皮膚がカサカサして赤くなり、かゆみをもたらす乾癬…見た目も気になるのがこの病気です。なるべくストレスなく治療を続けるにはどうしたら良いのでしょうか。今回は病院で行う治療と悪化させないための日常生活のポイントについてご説明します。

乾癬の症状については、「あちこちが赤くなったり皮がむけたり…乾癬はどんな病気?なぜ起こる?」をご覧ください。

目次

乾癬は治る?

乾癬が起こる原因がまだ分かっていないので、現在は、慢性的に症状が起こり続ける病気と考えられています。そのため、急性の病気のように一つの原因を取り除いて治療が終わる、というわけにはいきません。

継続的な治療とケアを行って良い状態を保ち、症状が長期間出ないようにしていくことを目指します。

病院で行う治療

女医

乾癬の症状や通院できる間隔を考慮して治療を行います。医師と相談して最適な治療を選ぶようにしましょう。

内服療法

ビタミンA誘導体レチノイドと免疫抑制剤のシクロスポリンがあります。両方とも発疹に効果がありますが、同時に副作用が起きる可能性もあります。

レチノイドは胎児に影響を与える問題があるので、若い人には投与が難しい薬です。シクロスポリンは腎障害や血圧上昇、免疫力低下の可能性があり、内服しながら血圧のチェックや採血が必要になります。

PDE4阻害薬アプレミラストという新しい飲み薬が発売されました。重篤な副作用がないため新しい乾癬の内服治療薬として注目されている薬です。

外用療法

副腎皮質ホルモン(ステロイド)や活性型ビタミンD軟膏が処方されます。

副腎皮質ホルモンは発疹に即効性がありよく効きますが、長い間使っていると皮膚が薄くなる、出血しやすくなるなどの副作用が起きることがあります。

ビタミンD外用剤は即効性はありませんが、長い間使っても副作用はあまりないと言われています。ただし大量の使用では血液中のカルシウム濃度が高くなります。定期的に尿検査や血液検査でカルシウム値のチェックが必要となります。

光線療法

紫外線のUVAやUVBなどを照射して発疹の症状を抑えます。UVAを利用するPUVA(プーバ)療法は照射前にソラレンという薬剤を外用もしくは内服します。副作用として、色素沈着が起こることがあります。治療後は日光に当たらないように気を付けます。

UVB療法は、最近では日焼けを起こす有害な紫外線部分をカットして効果のある光線だけを照射する「ナローバンドUVB療法、エキシマライト」が普及し始めました。飲み薬を必要とするPUVA療法より簡便なため、現在は広く使用されています。

抗サイトカイン療法(生物学的製剤)

サイトカインという身体の中の物質が乾癬の発症に関係していることが分かってきました。現在はサイトカインに対する治療法が開発され、皮下注射や点滴治療の2種類がおこなわれています。

内服・外用、光線療法で効果が充分得られなかった方に適応になります。

乾癬の治療法は現在も発展を続けているところです。治療に時間がかかっても、途中で通院をやめず根気強く病気と付き合って、良い状態を保つことが大切です。

悪化させないためのポイント

野菜

乾癬の症状を改善するためには、日常生活の見直しも必要です。皮膚への刺激を抑えて、食生活を改めることで、悪化を防ぎます。

皮膚への刺激を抑える

皮膚の刺激がかゆみにつながり、かくことによって悪化を招くので、かゆくてもできるだけかくことを我慢します。また、石けんも皮膚の刺激に繋がることがあるので、入浴の際は、ごしごしこすりすぎないように、刺激の強い石けんやボディソープを使うことは控えるようにしましょう。

バランスの良い食事をとる

高カロリーを控えて、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂るようにしましょう。お酒の飲みすぎも症状の悪化に繋がるので、アルコールは程々に、たしなむ程度に留めることが大切です。

ストレスをなくす

ストレスは精神的なもの、肉体的なもの両方とも乾癬の悪化原因となります。特に乾癬は治療に時間がかかり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気なので、ストレスが溜まりやすく、それに伴って症状も悪くなる傾向があります。正しい治療を続けることで、ストレスを減らしましょう。

感染症を防ぐ

日ごろからうがい、手洗いを行い風邪などの予防に努めましょう。できてしまった虫歯はしっかりと治療をします。健康的な生活習慣をつけることで、乾癬の症状の悪化を防ぎます。

特殊な薬剤に気を付ける

薬を服用している人は、乾癬が悪化することがないか医師に確認をしましょう。

まとめ

乾癬の治療は、内服療法、外用療法、光線療法、抗サイトカイン(生物学的製剤)療法を中心に進められますが、現在も新しい治療法が研究されています。自宅では、乾癬の症状を抑えるために皮膚の刺激を抑えて生活習慣を見直すことが必要となります。通院が長く続いても諦めないで医師と連携して治療にあたることがとても大切です。