薬を飲んでも治らない頭痛があり、しびれや呂律が回らないなどの症状が出てきた場合、その頭痛は脳腫瘍による可能性があります。脳腫瘍が疑われれば、さらに細かい検査や治療をすることになります。この記事では脳腫瘍で行われる検査及び治療方法について説明します。

なお、脳腫瘍についての詳しい説明は「原因が分からない頭痛・・・それは脳に腫瘍ができているかも!?」をご参照ください。

目次

脳腫瘍は何科?

検査を受ける前にまず、脳腫瘍を扱っている診療科を知らなければいけません。頭痛は一般的な病気であるため、通常の内科でも取り扱っています。しかし、脳腫瘍は専門的な治療が必要なので、できれば脳腫瘍を専門に扱う診療科を訪れた方が良いでしょう。脳腫瘍を扱っているのは脳神経外科です。脳神経外科のある病院へ行き、より専門的な検査を受けましょう。

脳腫瘍に行う検査

脳腫瘍に対して行う検査は、

  • 画像検査
  • 病理検査
  • その他の検査(血液検査・髄液検査・遺伝子検査)

主にこの3種類です。

脳腫瘍に対して行う画像検査にはCTやMRIだけでなく、異常部位の活動性を見るPETや、脳血管の状態を見る脳血管造影などがあります。この画像検査によって、脳腫瘍の有無だけでなく、脳腫瘍の場所や大きさなどの情報が得られます。さらに、その他の検査で、補助的な情報を得ていきます。

以上の検査を踏まえて、基本的には手術により腫瘍組織を採取し、病理検査を行って確定診断を付けます。病理検査では腫瘍が何の細胞からなるのか、細胞の顔つきはどうか(良性か悪性か)などが分かります。その結果によって治療の必要性の有無などを決定していきます。

脳腫瘍の治療

脳腫瘍4

脳腫瘍の治療は大きく分けて、1.手術療法、2.放射線療法、3.化学療法の3つの治療方法があります。ここでは、その3つの治療方法について説明します。

1.手術療法

検査で脳腫瘍が疑われれば、その適応に沿って手術療法を行います。手術でできる限り摘出すべき腫瘍と、手術では診断をつけるだけにとどめその後の治療に委ねるべき腫瘍とがあります。腫瘍の摘出は、ナビゲーションシステムや電気生理学的モニタリングなどの手術支援技術を用いながら行います。現在、この手術支援技術が進歩したことで、脳機能をなるべく温存しつつ腫瘍をできるだけ摘出することが可能になりました。

一般に大部分の良性腫瘍は手術によって全部摘出されれば追加の治療を必要としませんが、一部の良性腫瘍や悪性腫瘍は手術療法だけでは完治せず、再発のリスクが高いので放射線療法や化学療法による追加の治療が必要になります。

2.放射線療法

手術療法で脳腫瘍を摘出した後に、放射線療法を追加で行う場合があります。脳腫瘍には放射線によって小さくなる、あるいは消失するものが存在します。悪性リンパ腫や膠芽腫といった悪性脳腫瘍は再発しやすいため、治療後も外来で定期的に確認していく必要があります。

放射線療法には、従来のX線を用いた局所(あるいは全脳)照射と、病変部にターゲットを絞って精密に当てる定位的放射線照射(ガンマナイフ、サイバーナイフなど)とがあり、脳腫瘍の種類・部位・サイズなどにより向き不向きがあります。専門医とよく相談しましょう。

3.化学療法

化学療法も手術療法の後に用いられることがあります。稀に手術療法の前に用いられることもあります。化学療法は薬によって脳腫瘍を小さくする、あるいは消失させる治療方法です。内服薬のことも注射薬のこともあります。副作用として多く見られるのが、倦怠感、食欲低下、吐き気・嘔吐、骨髄抑制などです。骨髄抑制が重症になると、細菌に感染しやすくなったり、疲れやすくなったり、出血しやすくなったりします。

まとめ

脳腫瘍をそのまま放っておくと、しびれや麻痺などの症状が残ってしまう恐れがあります。また、腫瘍が小さければ小さいほど、手術療法でも放射線療法でも、治療による後遺症の可能性が少なくなります。ですから、脳腫瘍かもしれないと思ったらお近くの脳神経外科を訪ね、MRIなど詳しい検査をなるべく早く受けることをお勧めします。また、脳の検診である脳ドックを受けるのもよいでしょう。脳ドックは、こちらから予約を行うことができます(人間ドックのここカラダのページが開きます)。

「原因が分からない頭痛…それは脳に腫瘍ができているかも!?」の記事も合わせて読み、知識を深めていただければと思います。