックシンドロームに該当する方は解消するように生活改善をすることが一番です。