「最近、頭が痛くなってきて薬を飲んでみたけど、あまり痛みが消えない」という悩みを持つ方もいると思います。さらに、その頭痛の痛みが徐々に増してきて、日常生活に支障をきたしたという方も中にはいるかもしれません。
そんな頭痛に加えて、手のしびれ、うまく話せなくなる、などといった頭痛以外の症状が出てきたら、脳腫瘍が潜んでいるかもしれません。この記事では脳腫瘍とは何か、その原因や症状について説明します。
脳腫瘍とは
脳は頭蓋骨の中にあり、頭蓋骨の内側に発生する腫瘍を脳腫瘍と言います。また、脳は大脳や小脳、脳神経、それらを覆う髄膜など、様々な組織が集まってできているため、脳腫瘍はできる場所によって分類されています。
脳腫瘍の約8割は、頭蓋内にある組織で発生した原発性脳腫瘍です。髄膜腫・神経膠腫(グリオーマ)・下垂体腺腫などがこれにあたります。
一方、肺や腎臓、乳房など、他の臓器から腫瘍が転移してきたものを転移性脳腫瘍といい、残りの約2割を占めています(全国脳腫瘍統計2009より)。脳腫瘍と聞くと恐ろしく聞こえますが、原発性脳腫瘍の場合、その半数以上は治療で取り除いてしまえば予後の良いものとされています。
脳腫瘍の原因
細胞が分裂して増える際に複製される遺伝子に「傷」がつき、勝手に増え続けるようになり腫瘍化します。同じタイプの脳腫瘍でも違った遺伝子の異常で起こりえて、どの患者でどの遺伝子異常を来たすのかなど、まだ分かっていないことが多いです。なお、親から子に遺伝する遺伝子の異常(生殖細胞変異)によって起こる脳腫瘍は稀で、ほとんどは遺伝と無関係に発生します。
また、脳腫瘍の進行を早めるものに、喫煙や高カロリーな食事などを挙げる報告があることから、生活環境も原因の1つとされています。
脳腫瘍の症状
脳腫瘍の症状は大きく分けて3つあり、様々な種類の脳腫瘍がある中、どの腫瘍であってもサイズが大きければ起こりうる症状が頭蓋内圧亢進症状です。一方、脳腫瘍ができる場所によって症状が異なる、脳局所症状といった症状も出てきます。また、腫瘍により脳が刺激を受け、てんかん(痙攣発作)を起こすことがあります。

1.頭蓋内圧亢進症状
頭蓋骨の中は閉じた空間であるため、脳腫瘍ができることで脳内の圧が上がり次のような症状が出てきます。
- 朝起きたときの強い頭痛
- 突然吐く・吐いてしまうとすっきりする
- 視力低下や視界に霧がかかったように見える
頭痛が起床時に一番強く、その後徐々に軽快していくようであれば脳腫瘍による症状である可能性があります。また、頭蓋内圧亢進による嘔吐は吐き気もなく突然で、吐いた後に何事もなく食事もできるくらいのこともあります。
2.脳局所症状
脳は場所によって司る機能が違います。そのため脳腫瘍のできる場所によって、頭蓋内圧亢進症状の他にも症状が現れることがあります。例えば、手足を動かす部位に脳腫瘍ができると、手足に動かしづらさ覚えたり、言語を操る部位に脳腫瘍ができると、言葉が出にくくなったりします。
このように、脳腫瘍のできる場所によって出てくる症状が脳局所症状であり、脳腫瘍の場所によって複視、難聴、耳鳴り、めまい、運動麻痺、痺れ、言語障害といった症状が見られます。
まとめ
脳腫瘍は頭痛だけでなく、手足の痺れなど様々な症状をきたします。その結果、日常生活に支障をきたし介護が必要になる方もいます。ですから、脳腫瘍を早く見つけ治療することが重要になります。
そのためにも、頭痛や吐き気だけでなく、手足の痺れや呂律が回らないなど頭痛以外の症状があれば、できるだけ早く医師に相談することをお勧めします。