子供が「頭が痛い」と訴えるとドキッとしませんか?熱があるのか心配になったりする方もいると思います。子供はなかなかうまく自分の症状を伝えられなかったり、表現できなかったりするので、もどかしくもなります。ここでは、子供の頭痛の原因について、頭痛と一緒に認めることのある注意すべき症状についてお話したいと思います。

目次

頭痛の原因は?

頭痛は様々なことが原因で起こりますが、明らかな病気がないのに頭痛が出現する場合(一次性頭痛)と、何らかの病気があり、その症状の一つとして頭痛が出現する場合(二次性頭痛)に分けられます。

それぞれに分けて述べていきたいと思います。

子供の一次性頭痛

代表的な一次性頭痛は、片頭痛緊張型頭痛です。

片頭痛は中学生の4.8%、高校生の15.6%にみられ、緊張型頭痛は高校生の26.8%にみられます(慢性頭痛の診療ガイドラインより)。

片頭痛

ズキンズキンと脈打つような頭痛が出現します。片頭痛発作という言い方もされるように、突然出現します。痛みは片方だけということが多いです。

吐き気を伴ったり、光・音・匂いなどに敏感になったりする場合もあります。

遺伝することが多いとされています。

緊張型頭痛

締めつけられるような痛みが特徴です。

頚部や肩の筋緊張やストレスが原因といわれていますが、はっきりとしたことは分かっていません。

痛みの程度は片頭痛ほどではない場合が多いですが、心理的な要因から慢性化して、治療に時間がかかることがあります。

子供の二次性頭痛

様々な病気が二次性頭痛の原因となります。その中で頻度の高いものは、感染症によるものと頭部外傷です。

感染症

感染症による頭痛は、子供でも最も多い頭痛です。風邪を引いた時など、頭痛を訴えることがありますよね(「風邪が原因のつらい頭痛、どう対処すればいいの?」を合わせてご覧ください)。

副鼻腔炎になった時には、眼の奥の痛みを訴えることがあります。症状が似ていることがあり、片頭痛と診断されることもあります。鼻腔粘膜が圧迫することによる症状です。

頻度は高くありませんが、注意が必要なのは髄膜炎脳炎による頭痛です。脳を覆っている膜(軟膜・クモ膜・硬膜)を総称して、髄膜と呼びます。軟膜やクモ膜、あるいはクモ膜と硬膜の間(クモ膜下腔)に炎症を起こす病気が髄膜炎です。また、脳そのものに炎症を起こす病気を脳炎といいます。
髄膜炎・脳炎ともにウイルス感染が多いです。最近では、予防接種の普及に伴い細菌性髄膜炎は減少しました。

頭部外傷

感染症とともに二次性頭痛の原因として多いのが、頭部外傷です。何かで頭をぶつけたり、転倒したり、階段から落ちたりなど、子供は頭部を負傷することが多いです。負傷後に頭痛を訴えることがあります。こぶ(皮下出血)や出血があり、その部分を痛がる時にはそれほど心配はいりませんが、こぶや出血がみられないのに頭痛を訴える時には注意が必要です。

子供の頭部外傷については、「子供が頭をぶつけた時の5つのチェックポイント」も併せてご覧ください。

注意すべき症状は?

目をこする子供-写真

子供が頭痛を訴えた時、ほとんどの場合は大きな問題になることはありません。しかし、中には髄膜炎や脳炎などにかかっていることもあり、注意が必要です。

注意すべき症状としては、以下のようなものがあります。

発熱と嘔吐を伴う場合

溶連菌感染症などでも同様の症状を認めることはありますが、この場合には髄膜炎や脳炎を疑う必要があります。髄膜炎や脳炎は後遺症を残す可能性もあり、適切な診断・治療が必要ですので、早めの医療機関受診をおすすめします。

けいれんや意識状態が悪い場合

発熱がある場合には、熱の影響でけいれんをしたり(熱性けいれん)、意識がぼーっとしていたりすることもあります。この場合は髄膜炎や脳炎の可能性も否定できず、注意する必要があります。また、頭部外傷後などの発熱がない場合でも、けいれんや意識状態が悪い場合には脳や脳を覆っている膜などに出血していることがあります。発熱があってもなくても、意識状態が悪い場合、何度も嘔吐する場合、また呼吸状態が不安定な場合には医療機関を受診しましょう。

まとめ

子供が「頭が痛い」と言うとドキッとすると思いますが、多くの場合は問題になることはありません。ただし、発熱と嘔吐がある場合けいれんを認める場合意識状態が悪い場合には重篤な病気の可能性や後遺症に繋がる可能性があり、注意しなければいけません。また、何度も嘔吐したり、顔色が悪かったり、理解できない言動があったりするなどの場合にも注意が必要です。そのような場合には、小児科を受診して適切な診察・治療を受けるようにしましょう。